15配信目 【#魔王様の宴】5万人記念で凸待ちじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】2

「ちょっと待っててくれ、今立ち絵を画面表示する準備をするからのぅ……

 よし、OKじゃ。

 それじゃあ、お二方とも、自己紹介よろしくお願いするのじゃ」



「皆さん、こんレイ~。はじめましての方も結構いらっしゃるかもしれないわね~。キラキライブ4期生で、魔王様の同期のレイ・ブレイブよ~。

 一応勇者をやっているから、魔王様とは敵かもしれませんね。ふふっ 5万人達成おめでとう~」


「同じく魔王様の同期で、天使やってるリリィだぜー! 5万人おめでとう、魔王様!」


「と、言うわけで同期の勇者レイ・ブレイブと、天使のリリィじゃ」


:同期キタ - .∵・(゚∀゚)・∵. - ッ!!

:ついに来たッ!!

:この日をどれほど待ちわびたことでしょう…

:幾千もの月日を超えて、ようやく…(涙)

:あれ、また画面が歪んでる…(感涙)

:待ちわびた4期生全員集合配信ッ…!

:全員集合が5万人記念っていうのもいいな…

:あぁ…

:敵同士の勢力が仲良く配信するエモい様が見れるんだぁ…



「魔王と勇者、そして天使。相容あいいれない者たちじゃが、今日は休戦という感じで楽しく配信しようぞ」


「ええ、もちろん~」

「あったりまえだ! この日を私達は待ってたんだからな!」


「いやぁ、お待たせしてしまったな。じゃが、待った分だけ今日のニーナ・ナナウルムは絶好調じゃ!」



 凸待ち配信2人目、そして3人目はニーナの同期である4期生の二人だ。

 勇者という設定のレイ・ブレイブと、天使設定のリリィ。


 目をつぶって聞いていると、まるで柔らかにそっと包まれているような、透き通るきれいな声で話すレイ。その声を聞いたものは『清楚』の二文字を思い浮かべるだろう。ニーナもそう

 しかし、レイを端的に表すのであれば『やばいヤツ』だ。落ち着いた口調から不意打ち気味に繰り出される、天然とも、お茶目ともとれるサイコパスのような発言。そのギャップがリスナーに人気で、『疲れたから目玉を取り替えてくる』発言や、『食べちゃいたいくらい可愛い』発言など、よくニヨニヨ動画に切り抜き動画がアップロードされる。


 他方、リリィは『活発』『豪快』そんな言葉が似合うような、なんというか話を聞いていて気分がいいお姉さんだ。

 男勝りな性格から女性リスナーにも人気だが、彼女を端的に表すのであれば『やばいヤツ』だ。何がやばいのかと聞かれれば性癖がやばい。『ロリコン』程度であれば、まあそんな感じなのね、で終わる。しかしリリィは『ペドフィリア』『ロリコン』『達磨だるま性癖』『ネクロフィリア』、その他諸々。それら全ての性癖を併せ持つ、いうなれば性癖の合成獣。某匿名掲示板では性癖の禁書目録ともっぱらの評判だ。ちなみに男の子も女の子も、男のんなの子も、全部好きらしい。

 とは言っても、性癖はアレだが、性癖を除けば、性癖に目を瞑れば、割と気のいい近所のお姉さんみたいな性格なので、リスナーからは割と慕われている。


「ふふ、調子いいんだから~。本当に待ってたのよ~? 魔王様がシャイでなかなかコラボできなくて、でもコラボしたいーって、天使様と一緒に魔王様のマネージャーさんに相談したこともあったわね~」


「あったあったw 結局振られちまったけどな」


「いやぁ、すまんかったのぅ… じゃが我も日々精進しておる。こんな仮初かりそめではなく、いつか本当に… あ… ん゛ん゛ッ!」



:『本当』に……?

:今なに言い淀んだ?

:仮初?

:おいまて今なに言おうとした

:やっぱなんかカラクリあるんか

:でも二人とも別人でもなさそうだしなぁ…



「あ↑、いや、なんでもないぞ↑? のう?勇者に天使」


「ええ、魔王様は何も言ってないし、何でもないわ~」

「当たり前だぜ! 本当だぜ! 嘘じゃないぜ!」


:限りなく怪しさMAXで草

:草

:草

:声裏返ってますよ魔王様

:汗ダラダラ流してそうw

:その汗舐めてもいいですか?

:↑ダメです。

:ペロッ この味は…!嘘をついている『味』だぜッ!!

:でもやっぱり仕掛けが分からん



「し、仕掛けなんかないのじゃ!

 そういえば、我、最近ペットの猫を飼っているのじゃ! 猫って可愛いのじゃよの?!」


「私もそう思うわ魔王様~」

「私もそう思うぜ! 六花と天花かわいいよな!」


:フリが雑ゥ!

:急な方向転換は魔王様の特権

小生しょうせいも可愛いと思います。

:ワイトもそう思います。

:俺も。

:わたくしもそう思いますわ。

:ワッチも。

:拙者も。



「六花がお茶の入ったコップ倒したときも可愛さで許せるぜ!!」


「そうじゃのう! あのときは怒るべきところじゃったが、あんなつぶらな瞳で見られたら怒れんわい」


:うーむ、本当に仕掛けが分からん。

:相手のボイスミュートして字幕読んで会話してるとか?

:意外と本当にコミュ障改善した説

:別に何でもいいや。

:魔王様のコミュ力MAXの姿見れるだけで私は嬉しい。

:事前にやっぱり録音かなぁ?

:録音だと莫大な量になりそう

:チャットで会話しつつ、音声ミュート、あると思います。

:俺は本当にコミュ障治したんだと思う

:魔王様は努力家

:俺は魔王様を信じるぜ!



 コメントを見る限り、大丈夫そうだ。


 ニーナはふぅ…と、マイクに音声が乗らないように小さく安堵の息を漏らす。

 危なかった。自分の失言で危うく計画がぱあになるところだった。しかしとっさの機転でバレずに済んだ。「さすが我」と自分を褒める。




 ――さて、もう少し六花と天花の話題を続けようかのう?



 そう考えているニーナの目に、ふと、一つのコメントがとまった。







 レイ・ブレイブ:その勇者、私じゃないわ~




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