前のエピソード――第89話　浄化と、複製と

そうしているうちに順次戻ってくる女性達。

次にやって来たのが背の高い女性。

・・・・

中々渡してくれません。

「抵抗がありますか？」

「だって、さっきまで着ていたのよ！」

「・・・・じゃあその・・・・才村さんも複製ができますから、彼女に渡しますか？」

才村さんを見ます。

「あ、お任せしても？」

「先輩どうすれば？」

「ここは分担ですね。じゃあ才村さん頑張って。」

「わかりました・・・・」

僕は才村さんに耳打ちをします。

【あの、オリジナルの方は手元に残して下さい。複製を複製してというのを繰り返すと、もしかして劣化する可能性があります。

実際はどうなのかまだ分からないですが、可能性は排除しないと。もう手に入りませんからね。】

こうして順次複製が行われ、全員の複製が終わりました。

才村さんの方にも結構な人が行きましたが、ええとあの整った顔立ちの女性も含め、何人かは僕の方にやってきました。

ふくよかな女性は・・・・才村さんの方に行ってくれて心底、安心しました。

そんな中、この整った顔立ちの女性が気になる事を言ってきました。

「あの、後でその、常山さんが信用できる人だけで話がしたいのです・・・・」

「ええと、どうしてかな？」

「単に女性と言うだけで集まりましたが、信用できない女性もいるんです。あの綺麗なお顔の女性と、背の高い女性は問題ないのですが・・・・と言うか、その話には呼んでおきたいといいますか・・・・」

「何となく分かるような気がします。ええとその、下着は才村さんにしてもらわなくてよかったの？」

「ええ、それは大丈夫です。あ、そのこれも複製できますか？」

そう言って差し出されたのは、傘？

「折り畳みの日傘です。普通の傘ですと日よけにならないので・・・・」

「ああそうだね。あとは・・・・ティッシュ？ウェッティもあるな？後これはリップ？それに・・・・化粧品？」

「はい。大体女性なら持ち歩いているとは思いますが・・・・消耗品ですし、もう手に入らないかもと思うと・・・・」

「わかりました。」

そう言いながら何故か彼女から目が離せません。

何でしょう？

「あ、それと・・・・言いにくいけど、あ、これ下着です。オリジナルは僕が預かります。」

「え？これ複製なのですか？」

「ええ・・・・何故か貴女には話した方が良いように思えて・・・・その、まだスキルについては分からない事だらけで、この下着ももう手に入らない可能性があります。そして・・・・複製品を複製すると、万が一の場合、劣化の可能性があるのではと考えました。そんな折オリジナルを、複製できる僕が持っていればまた複製できますからね。」

「そこまで考えていたのですね。素晴らしいです。そして、他の男性とは違うのですね。」

「ああ彼等ね・・・・異世界に来て弾けちゃったのかな？」

「・・・・あの、私の顔、どう思いますか？」

思わずガン見してしまいます。

「どうと言われても完ぺきに整ってるとしか言いようが・・・・」

あ、言葉に出てしまってました。

「ですよね、こう言っては何ですが、顔とスタイルには常に気を使っていて、それなりに自信もありますが、ここではそれが仇となって嫌な人が寄ってくるんです。露骨にセックスしようと言ってきたり。」

・・・・うわ・・・・

「私経験がありませんから、そんなギラついた人としたくなんかありません。ですがこれでも性欲はあります。たまに自分で自慰もしますし。ですが・・・・ね？」

・・・・うわ・・・・整った顔でそんな事を言われても・・・・しかもなぜ最後ににっこり微笑むのでしょうか？

「常山さんは、あの女性・・・・才村さんとお付合いしているのですか？」

「ええとその・・・・どうなのかな？」

「え？もしかして鈍感さんですか？」

「・・・・はっきり言うね？」

「まあいいです。その、私は今この状況に限界を感じています。女がここで１人で動くのは無理があるので、１人になるとああいった連中がちょっかいかけてくるのですよ。そこでですが・・・・常山さんはもう既にパーティを組んでいますよね。人数はもう６人だとかで無理ですが・・・・クランと言うものがあると聞きました。私も入れてもらえませんか？」

えっと・・・・

「返答に困りますよね？ですので、後でさっき言っていた女性ときますね。」

彼女は僕の返事を待たずに、複製したアイテムと共に去って行った。

ええと、あんな整った顔の女性が自慰を・・・・それを何で僕に言うのですか？