第19話 ゲスがゲスを呼ぶ
「あ、えっといいのかな?こんな簡単に別れられるなんて思ってなかったから、何だか拍子抜け。」
「だよね。もっとこう、身体求められるかと思ったから、安心した。」
2人はあの勇者君と別れられて、よほど嬉しかったのだろうね。
ここでこの2人について、と思うのですが、状況がそうさせないようです。何故なら、
先程のゲスいリーマンが、勇者君に声をかけたからだ。
「あ、何リーマン。」
「ああ、君が勇者なんだってな。君のお陰で若い女を一晩じゅう可愛がってあげられたよ。いやあ、ここに来ちゃった時はどうなる事かと思ったが、この世界もなかなかいいなあ!これも君のおかげだ!」
「そうかそうか、リーマン達も楽しめたのか!まあこれも僕のおかげだ。ああ、リーマンらはどんなスキルなんだ?生産なら色々作ったり役立ってほしいからな!」
「あ、俺のか?何と驚け!造船だ!」
あほか?そもそもそんな船を作る材料や場所、道具はどうするの?川や海が近くにあるの?
「船か!なんかロマンがあっていいな!で、海の上で女とヤる!いいじゃないか!」
「そうだろうそうだろう、うははは!」
だがそこに爆弾が投下してしまいます。
「ちょっと!何変な事言ってるのよかいと!そう言えば昨日の夜はどうしてたのよ!」
ああ、そう言えばかいと君だったな勇者君の名前は。
「あ、まあ色々と?」
「なんだなんだ?君の女か?いいなあ、今度複数プレイとかするのか?」
「黙っててよリーマン!あんたまさか、あの女達と寝たんじゃないでしょうね!」
「う・うぐ、僕は勇者なんだ!少しぐらいいいじゃないか!」
「ひ、酷い、私だけって言ってたじゃないの!」
「すまん、だがさっきも言ったが僕は勇者なんだ!勇者は人々を救う義務がある!だが、それには困難が待ち受けている!だがそこには色々と、手段があってだな。」
「だからってあの色々説明してた女を抱いたっての?ああ、そうね、あの女の胸は中々だったし?私と違ってね!」
「そんな事はないぞ?お前を抱きしめた時は気持ちいいんだ。そう、ちょうどいい大きさだ!」
「それ本当?」
「ああ、それにいい形じゃないか!」
あほ勇者はこの、これが彼女なのかな?の胸を、ここ食堂なんだけど、揉みはじめる。
「あん♪もうかいとったら。」
「俺の女はお前だけだ!」
いつの間にか僕から俺になってるよ?
そう思ってたら、
「ここは食堂だ。見苦しい事をするなら出ていけ。」
1人の青年がそう言い放ちます。まあ、僕もそう思うけどね。
「あ?何だ?俺は勇者なんだ!俺様がどこで何をするかは俺次第だ!」
うわ。ついに本音が出たね。
「あんた昨日と言ってる事が違いすぎ。さっさとここから出てって外で魔物でも狩ってくれば?」
「何だとてめえ!この勇者様に向かってその口の利き方は!」
「煩い。ただでさえ不味い飯が、これ以上ないぐらい不味くなる。消えろ。」
「何だてめえさっきから言わせておけば!てめえが消えろ!」
勇者君は頭に血が上ったのか、何を思ったのか知らないけれど、無防備なその青年にいきなり剣を抜き、切りかかっていきます。
流石に平和な日本では、このような事が起こる事は、まあないよね、普通は。だからなのか、この青年も無防備にその剣を受けてしまいます。
ザシュッ!
その場に倒れる青年。
「うう。」
切られた所から血が出ていきます。
「お、おい森信、不味いぞ?」
「ふん!勇者様を侮辱した罰だ。ああ、そうそう、俺の女は回復魔法が使えるからな。特別に治療させてやる。」
そう言って去っていく勇者と取り巻きの男達。おい、自分は何もしないのか?ひどすぎるぞ?あれが勇者のする事?
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