第11話 決め事

 黒板のカッカッという音が鳴り響いている。


 二人の人物が前で立っている。一人の男が教卓に立ち、もう片方が黒板に文字を書いている。


 男が教卓に手を置いて話し始める。


「文化祭が差し迫ってきたため文化祭の出し物を決めます」


 文化祭。学生生活でかなり上位に入るイベントだろう。


 当然楽しみでもあり、全部こういう行事ごとに動くリア充組に全部任して当日はブラブラ回りたい。


 中学時代の僕はそうしていたが、この学校は少し特殊なところがありこの文化祭の利益の一部はクラスに配られるのである。


 ちゃんとお金がもらえるのでしっかり貢献したくはあるのだ。


 そんな考えを巡らしていると、隣の女子から腕を突かれる。


「これ智君から」


 軽くお礼を言いながらを男からの紙を受け取る。


 紙を開ける前に思うことはあいつは女か。


「え~と文化祭何する」


 こんな事なら紙なんて送ってくんなよと思いながら限界まで紙を折り込み。後ろのゴミ箱に投げ入れる。


 まあ別に意見とか出す気もないから何になってもそれでどこまで利益を出すかだな。


「じゃあ意見はこんな感じか」


 僕が色々考えている間に黒板には結構色々書かれている。


 メイド喫茶にたこ焼き屋、クレープ屋にホットドックなど飲食系ばっかである。


 まあ、飲食の方が利益を得るのは簡単だからな。


「まあ、例年通り飲食ばかりの場合それじゃあ困るとのことで抽選になるのでそこだけはよろしくお願いします」


 そうはいうが飲食で行く気満々だな。


 どれも面倒ではあるから何でもいいな。


 さっきまでやる気ではいたが、今思えばこっちに割く時間を減らしたいので楽なものがいいな。


 それで言うとやっぱり飲食にしてもらいたいところだ。


 お化け屋敷なんてなった日には、色々構想とかで居残らされそうだしな。


「じゃあまあ、こんなところで多数決で決めるんで手を挙げてください」


 そんな宣言と共に多数決が進んでいった。


 そんな色々考えた僕は休憩所に手を挙げたが、クレープ屋に決まった。






☆☆☆☆






「そっちのクラスでは文化祭何に決まったの」


 そう聞いてくる彼女を見てなんか違和感感じなくなったなと思う。


 かなり最近はこうやって二人で帰ることが増えた気がする。


「一応クレープ屋にはなったよ」


「おっいいね~クレープか~食べに行かなくちゃね」


「ああ来てお金を置いていきな」


「酷いなあ、もっと歓迎してくれてもいいのに」


 自分では結構歓迎している方なのだがと思いながら歩みを進めていく。


「まあ、今日もバンドの練習ですな」


「そうだなもっとレベルを上げないときついだろうな」


「あんまり思いつめないでね、楽しくなきゃ。絶対音楽は楽しんでくれないよ」


 楽しさだけでプロにはなれないだろ。


「君と僕とじゃあ全然考え方が違うと思うよ。やっぱり」


「そんなの当たり前じゃん。私は私で君は君だ。なら違って当たり前」


「僕は結構慎重に生きたいタイプなのかもしれない」


「なら前へ前へ行こうとする私と相性バッチしだね」


 彼女のこのポジティブに僕は改めて合わないなと感じる。


「いや、無理あるでしょ」


「何もしかして私に音楽性の違いで解散コントでもさせようとしてる」


 僕はそれに対してはちゃんと否定しておく。


「まあそれにしてもまだまだ暑いね~」


 確かになと思いながら今日もまた練習場所に向かっていく。

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