第208話 報酬

最低白金貨500枚、つまり50億円ですか。

ちょっとピンときませんが。


ああそうだ、アイテムを回収して下さった冒険者の方々に、報酬を渡さないといけんません。

ギルマスさんに相談かな。


「時に相談があるのですが。」

「うん?何の相談かね?私どもで対応できればいいのだが。」

「あの、今回アイテムを回収して下さった冒険者の方に、報酬を支払いたいのですが、あいにく持ち合わせがなく、その、今回のこのアイテムを買い取ってもらえるのであれば、それを前渡しと言う形で、彼らにそのお金から報酬を支払いたいのですが?」


「うーん、まあいいか?そうですな、確定していないので、すべてを支払うわけにはまいりませんが。因みにいかほどと考えか?」

「僕相場がわからないんです。それに、特に”火炎の罪”のパーティには何度かお世話になってます。ですので・・・・」


僕は小声でギルマスさんと相談をします。


「いいのか?相場とかけ離れた金額だが。」

「いいんです。それに、ここで恩を売っておけば、何かあった時に助けてくれるのでは?と言った打算的な考えもありますので。」


「しかしな・・・・アイテムを回収するだけで、一人白金貨1枚(1千万円)とか聞いた事もないぞ。せいぜい金貨1枚(10万円)が妥当だと。金貨でも多いぐらいだ。」


確かに一日中とはいえ、たんにアイテムを回収してるだけですし。

でもいいんです、決めた事ですし。


「では1人1枚として、一応50枚渡しましょう。残りはクランの資金にでもしていただければ。」


「わかった。誰か金を用意しておけ。それと、依頼はなかったが、今回は緊急だ。魔物の討伐依頼の一環としての扱いでいいだろう。」


・・・・

・・・

・・


”火炎の罪”のリーダー


「行けませぬ!これはあまりにも多すぎる!貰えるのであれば喜んでいただきますが、我々はさほど苦労しておりません。なのにこの報酬!冒険者である我々にとっては恐ろしく高額!メンバーの中に、いや、これは関係ありませんな。それは私がしっかりすればいいだけの事。」


「色々問題になるような事をして申し訳ありません。ですが、受け取ってもらわないと私の気持ちが収まりません。」


「わかりました。ありがたく頂きます。」


何かを察してくれたのか、あっさりとはいえませんが、報酬を受け取ってくれるようです。


報酬の件が解決したと思っていたら、突然誰かに抱きしめられます。

「我を必要と聞いて、急ぎ参ったのだ!」

アーダさんが抱き着いてきます。

「うわ!びっくりしましたよ。一寸いきなりなので離れて下さい。」


「常山殿のいけず!」


僕は油断してました。

アーダさんを引き離したと思っていたら、

「まだまだ脇が甘いわね。」


ザーラ姫に抱き着かれました。

「あ、ちょっと、駄目ですよ。」

ザーラ姫を引きはがそうとしたら・・・・

アーダさんが再び抱き着いて、サンドイッチ状態に。


友郁と泉が驚いたまま固まっています。

「ちょ!ちょっとアーダさん何してるんですか!」

「離れて!」

友郁、泉、もう遅いよ。

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