12/7 マルティン・ルターと音楽

 宗教改革。九十五ヶ条の論題。免罪符の批判……。

 マルティン・ルターといえば思い浮かぶこれらのキーワード。

 かつて世界史の授業で必死で覚えたことが思い出されます。教科書に載っていたルターはいかにも偏屈で神経質そうな顔つきで、クラスメイトの落書きの格好の餌だったのですが(ルターごめん)、実は音楽的な才能にも恵まれた方でした。

 それを示すように、彼は現代にも残るコラール(讃美歌)を数多く残しています。

 その中の『高き天より』はクリスマスに歌われるコラールとしてとりわけ有名なもののひとつ。

 後世に名高いJ.S.バッハもそのメロディーを使用しており、日本でも讃美歌246番の『天のかなたから』として知られています。クリスチャンの方やミッション系の学校に通われていた方は御存じの方もいらっしゃるのではないかと。


 コラールってなんやねんという話ですが、コラールはプロテスタントの一派であるルター派教会で、礼拝の参列者である会衆によって歌われる讃美歌のことです。カトリックの聖歌が主に聖職者によってラテン語で歌われるのに対して、コラールは一般信徒が歌えるようにとドイツ語の歌詞が用いられます。

 宗教改革でルターは腐敗したカトリック教会を痛烈に批判しましたが、教会音楽の伝統に対してはむしろ好意的で、積極的に取り入れました。そのためルター派は音楽との関わりが深い宗派とも言われ、後世多くの音楽家たちを産み出すこととなります。


『高き天より』は、本来家族思いで子煩悩なルターが子供たちのために作ったとも言われているクリスマス・コラール。家族で歌うために作詞作曲されたからか、どこか素朴で温もりのある優しいメロディーが印象的です。

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