33配信目 【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム】3

 タコを締めて内臓の処理もして、タコを茹でてようやく準備が完了した。


 茹でるときも少しコツが有るようで、リリィの指導のもと、タコの足先からちょんちょんと少しずつ入れて、タコの足をカールさせながら茹でる。

 いい感じに茹でたら鍋から取り出し、粗熱を取って、終わり。


 うーむ、意外と大変じゃった。

 やっと下処理が終わったのぅ。食材は通販で買うのが主な我じゃが、やって初めて分かる大変さじゃ。


 それになんていうか…… リリィが料理得意なのが結構ギャップが凄いの。

 的確に指示を出してくれるし、意外と結構頼もしい。普段の配信では下ネタ特盛の配信で、どっちかって言うとがさつな印象もうけるしな。

 リリィは見てくれは悪くないし、黙っていれば美人なのじゃけどのぅ…… 彼奴の性癖がそれをすべて台無しにしてる感がやばい。9割方いいけど、残りの1割のアクが強すぎる。


 レイも結構手先が器用じゃな。もともと配信でも言葉遣いは綺麗じゃし、清楚のイメージもあるしの。料理の知識はリリィに劣るっぽいが何をやってもそつなくこなす感じがするな。

 ……まあ、発言が時々物騒じゃけど。なんかタコの下処理のときもおよそ清楚とは程遠い発言をちらりと聞いたりした気もしなくもない。


「おしっ! タコの準備も終わったし、生地の準備もソースも準備万端だ!」


「うふふ、ようやく食べられるのね。私、お腹ぺこぺこだわ~」


「わ、我もぺこぺこ、なのじゃ」


:急にオレもたこ焼き食べたくなってきた

:こっちまでお腹へってきたわ

:幼女の触手プレイ配信が終わってしまった…

:みんなよく頑張った!エライ!

:まだ幼女のお食事配信があるじゃろ

:なにげに魔王様の食事してる配信初めてな気がする

:勇者レイも初めてやぞ

:天使はビール飲みながら性癖暴露大会してたけどな

:あのビール配信か…


「ふっふっふー、今日はただたこ焼きを作るわけじゃないぜ? ……じゃーん! これを見てみろ!」


「ん?」


 そう言って部屋に設置されている冷蔵庫から元気よくリリィが取り出してきたのは、小皿に分けられた色々な具材。リリィはテキパキとそれらをテーブルに並べていく。


 ネギもあるし、チーズもある。桜えびやウィンナーなんかもある。


「これも、たこ焼きに入れる…… のじゃ?」


「そうだ! ただ単にたこ焼きを作って食べるのも美味しいが、今日は折角のたこ焼き『パーティ』なんだ。もっとハイカラに行かないと損だからな! キラキライブのスタッフさんと一緒にスーパーに行って揃えてきた」


 フッとドヤ顔のリリィ。


 どうやらリリィは今回のたこ焼きパーティオフコラボに結構力を入れてくれているらしい。材料の買い出しの段階からスタッフと一緒に行っていたのか。

 というか生きたタコを提案したのもたしかリリィじゃし、我の想像以上に裏で動いてくれているようじゃ。


 まあうん、タコは茹でてあるタコを買ってきても良かったのじゃぞ?


「チーズに桜えび、ウィンナーにトマト。色々な具材があるわね~」


 気合十分のリリィを見て、レイもふふっと微笑んでいる。


:おー、ええやん

:タコだけじゃ味気ないしな

:チーズ入れたたこ焼き最高ゾ

:桜えびか

:トウモロコシとか意外にいいぞ

:トマト入れたたこ焼き美味いんか…?

