第14話 あまりおいしくなかった

「凄くおいしいです。」


え?僕は驚きました。


この後侍女長?にも同席してもらい、色々話を聞きながら食事をしたのですけれど、出される食事は味気なく、水気も変で、食感がいまいちなんです。つまり美味しくないんです。


しかもここは王宮の食堂。


異世界の食事はこんなのかと、がっかりしてしまいたい所なのですが、だけど侍女たちは違う反応なんです。


こんなのを美味しいと言っているんです。


才村さんも驚いています。


「こんな所で食事とか、頂いてしまっても宜しいのでしょうか?」


もう1人の侍女さんも、おっかなびっくりの様子で食べていますね。


で、驚いたのが、皆手で食べているのです。そう、最初から思っていましたが、食べる道具がないのです。


シチューはスプーンみたいなのですすってるけれど、箸やフォークがないんです。


ああそういえば昔の、中世とかはそうやって食べてると聞いたかな。何処で聞いたか迄は思い出せませんが。

僕もスプーンで全て食べました。これしか道具がないから仕方ないですが、スプーンで全部食べるって、今まで経験がないです。


今度市場?店?で食器とか箸とかないか確認してみましょう。


衛生的に色々問題だろうし。


「転移者様は変わった食事の仕方をされるのですね?」


侍女長がそう言ってくれるのですが、え?これが変わってる?そりゃあスプーンしかなければ変わっていても仕方ない?だけど侍女長さんは違う意味でそう言ってるんだよね?


「え?そうなのですか?僕のいた世界では、道具を使って殆どの食事をしてましたよ。」


「そうなのですか。この掬いの道具ですが、これ一つでも金貨一枚ほどしますので、一般的にはあまり使用されないのですよ。そんな高価な物を買うお金なぞ、普通の家庭ではありませんからね。私達はこれでも実家は大なり小なり貴族、父が爵位持ちですが、それでも普通の食事は殆どが手掴みでしたよ?」


ああ、こういった王様?がいる建物で働く人達は、貴族の子女なのですね。まあ、そうなのかな?この世界のそう言った社会性が分からないけど。


食事をしながらそう言ったこの世界について、少しだけ知る事ができた、のかな?



そして飲み物も,お茶とかはあまり無いそうです。

基本は井戸水らしく、川の水は飲み水としてはあまりお勧めしないらしいです。

上流の方で、洗濯したりしてるから、あまり宜しくないみたい。


で、結局井戸水の方が清潔な水のようです。


これも貴重な情報。


ああ、一応家事全般のスキル、レベル5になったら、何故か水魔法が使えるようになったから、これで飲み水には困らない?


で、この後お風呂に入りたいと相談すると、此処で侍女長は他の人達を見てくると言い残し、去って行きました。


その前に、他の転移者がどういった様子なのか、後で教えてほしいとお願いしたら、あっさり了承してくれました。まあ、侍女さんに対しあまりいい扱いをしてくれていない人が多いらしいですが。


で、僕が侍女長に話をしている間に、一人の侍女さんが先にどこかへ去っていき、もう1人が案内をしてくれます。


で、案内された先は?

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