第185話 未来視 その2

その男が手にしているのは、フェンリルの息子の頭部。

つまり息子は死んでしまった?

【どうやって殺した!人ごときが殺せるような弱い息子ではなかったはず!第一レベルに差があるはずだ!】


僕は最大限に警戒をします。


すると、もうあと3人がやってきます。

いや、正確には2人と、誰かが引きずられて連れられているようです。


僕は目を疑いました。


何せ、引きずられているのは、顔を恐ろしいほどに腫れ上がらせ、服は着ていますが、あちこち汚れていて。


「ごくろうさん、うひひ!いい女だな。」


そいつは友郁を抱き寄せ、胸を揉みしだきます。

そして、無理やりキスを、どうなってるの?


「じゅ・・・・ん・・・・ぺいさ・・・・ごめん・・・・フェンリルの・・・・息子さん・・・・死んじゃった・・・・」


僕は何が起こっているのか理解できません。


「ふん!やっと来たか!あの時吾輩の治療を後回しにしやがって!それと、どうなっておるのだこの女!服がとれぬではないか!これでは犯せられん!まあ、時間をかけて取ってやろうではないか、うはははは!」


??何だ?


「それとこの剣、素晴らしい!フェンリルの首はこの剣の一振りで、一発でスパッ!と切れたぞ?」


こいつ!あの時ダンジョンがスタンピードを起こして、街の住民やら冒険者が怪我を負った時にいたのか?


そう言えばあの時、軽症者は後回しにしていたはず。


僕が剣を構えると目の前の男が、

「おっと、この女がどうなってもいいのか、ああ?


こいつはナニモンか知らんが、生かしてはおけないな。


【あいつを殺す!】


【止めはしないが、すまないが、無関係な友郁は助けたい。】


【わかった、では合図を。】


【3・・・・2・・・・1・・・・GO!】


僕は念話で合図をし、フェンリルと僕は一斉に飛び出します。

フェンリルの素早さは誰も対処できないだろう!


僕は友郁を助けるためにだけに動く。


スキルを目一杯活用し、友郁をつかんでいる男の目の前に。

そして剣で素早く奴の四肢を切断、友郁を取り戻す。


「ぎゃああ!話が違う!!!!いたいいたい!!」


そのままけりを入れ相手を吹き飛ばします。


フェンリルは周りの取り巻きを全て殺し尽くしていた。


僕は友郁に回復魔法を唱え、浄化を使います。


う・う、可哀想な友郁。そして、フェンリルの息子に何が?


「順平さん・私汚されました。だけど、その、貞操は、この服のお陰で大丈夫でした。」


ごめん、ごめんよ友郁。

1人にさせすぎてたよ。


僕はこの時、何故このような事が起こったのか、根本的な原因を分かっていなかったようです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る