第153話 大騒ぎの城内

朝、食事に才村さんが現れないので、古手さんが見に行く。

するとそこには、侍女が2人待ち構えていた。


「ねえ、常山順平と才村さんはいる?」


いるのを知っているけど確認をする・・・・

まさかの返事が来るとは夢にも思わず・・・・


「常山様と才村様は、夕べここを去りました。」


「・・・・え?ええと・・・・何を言ってるのかしら・・・・?」


「お部屋に皆様にあてたお手紙と、アイテムが置いてございます。」


「バ・・・・バカな・・・・黙って去るなど・・・・」

震える身体を無理に抑えながら、部屋に入る。


そして・・・・手紙を読む。

手紙を持ったまま食堂へ走っていく。


・・・・

・・・

・・


「え?順平さん、いなくなっちゃったんですか?」」

真っ先に話したのは矢坂橋さん。


「そうなのよ!何かアイテムと手紙・・・・これを残して。」


矢坂橋さんは読みます。


その手紙を、伊知地さんに。

伊知地さんは読んで・・・・吉安さんに渡してます。

そして、侍女さんと話を・・・・


「はあ・・・・こうなると思ってました。ハーレム嫌がってましたもん。」


「だ・・・・だけど、私の子は?あの子に会いたいわ!」


「まあまあ・・・・もう一度手紙の内容を思い出して?そして古手さんはいつ子を授かったかしら?」


あ?と思いながら思い出すと・・・・確か7年後だ。そしてその2年後に2人目。さらに1年後・・・・1年半後に3人目。

つまりまだ時間があるのだ。

「それに常山さんはほら、5年後に戻ってくるのよ?」


「ああそうだった・・・・あれ?森江さんは?」


「どうしたのでしょうね?いつもならもうここに来ているはず・・・・」

「まさか彼女も?」


「いえ・・・・あの人の性格ですと、それはないでしょう・・・・?」


古手さんは話を全て聞き終わる前に、森江さんの元へ向かった。

そして無理やり部屋に入ると・・・・

ベッドで目を真っ赤にしながら、しくしく泣いている姿を見たのだった・・・・


「貴女・・・・知ってたの?」


「ええ・・・・見送ったわ。そして、本当は止めようとしましたが、止められなかった・・・・」


これですべてを察した古手さんが、がっくりと力なく、その場に崩れ落ちた。


そして暫くして、2人して食堂に向かったが・・・・

王族が騒いでいた。


「ちょっと!どういう事かしら?」


アーダといったっけ?

「彼は去りました。5年後には戻るようです。」


「え?それはどういう事かしら?」


「今の彼では魔王と戦っても勝てないと考え、修行しに行きました。」


「何故それを私達に言わぬ?」


「そうすると、別れがたくなるからでしょう?」


「何て事だ・・・・5年経てば30ではないか!それまで我慢しなくてはいけないのか?うう・・・・」


はあ・・・・とため息をついて、兎に角食べようと森江は食べ始める。

5年後、戻ってきた彼に振り向いて貰う為には、今から5年を1日たりとも無駄にはできない・・・・

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