第15話 学校

 昨日も夜どうし練習をして作曲の方をしたりなんかして確実に寝る時間を削りながら生きています。

 そんな風に思いながら学校に向かう為に歩く。

「おっはようさん」

 陽気な声と共に背中を叩かれ少しフラッとする。

 智が隣にいるのを確認する。

「おいおい今日も眠そうだな相棒」

 いつものようにお茶らけたこいつの言葉にイラッとする。

「そうだよ眠いんだよだからあんまり大声出すなうるせえな」

「それは寝ないお前が悪いんだ」

 まったくその通りではあるが若い奴なんてみんな夜更かしウェルカムでしょ。

 特大のため息を吐いて登校をしていく。


☆☆☆☆


 授業中も眠いのを我慢しながらしっかり先生の話を聞く。そして休憩では爆睡を繰り返し、昼休みになる。

「よっしゃ飯だぞ」

「わかってる」

 智のそんな言葉に返事をして弁当を取り出す。

「そういえば休みらしいな」

 突然そんな事を言われたら人は何かわからないものである。

「何が」

「何がって凛音さんだよ凛音さん」

 それを聞いてどうでも良さそうに返事をする。

「何だよ知ってたのかよ」

「いや、知らなかったけどどうでもよくないそんなこと」

「何でだよこの学園の花が一人休みってだけで内の学園は大騒ぎだぜ」

「男子だけだろそれ当人は迷惑だろ」

 学園の馬鹿な男子が叫ぶのは構わないがそれを当人がどうとらえてるか考える脳を持ってほしいものだ。

「あ~あ、お前ら仲いいからお前の春をおちょくろうと思ってたんだけどな」

「そんなんじゃねえのは見てわかるだろ」

「女よりも金にしか興味ないお前じゃあ当たり前か」

 椅子をカタカタ後ろに倒しながらなんか面白い事起きないかな何って思ってそうである。

「後今日はいつも以上に眠そうだよな」

「ああだから授業中もきつかったよ」

「授業は聞くんだな」

「ああノートは書いてないから後で写させて」

「別にいいが授業中寝ればいいだろ」

「授業さえ聞いてればテスト勉強しなくても点が取れるからいいの」

 これで練習の時間も確保できるので授業は寝れないのである。

「は~俺なら寝てるは」

 堂々と携帯をいじりだす。

「バレて没収されろ」

 そんな感じで昼休みは終わっていく。


☆☆☆☆


 昼からの授業は頭に入っていなかった。

 彼女が休みの事が気がかりで先生の声が左から右に通り過ぎていく感覚に陥る。

 何で連絡がないんだろうあれでしょ社会人は報連相が大事なんでしょ僕に連絡ありませんけど。

 まあ今はスマホがないからそっちにあるのかもしれないけど、まああったところで何もできないかと思いながら机に突っ伏す。

「おい、金木寝るな」

 注意を受けて顔を上げ少しふてくされながら返事をする。

 そして斜め後ろで僕以外にも寝てる奴を注意しろと思いながら教科書を開く。

「眠いなら頭を回すために立ってここを読みなさい」

 今日はついてないなと思いながら席を立ちページがわからないということでもう一回怒られてから音読は進んでいく。

 そんな眠い授業も乗り越え放課後になった事で帰る準備をすぐに終わらせる。

「おい、ちょっと待てよすぐ終わるから」

「提出物はしっかりやる事だな、後今日は用事あるから先帰る」

 居残りのあいつは置いて足早に帰る、その時少しあいつのクラスを覗く。

 どうやらどっちもいないみたい。

 その確認をすませ下駄箱に向かう。

「金木さん!」

 名前を呼ばれ立ち止まると背の低いなよっとした男の子が文庫本を片手に持って立っていた。

「これお願いします」

 髪で目が隠れ女の子にも間違われる容姿を持ったこの子に少しラブレターを渡してるのかとも思えてくる絵にもなってそうだ。

「ありがとうまた楽しませてもらうね」

「できれば感想もお願いします」

「わかってるでも今回は少し遅れるかもしれないけどいい」

「はい、全然大丈夫です。それよりお体に気をつけてください」

 そう言って立ち去っていく。

 僕は彼からもらった本をカバンにしまい。ふただび下駄箱に向かう。

 靴を履き替え校門を出ようとすると強い口調で呼び止められる。

 僕の顔は少しいやな顔をしてしまう。

 その子は校門の柱を背もたれにし、僕を待っていたようだ。

「あんた、遅いのよどうせやる事ないんだからさっさと出てきなさいよ」

 彼女はいつもイライラしてるなと思いながら何で待っていたのかを聞く。

「今日の練習ないから、あとあの子もただの風邪だから心配しないで」

 イライラの更年期なんじゃないかと心配になってくるよ若いのに。

「それを言う為にわざわざ待っててくれたのね」

「うっさいわね、用事はそれだけだからさっさと行きなさい!」

 そう言って学校の方に戻っていく。

「あいつは風邪か」

 別に心配をしていたわけでもないが気にはなっていた。

 そんな風に言い訳じみたことを思った瞬間にふっと笑ってしまった。

「二、三日ぐらいで元気になりそうかななら」

 何だかちょっと胸のつっかえが取れた気になった。

 家に戻ってスマホを見ると彼女から今日休む事と暇であることがメールされていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る