第116話 現実の僕はヘタレなのでしょうか

並行世界ではやりたい放題でしたが・・・・


あれは、ある意味現実ではないと、割り切っていたから鬼畜にもなれましたが。

今この現実では、そうはいきません。

彼女等にもそれぞれ人生があります。

その人生を、僕の欲望で踏みにじる訳にはいきません。


このまま去る事が一番なのですが・・・・

それをすれば、ここに残った女性はまず間違いなく全員死んでしまいます。

それでは意味がありません。


僕はどうしたいのでしょうか。

少し頭を冷やしましょう。


僕は体を魔法で乾かし、万が一突然の襲撃があっては困るので、防御力を強化している服を着こみます。


そして、建物の・・・・窓から外に出られるので、バルコニーでしょうか?

そう言えば並行世界ではここには来ませんでした。

外へ出ます。

そして・・・・テーブルと椅子があったので、椅子に座り、じっと考えます。


暫くすると、人の気配がします。

認識阻害のスキルを使い、更には気配を遮断しているはずなのですが・・・・


僕はこのバルコニーから隣の部屋を見てみます。


あれ?ここも見ませんでしたね。

そこには・・・・ベッドの上に何人もの人が寝かせられていて、何人かの人が、その寝ている人の面倒を見ているようです。


誰でしょう?

僕は気になりじっと見ますが・・・・


才村さんがこちらにやってくるようです。

彼女もなかなかの数のスキルを持っているはずですからね。ばれましたか?


「先輩!って違う違う!順平さん!」

意外と早かったです。

「友郁さん、早かったですね。」

「まさかのスキルで消えるんですもの。結果的に二人っきりだから許してあげます!」


そう言って抱き着いてきますが・・・・抱き返す勇気が今の僕にはありません。

「どうしたんですか?こうギュっとして下さい!」

・・・・現実ではした事ないですから。

「それはできません。まだそう言った深いお付き合いではありませんから。」

才村さんは何か考えているようです。


「順平さん、何か、すごく勘違いしていませんか?」

「え?何を勘違いしてるのでしょう?」

「あの装置で私達に、順平さんの見た並行世界を私達に・・・・見せたと思ってませんか?」

・・・・えっと何を言ってるのでしょうか?


「そのごめん、言ってる意味が分からないんだ。」

「・・・・多分そうじゃないかと思ってたんです。あのですね、あの装置、並行世界で使いませんでしたね?」

「うん、使う機会がなかったからね。」

「あの機械、順平さんの見た世界を見せるのではなく、再現するのですよ?」

「・・・・えっと・・・・え?」

え?それってつまり・・・・

「私達、あの装置での体験を、実際にこの体で感じてるんです。そして・・・・順平さんに初めて抱かれた時の悦び、その後何度も愛し合ったあの気持ち・・・・更には出産した時の痛みと喜び、そう言った全てをこの体は覚えているのですよ?そして、あの世界で得たスキル、そのまま自身の能力として残ってるんです。」

・・・・え?

「そして・・・・ほら、このアイテム。あの世界で得たアイテムですよ。」


そう言って才村さんが取り出したのは、僕が渡していないアイテムです。並行世界では見た事があるような?


これは何を意味するのでしょう?

僕は何か間違った?間違ったと言いますか・・・・そもそもあの装置の能力の認識が違う・・・・

これは厄介な事に・・・・


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