第70話 動物にはボーラの方がいいのでは?

僕はふと思ったので、内元君に確認をする。

「スリングだけでやるのかい?」


「まさか。紐は用意してあるので、ボーラと言う狩猟用の武器も作れますよ。」

「もしかして丁度いい石が無かった?」


ボーラとは2個、若しくは3個の石を、紐でくくり、それぞれ独立させて扱う武器。3個の場合は、3ツ又になるように使用する。

短距離から遠距離まで運用ができ、対人にも問題なく使えるが、遠方の動物目がけて投げれば、紐が広がり、当たれば動物を紐で括り付け、歩行困難にし、仕留める事ができる。頭に当たればそれだけで仕留める事も可能。

まあ練習しないといけませんが。

これは近距離の場合、ぐるぐると回して石を相手にぶつける事もでき、なかなかえぐい武器・・・・使いこなせたらだけど。


そんな事を思いながら外に出ますが、なかなか獲物は居ません。

此処はスキル・・・・索敵の出番ですね。

周りを見ますが、何も感じられません。ですが暫く繰り返すと、突然遠方に何かの気配が。

「あちらに何かの気配がします。行ってみますか?」


「ええ、お願いします。」


ちなみにこの間に何度かスリングで石を投げたり、近くの木にボーラを投げたり、3人で練習はしました。そのおかげか、2人供投擲スキルが得られたようです。

その後明らかに命中率が良くなったので、スキルの有る無しで随分違うのだとつくづく感じます。


そして僕が感知した方向へ進むと、複数の気配が。


ですがここで僕は嫌な予感がしたので、一度2人に制止を呼びかけます。

「何か向こうの気配が変です。気を付けたほうがいい。」


一応索敵は続けていますが、どうやら気配は7体。

ですが何だろうこの違和感。


まだ距離はあります。


そして近づくと、血の臭いがします。


「待って、血の臭いがする。それに・・・・うめき声?」


今いる場所は草原と言うのか、林と言うのか、時々広い場所に木が生えていて、岩場もあります。

そして岩場の先に何かいるようです。


あ、分からなかったのですが、8体いるようです。

近付いたので更に詳しく分かった?


2体は元気そうですが、6体はあまり力と言うか気配が強くありません。

怪我でもしている?


少し距離を保ったまま、岩場の向こうまで向かいます。

すると・・・・クマみたいな獣が2体。鑑定すると


”アウルベアー”

と出ました。


B級以上のパーティでの討伐推奨と出ています。

え?駆け出しパーティはFですよね?


これは・・・・相手がやばいです。

彼等の縄張りでしょうか?

しかも大きさが中々ありそうです。


僕は下がるように指示を出しますが、運悪く、風向きが変わり、風上になってしまい、相手がこちらに気が付いてしまいます。


やばい・・・・ですが逃げる?

駄目だ、間に合いません。

スキルを駆使し、戦うしか。

「みんな、ボーラをもって、相手に投げつけて。2つ持ってるよね?そして・・・・地面に落ちている石っころでどんどん相手に投げて!」


僕はその前にスリングで相手目がけて投げます。

まだ相当遠いはずなのですが・・・・

300メートルぐらいありそう。

ですが、見事に命中。

おお!投擲スキル凄い!

もう一個石を手に取り、投げます。

今度はもう一体に。

各々顔、それも目に当たりました。

そして怒り狂ってこちらに向かってきます。


内元君がこちらから見て右の魔物にボーラを投げます。

才村さんが左を。見事に魔物に当たり、それぞれ脚に巻きつきます。

そして僕は2組のボーラを、それぞれに順次投げます。

倒れてもがくアウルベアーの腕に絡み、完全に身動きが取れなくなったようで、更にスリングでもう片方の目を狙います。

石が見事に目に当たり、2体の魔獣?の目を封じます。




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