:(それはたこ焼き生地をまとったただのトマトなのでは…)

:バリエーション豊かなのいいゾ~これ


 たこ焼き器の電源は少し前に入れてあるので、十分に温まっている。


 我とレイもいそいそと席につく。



「っし! じゃ、焼いてくぜ!」


 どこから取り出したのか、リリィはたこ焼きの屋台で使うような油引きを取り出し、手際よくたこ焼き器に油を塗る。

 塗り終わったらそこに生地を入れ、タコを始めとした具材を入れていく。


 じゅー、と食欲をそそる小気味よい音が鳴りはじめる。


 そのまま焼けるまでしばらく待ち、垂れそうになる涎を抑えつつ、頃合いを見計らってひっくり返す。


 そうして見慣れた球体が出来上がった。


「う、うまそうなのじゃ…… ジュル…」


 思わず涎が垂れそうになる。


 香ばしい良い匂いが鼻孔をくすぐり自分の胃がまだかまだかと喚いている。


「まあまてニーナ。もう少し焦げ目がついてからだ。

 ……っし、そろそろいいんじゃないか?」


 リリィから許しが出たら竹串で焼き上がったたこ焼きを刺して、そのまま自分の口へと運ぶ。

 もちろんアツアツなのでふーふーして、はふっと食べる。


 ~~~~っ!


 美味いのじゃ!


 外はパリッと香ばしく、中はトロリと柔らかく、中に入ったタコも良い風味を出している。自分で下処理をしたからなのか、あるいは皆でやったからか、より一層美味しく感じるっ!


 ん~~~~! 美味い!



 そうやって美味しく味わっていると隣に座っているレイがフフッとこちらを見て柔らかに笑ってきた。



「……な、なんじゃ? 我の顔にな、何かついておるか?」


「ううん。ニーナちゃん、とっても美味しそうにたべるな~って思っただけよ~」


「確かに、私らと話すときはまだ結構緊張してるけど、今は破顔していつも以上にかわいい顔してるぜ?」


「ばっ……! か、かわ……!」



:魔王様照れてるw

:かわいい

:かわいい

:くそかわ

:これは可愛いの権化

:可愛いは正義ってそれ一番いわれてるから

:画面が邪魔でみれない

:はぁ~…かわいい(クソでかため息)



「お、そうだニーナ、ニーナ」


 何かを思いついたように、反対側に座っていたリリィがとことこ歩いてこちらに来た。


「ほら、あ~ん」


「あ、あーん……?!」


「ほら、私がふーふーしてやったからもう熱くないぜ。プレートから上げて少し経ってるしな」


:ガタッ

:くそ!天使そこ代われ!

:ナイス天使

:てめ天使!

:ずるいぞ天使!

:オレも魔王様にあーんしたい!

:どけッ!俺がその役だ!


「なんなら私が口に含んで、それをキスしながら食べさせてあげようか? あ~んよりそっちのほうが良いか? 私は一向に構わんぞ」


「な、そ、そんなことできるわけなかろう…! そ、それにあ、熱い熱くないの問題じゃなくて、じゃな……! よいか? 我もう大人ぞ?!」


「照れんなよ。ほら、リスナーにサービスしてやろうぜ。ほら、あ~ん」


 う、うぬ……

 ええい!ままよ!


 目をぎゅっと瞑り口を開ける。


「ぁ、ぁ~ん…」


「うぇへへへwへwへw 可愛いなぁ…w はいあーん」


「んむぐ。…………ま、まぁうまいのじゃけど……」


 そりゃまあ美味しい。

 さっき食べたから知ってる。けれど目の前にレイがいて気が気じゃなかったぞ。コミュ障なめるな。目をつぶってたから良かったけど、あんな至近距離はコミュ障にはきついのじゃ!

 ていうかコミュ障に何やらせてるのじゃ。だいぶ段階すっ飛ばしやがったよね!?


 まあ、うん。たこ焼き美味いからいいけど…… いいのじゃけどさ…


「ニーナちゃんには申し訳ないけれど、小さな可愛い子を見ているととっても癒やされるわね~

 さて、それじゃあたこ焼きを食べつつ焼きつつ、そろそろ事前に準備したマシュマロも食べていきましょう~?」


「お、そうだった! たこ焼きで頭いっぱいだったけどマシュマロの返信もやるぜ!」


「そ、そういえば、さっきマネージャーさんが言っておったの」


 オフコラボの配信を始める前にマネージャーの真根さんが言っておったの。

 3人の初めてのコラボ、しかもオフコラボということで色々オフコラボに合わせたマシュマロが来ていた気がする。


 えーっと、どんなのが来ておったかの……?


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