転移2日目
第17話 いつの間にか朝に・・・・
「おはようございます、常山先輩!」
そこには天使がいた・・・・
ああ、違う、才村さんだ。
おはようと言う事は、うわ、もう朝ですか。
結局ついに寝られなかった僕。
「おはよう才村さん。寝られた?」
「ええ・申し訳ないほどぐっすり寝ちゃいました。」
「それは良かった。身支度を整えて、ええと、ご飯はどうしたらいいのかな?」
「昨日食べた場所へ向かえばいいのでは?」
「それもそうだね。あ、顔洗う?」
「はい。」
才村さんが顔を洗っています。
僕はその間に少し横になっておきます。
「・・・・ぱい?常山先輩?」
何だか揺れる?は!いかん、寝てた?
「大丈夫ですか?もしかして、私のせいで寝れなかったのでしょうか?」
「断じて才村さんのせいじゃないから!」
あ、しまった、ついうっかり言ってしまいました。
「やっぱり寝られなかったのですね。ごめんなさい。」
うん、才村さんの隣に、しかも手を握ってたら、寝られないのですよ。
「気にしないで?あ、もうばっちりだね。」
「ええ、これしか服がありませんが、浄化の魔法がありますから。」
僕も浄化の魔法で、綺麗に。
「じゃあ、行こうか。」
僕と才村さんは、部屋を出る。
「おはようございます、常山様、才村様。」
侍女さんが出迎えてくれる。
「おはよう。ずっといたの?」
「流石に夜は寝させて頂きました。朝になりましたので、こうしてお待ち申し上げておりました。」
「無理はしないでね。ええと、食事はどうしたらいいのかな?」
「昨日の所で頂けますが、行かれますか?」
「ああ、そうしたいです。」
「では、ご案内いたしましょうか?」
「場所はわかるけど、その後の勝手がわからないから、お願いします。」
侍女さんに着いていく僕と才村さん。
やがて昨日の食堂?へ着くと、既に沢山の転移者がいました。
どうやらサラリーマン、何人かいますが、それぞれ侍女を抱きしめながら、話しています。
なにこれ?
「異世界に、無理やり転移やらをさせられて、どうなのかと思ったが、これはこれでなかなかいいな!」
「そうだな!食事はまずいが、女を抱き放題とか、夢の世界だな!」
「しかし、何時も同じですと飽きますな!シェアいたしますか?」
「おおいいな!好みで選んでもいいし、くじでもいいな!」
うわ。ゲスすぎです。
「なあ、これはいったいどういう事なのかな?」
僕は自分と才村さんにあてがわれた、侍女さんに聞いてみます。
「つまり、そういう事なのですよ。」
「それじゃあわかんないよ!」
僕は思わず声を荒げてしまった。
「ああ、すまないね。僕はああいうのが許せなくて、つい、ごめん。」
「いいのです。そうですね、勇者召喚は想定されておりましたので、勇者様用の付き人は決まっていたのですが、万が一他に転移する人がいると、と言うので、私達が用意されておりました。」
「なあ、君達って、この国?の貴族の子女なんだよね。」
「ええ。その中でも、見目重視で選抜されました。」
「だけど、最初から人数多かったよね?」
「一人で、複数を所望される方もおられますので。」
「それって、今までも勇者召喚は行われていた、っていう事?」
「ええ。しかしながら、勇者様だけを召喚する事はできず、たまたま周りにいる人達ですが、巻き込まれて、ある一定の範囲で勇者様の召喚時に転移させられてしまうのです。」
「で、そのうちの男の転移者に、君らをあてがうと?でも、貴族の娘だよね、君達?」
「貴族と言いましても、それこそ沢山ありまして、私達は所謂下位貴族、下級貴族と言われ、更には経済的に困窮している場合が多いので。我が家もそうです。」
「つまり、金でここに売られたんだね?国から、勇者様とその取り巻きの面倒を見るようにと言う名の元に。」
「その通りでございます。先程の侍女達もそうですが、多くは田舎貴族で、実家は借金まみれ、あるのはその顔と体のみ、こう言っては何ですが、私もこの娘も見た目はそれなりに自信があるのです。ここにはそう言った娘達が来ています。しかも父、つまりは貴族の当主から、万が一があるからと、未通を強要されている事が殆どで。なので、あの娘達は、あの転生者様達に初めてを捧げたのですよ、きっと。」
なんて酷い話なんだ。
逆に言えば、無理やり転移させられた男にとっては何と都合のいい話なんだ。
僕は人並みには性欲はあると思っています。だけど、同じ男として、許せない事ですが、気持ちはわかります。理不尽な転移。そんな時先程のような女がいれば、勘違いしてしまうかも。
僕は無力です。せめてこの、僕と才村さんに従ってる2人は守ろうと、ただそれだけを心の中に。
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