第1話


 叫び声と当時に目を覚ました。


(ん、あれっ?)


 見渡しても、周りに貴族、会場もなければ推しメンの王子もいない。


 いまのは夢?


「なんだぁ、夢だったのか……よかった」


 それにしてもリアルな夢だったと……息を吐き。

 手の甲で額の汗を拭っ……た? あれっ? 私の手って小さかった?


「はぁ⁉︎」


 それに、ここ、わたしの家じゃないというより、洋風だ。


 いまいるところは天蓋付きのお嬢様ベッドだし。

 クローゼット? 暖炉? ソファーにテーブル? 

 どれもこれも高級そうで白と青で統一されてるおっしゃれーな部屋だ。


(何が起きてる?)


 あの姿見に写るのは誰? だと、ベッドから飛び起き鏡を覗くと、鏡には可愛い小さな女の子が写っていた。



 誰、誰、誰なの? 可愛いのだど……どこかでみたような?

 


 はっ⁉︎ これって嘘だよね。



 驚きと衝撃でよろめき足が震えて、その場に尻餅をついた。


 ミニーノ、鏡に中に子供の頃のミニーノがいる、って……わたしだ。


 待ってよ。


 このパターンて、わたしの心にふとある言葉が浮かび上がった。

 その浮かんだ言葉を確かめるべく、原因の昨日を推理してみた。


 えーわたしは確か昨日は夜遅くまでこの乙女ゲーム『魔恋』で遊んでいた。

 ちょうどミニーノが婚約破棄をされる前で一旦ゲームを止めて。

 コンビニに買い物に出たまでは覚えている。


 んん? そこから先の記憶がない。


 いくら思い出そうとしても思い出さない。



 夢から覚めたらここにいた、となるとコンビニの買い物の後に事故? 事件に巻き込めれる? 女神に呼ばれて? それはないか……


 わたしに何かが起きて『魔法学園、私はあなた達と恋に落ちる』の悪役令嬢のミニーノとして、生まれ変わっていたんだ。


(なに、このライトノベルみたいな展開は⁉︎)


 それも『魔恋』だなんて。

 それも意地悪な悪役令嬢だなんて。



「はぁー、モブがよかった」



 確かこのゲームのヒロインって、王都からかなり離れた所に住む田舎娘のローサ・グリース。

 ある日、出掛けた近くの村で、ケガをした子供の怪我を治そうとして、聖女の力に似た回復魔法の力が発動するんだったよね。

 その時に発動した魔法はこの世界では非常に珍しいもので。

 

 王族はグリースの回復魔法に興味を持つ。


 彼女をクエルノ国の王都にある、貴族が通う魔法学園に特別枠として呼び寄せる。

 十五歳の春に入学をしてからこの乙女ゲームが始まる。

 そこでグリースは第一王子や男の子達と出会い恋に落ちるんだ。


 その第一王子の婚約者ミニーノは愛する王子と仲良くするヒロインに嫉妬をして邪魔をして、いじめて最後には王子に婚約破棄をされてしまう。


(ここまではいい)


 悪役令嬢ミニーノは婚約破棄後にヒロインを虐げたとして、王子によって牢屋に入れられて一家は国外追放で終わればいいのだけど。


 このゲームは選択肢でいじめの度合いが選べるんだ。

 例として(足を引っ掛けて転ばす)か(転ばした後に踏みつける)(転ばして踏みつけ罵る、罵倒する)とか。

 その選択肢の選び具合で婚約破棄後の刑罰が変わったはず。


 ひどいバットエンドなんて、ギロチン台の上で二人に睨まれ見下ろされたて、首が飛ぶなんて……いやぁー思い出したくもない。



 でも、まだ間に合うから良かったよね。

 ミニーノのはまだ子供だ。



 ゲームが始まるのは学園に入学してからだし、そこから気をつければいい。


 それまではこの魔法の世界を楽しんでもいいかなぁ! 

 いいとも! ガッツポーズ決めた直後に、コンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。


「おはようございます、ミニーノお嬢様。朝のタオルをお待ちいたしました」

「はーい」


 ミニーノとしての日々が始った。

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