第177話 思っていたのと違う結果・・・・

「友郁そのごめん。森江さんと話をしたんだけど、今から王都へ戻ろうと思うんだ。」


「はい、それは最初からそうなると思ってました。でも何か他にあったのかしら?」


「うん、折角王都を出てきたのに、古手さんや矢坂橋さんが、僕のスキルの影響で、僕に好意を抱いていると勘違いしているから、僕と距離を取ればそれもなくなるのではと思ったんだけど。」


「え?何か問題が?」


「ええと、実際確認しないとわからないけど、どうやら古手さんと矢坂橋さんが、アーダさんやザーラ姫と衝突しているらしくてね。」


「え?衝突ってどういう事でしょう?」


「日本に帰らせろと、凄い剣幕で詰め寄ってるらしくて。」


「ええ?それは、ずいぶん予想と違っているわ。順平さんのスキルの影響が無くなれば、古手さん達は、他の男性とお付き合いしたり、少なくとも順平さんに迫るのはもうなくなるのかと思ってました。」


「うん、それもまあ確認したいけど、今は王都の魔物。ここと違い、複数のダンジョンが周囲にあって、その全部から魔物があふれてるらしくて。」

「え?そうだったんですか?昨日はそこまでは言ってなかったですよ。」


「じゃあ、連絡の後に知ったんじゃないかな?」


「あ、それはりえますね。あ、もうそろそろ行かないといけませんね。」


僕は友郁をそっと抱きしめ、キスをします。


「僕は、友郁が一番だから!」

「うん!ありがとう。」

「じゃあ、そろそろ行くね。」


「はい、行ってらっしゃい!」


「うん、行ってきます。あ、もし何かあれば、フェンリルの息子に乗って王都へ来てほしいかな。」


「はい、そうしますね。」


・・・・

・・・

・・


僕は街の門をくぐり、外へ。

フェンリルが待っています。


【遅かったではないか!さあ乗れ!今日は一人でよいのか?】


【ええ、僕だけです。】


【では行くぞ?今回は一人ゆえ、前回より飛ばすぞ?】


僕が乗ったのを確認し、フェンリルは走り出します。

前より揺れますね。というより以前は揺れがほとんどなかったような?


だけど、速い!

前回も速かったけど、今回は僕一人。だからなのか、フェンリルの速度は前回と比べられないほどの速さ。


気が付けば、王都は目の前、

そして、フェンリルがとまったすぐそばでは、冒険者が魔物と戦っています。


【あとは我がタップリ魔物を仕留めようぞ!にくう!!!!!】


あっという間にフェンリルは消えました。何か最後に本能が駄々洩れのような気がしましたが。


そして、僕の周囲の魔物は、フェンリルがすべて仕留めてくれたようで、近くにいた冒険者が

「た・・・・助かったのか?」

「なんかすごいのが来たの分かってたから、これはもう駄目だな、死んだなこれと思ったが。」



聞かなかった事にしよう。

そして、門へ向かうと森江さんが駆けてきた。

「順平さん!」


思わず抱きしめてしまいます。

「泉!」


あれえ?なんで僕は森江さんとキスを?

僕には友郁がいるのに?


だけど、僕の意思とは関係なく、森江さんを強く抱きしめてしまってます。

「会いたかった!」

「僕もだよ、泉。」


あれ?なんでこんな事を言うのかな僕は?


2日前、ちゃんとお別れしたはずなのに。


これではただのすけこましじゃないか!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る