第72話 皮肉な事に
そこには勇者御一行が死にかけていました。
「た・・・・助かったのか?」
取り巻きの一人がそう言います。
「なに!・・・・あの化け物が・・・・いなく・・・・なった?・・・・あ?あんた・・・・たしかあの場に・・・・いたな。女2人を・・・・」
勇者か。僕を覚えてたんだね。だけど酷い怪我だ。
そして、勇者の前に内元君が立ちはだかります。
「あんたも助けてくれたのか?」
どうやら勇者は覚えてないようです。ですが、お供の一人は覚えていたようで
「も・・・・森信、まずいぞ・・・・」
「う・・・・その・・・・名で・・・・呼ばないでと言って・・・・いたでしょう・・・・」
「そんな事言ってられないよ!お前が切りつけた奴だぞこいつ!」
このお供はまだ怪我がましなようです。
「何・・・・?あ・・・・あの・・・・時・・・・くそ!よりにも・・・・よって・・・・こいつかよ・・・・」
「内元君、手を出したら駄目だよ?そうしたらこの勇者君と同類になる。」
「・・・・そんな事はしません。」
うわ・・・・凄い目で見てるな。
そして僕はふと思った事があったので、勇者君を鑑定します。
名前 :
性別 :男性
種族 :人間(召喚者)
年齢 :17歳
レベル : 4
所属 :勇者
所有スキル:剣術:Lv4・全魔法の素養 :Lv1・空間魔法 :Lv1 ・身体強化 :Lv2 ・精神強化:Lv1
・・・・あまり上がってなさそうです。
そして・・・・ひょっとしたらと思い、僕は自身のスキルを確認し、吸収と複製と言うスキルが気になります。それを試してみようかと・・・・
僕は勇者君に近づき、彼のスキルを自分の物にならないか確かめます。
一応彼の頭に触れます。
「何・・・・を・・・・する?」
・・・・彼のしでかした事は許せませんが、ここで死なすのもかわいそうです。ですので、何とかならないかと思い・・・・
暫らく色々考えていると、彼のレベル1のスキルが・・・僕の方に入り込んでくるのが分かります。次にレベル2のスキルが・・・・
そして、繰り返すと、今度は才村さんを手招きし、才村さんの・・・・頭に手を置きます。
今度は複製?をイメージし・・・・
今獲得したスキルが、彼女の方に行くのか確認です。
暫くして・・・・才村さんは僕の耳元にささやいてきます。
「あ・・・・あの・・・・いくつかすごそうなスキルが・・・・」
どうやら複製と言うスキルが活かされたようですね。
そして、どうやら勇者君のスキルを僕は、吸収したらしいです。
・・・・可哀想ですが、致し方ありません。
気が付けば彼は・・・・
名前 :
性別 :男性
種族 :人間(召喚者)
年齢 :17歳
レベル : 4
所属 :
所有スキル:剣術:Lv4
となっていました。
あれ?スキルは・・・・ええと、吸収って相手のスキルを吸い取るの?これはある意味恐ろしい。
ただ、僕の持っているスキルは吸収しないようですね。
さて、後の5人をどうするか・・・・
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