第145話 あの並行世界とは、違う流れになってしまっている?

あれから色んな話が出ましたが、結局王族の生き残りは、もし日本に戻る手立てが本当にあったとして、実際はどうしたらいいか知っている人は、生きていないようでした。


まあ、ある程度予想はしてましたが。


で、僕はまだ本調子ではないので、一度話はここまでにしてもらいます。


「ちょっと横になります。さいむ「友郁!」ら・・・・友郁、お願いできる?」


「分かったわ。じゃあ・・・・皆さん、順平さんを寝かせてきます。」


僕は友郁と共に去ります。


そして残された人々・・・・


「常山殿が去った訳だが、このままではまた魔王の襲撃があるだろう。その時の対応を検討したい。」


アルノルト王子・・・・もうすぐ国王になる・・・・が切り出す。


「それに、彼の持っているアイテム、何とかならないかしら?」


ザーラ姫も何かしらアイテムを知っているようです。


・・・・

・・・

・・


僕はベッドに着きましたが・・・・


カバンに色々アイテムを詰めます。

「あ、あの・・・・順平さん?どうしたのかな?」


「あ、うん・・・・一寸思う所があってね、これを侍女さんか、森江さんに渡しておこうかと。」


何故森江さんか、その理由、それは彼女が、つまり森江さんが才村さん以外では一番信用できるから。


そして侍女さんは、今カバンに詰めているアイテムを複製できるから。


「僕はね・・・・あの並行世界の出来事、好きじゃないんだよ。そりゃあ複数の女性を侍らして子を産ませるなんて、所謂ハーレム、男の夢でありロマン。だけど・・・・そう言うの何か違うんだよね。」


才村さんはじっと聞いています。


「何故か今この状況は、並行世界ではなかった結果で、今の所ハーレムにならなくても全員生きてるんだよね。だからその・・・・申し訳ないと思うけど、このまま僕は一度、皆の前から消えようと思うんだ。」


目を見開く才村さん。

そして抱きついて泣いてます。


「そんなの嫌・・・・もう順平さん無しなんて考えられない・・・・捨てないで・・・・」


僕はそっと抱き返し・・・・彼女の目を見ながら続けます。


「その今のさいむ「友郁!」ら・・・・友郁の僕に対する気持ちはつり橋効果「会社にいる時から好きでした!」だ・・・・って・・・・え?」


ええ?まさか本当に・・・・?


「私、時々休みの日に順平さんを見かけた事があるんです。電車に乗ってる順平さんは、お年を召した方や、体の不自由な方、妊婦の女性を見かけたら、素早く席を譲ってたのを知ってます。よくアウトドアのお店に行ってましたよね?私あのお店の近くのエステに行っていたので、エステの行き帰りに見かけたんです・・・・」


・・・・あ、あるね・・・・エステサロン・・・・そうか、知らなかったな・・・・


「私、これじゃあストーカーだって思う事もあったけど、本当に偶然だったんです。だってエステって予約制だし・・・・あ、何言っちゃってるんだろ、私ったら。」


・・・・彼女を置いて行けば・・・・他の女性とは比べる事ができないほど落ち込むだろうな・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る