12/21 きよしこの夜の誕生秘話

 昨日(20日)は眠くて更新できず、今日二日分まとめて更新させていただきます。最近少し更新が遅れがちなので、せめて日付が変わる前に更新できればな、と思います。睡眠も大事ですし……。


 クリスマスキャロルの代表的なものに『きよしこの夜』がありますよね。街中でもよく聞きますしアレンジも様々で、クリスマスの音楽と言えば誰もが知っている有名な曲だと思います。この『きよしこの夜』、実は二人の人物の機転と友情から生まれたものなのです。


 1818年、クリスマス間近のとある日。オーストリアのオーベルンドルフという町の聖ニコラウス教会では、オルガンの調子が悪く充分な演奏ができないという事態に陥っていました。そこで、教会の若き副司祭であるヨゼフ・モールは親友であるオルガニスト兼教師のフランツ・クサヴァ―・グルーバーにとある提案を持ちかけます。


「私の詩に曲を付けてくれないか。それをミサの合間にギターで演奏しながら二人で歌おう」


 グルーバーは当初難色を示したとも言われています。というのも、本来神聖な空間である教会で大衆的なギターを演奏するということが神への冒涜に当たるのではないか、という懸念があったからなのですが、モールの説得によりそれを引き受けたグルーバーは、モールが数年前に自作したという詩にギターで演奏できる短い曲を付けました。そうして生まれたのが『きよしこの夜』だったのです。

 初演はその年のクリスマスイブでした。モールが演奏するギターの伴奏に合わせて紡がれる美しい旋律に、多くの人々が心を打たれました。翌年オルガンを修理しに来た職人がその歌に感銘を受け、楽譜を貰い受けて地元チロルで広めたのを機に『きよしこの夜』は世間に知れ渡り、やがて海を越えて世界中で歌い継がれるようになったのです。


 作曲した当初は200年以上も残るクリスマスキャロルになるなんてお二人とも思いもしなかったでしょうし、もしオルガンが絶好調ならこの曲は生まれていなかったのだと考えると感慨深いものがあります。

 オーストリアの小さな町で些細なきっかけで生まれた『きよしこの夜』。素朴な美しさを持つこの小さなキャロルが、これからも歌い継がれてゆけばいいなと思います。


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