12/15 クリスマスに合唱団に参加した話

 数年前のクリスマスイブの話です。


 当時私はまだ音大生で、クリスマスに上演される『メサイア』という作品に合唱団員として参加しようと考え、夏頃に思い切って申し込みをしました。


『メサイア』は18世紀バロック時代を代表する作曲家J・F・ヘンデルの作品。イエス・キリストの生誕、受難、復活を3部に渡って物語る大規模なオラトリオ(合唱、独唱、重唱、管弦楽等を伴った大規模な宗教音楽)です。

 メサイアってなんやねん聞いたことないわいっていう方も、第3部にて歌われるハレルヤコーラスは絶対にどこかで耳にしたことがあるはず。「ハーレルヤッ! ハーレルヤッ!」っていう、バラエティ番組なんかで華やかなシーンのBGMに使われるアレです。伝わるかな?


 上演日はちょうどクリスマスイブの日の夜。練習は9月頃から始まりました。始めは週1回、本番が近づくにつれて週2回に増え、練習地が遠方だったため、大学に行って練習に参加して帰宅したら日付が変わっているということも珍しくはなく。疲れは確かにあったのですが、それでもメサイアは私の大好きな作品でもあったので、楽しみながら取り組んでいました。


 ところでこのメサイア、ハレルヤコーラスだけが飛び抜けて有名なのですが、実はメサイアという一つの作品の中に合唱曲は20曲以上あります。さらに独唱等も含まれるので、総曲数は50曲以上。演奏時間は総勢約2時間半。その間、合唱団員はずっと舞台上に居続けなければなりません。一応途中休憩は挟みますし、合唱団の出番がない時は椅子にも座れるのですが、ずっと舞台上というのもなかなか辛いものでした。

 しかも、私は前日の疲れが取れないまま本番を迎えてしまったせいか、本番中一瞬目の前のヴァイオリンがフライドチキンに見えたりと訳の分からない状態になったり。ですが終曲の合唱を歌い終えた瞬間の感動は、言葉では言い表せないものでした。


 本番までの練習は大変でしたが、クリスマスイブの過ごし方としては最高のものであったと今も思います。もう一度参加してみたいような、一度で充分なような……。


 ちなみにメサイアはクリスマスによく演奏されますが、内容は1部以外あまりクリスマスに関係ありません。どちらかというとイースター向きかと。


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