第4話

そろそろ降りようと、木の枝に足をかけた時に枝がパキッと鳴った。

 丁度そのとき庭の掃除をする為に出て来た、レーラがこの音を聞いて上を見上げた。


(あ、やばっ…!)


「ミニーノ…お嬢様?」


 しまった初めて見る景色が楽しくて長居をし過ぎた。


 彼女は驚きの余りに手に持っていた、ホウキとチリトリを落として、慌てて屋敷の中に走って行ってしまった。


(まさか、お母様の所に向かった?)


 その、予感は的中したのだ。


「ミニーノ! いま直ぐ部屋に来なさい!」


 と、お母様に部屋へと呼ばれて部屋へと向かうと。

 お母様に絨毯の上に正座をするように言われた。

 言われた通りに正座をした。そのわたしを見下ろして腕を組んむお母様の眉は、ピクピクと動き体はわなわなと震えていた。


 ため息をついたかと思えば、大きく息を吸い込み


「ミニーノ! あなたは公爵家のお嬢様なのですよ。木に登るだなんて、なんでそんな危ないことをするのですか!」


 特大級の雷が落ちた。


「ごめんなさい、お母様」


 お母様に謝りながらわたしは不謹慎にも、真剣に怒ってくれるお母様にドキドキしていた。


 前世では両親に怒られたことも褒められた記憶がない。

 小さい頃は何故? うちは他と違うんだろうと悩んでいた。

 大きくなりその理由がはっきりとわかる。


 彼らには他に愛する人がいた。

 だからわたしはいつも一人だったんだと理解した。


 親に怒られるなんて初めての経験だで、嬉しくて顔がにやけてしまう。


「ミニーノ、そんなに何がおかしいのですか?」

「ごめんなさい、反省しています」


 その後も一時間をかけてお嬢様はなんたるか、礼儀作法など追加のお説教もらった。

 今日は珍しく仕事の帰りが早かったお父様と、ご一緒の夕食の時にも小言を言うお母様。


「聞いてちょうだいあなた、ミニーノったら庭の大きな木に登ったのよ!」


 木に登ったと聞き、驚きでお父様の食事の手が止まった。


「それは本当かミニーノ……怪我をする前にやめなさい」


 お父様の低い声と、ぞわっと背筋が冷える程の冷たい冷気を体に感じた。


 これが魔法? 初めて感じた魔法にぶるぶると体が震える。


「…はい、お父様、お母様」


 返事をすると体を包んだ冷気が消えた。

 お父様の怒りが消えたのだとわかりほっとした。


 夕飯が終わりお父様とお母様に挨拶を済ませて部屋に戻り。

 着替えてベッドに飛びり両手に枕を持ちゴロゴロと、わたしには大きなベッドの上を転がった。



 顔がまた緩み笑ってしまう。


「ふふっ、お父様とお母様に怒られちゃった」


 前世ではしてもられなかったことをしてもらえると。


 この現実味離れしている世界に私は浮かれ始めていた。

 その甘さが事件を起こすとも知らずに…。

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