第三話

「エルジオンに、こんなにうら寂しいところがあったなんて・・・・」

ウィリーがつぶやいた。アルド、サイラス、フィーネ、セティー、リィカ、エイミのあとについて、歩く。

いま、彼らがいるのは、工業都市廃墟。数年前、エルジオン都市大拡張計画に基づいて開発が始まったものの、1年余りで中止されたところだ。所々に重機やトラックが置き去りになっているほか、建築途中のビルが鉄筋剥き出しで放置されている。今は昼間だからいいが、街灯もないので、夜はまさに恐怖だろう。

「ジュリアさんはどこにいるんだろ?早く助けないと・・・・。」

ウィリーの声はどことなく震えている。ウィリーは背中に深緑色のリュックサックを背負っている。中には、身代金、といっても本物は少しだけで、ほとんど紙切れだ。


「あっ。見て!誰かいるわ。」

エイミが前方を指差す。みんなでそちらに目をやると、それは、廃工場だった。確かに、陰に誰かがいるのが分かる。

と、そう思った次の瞬間、アルドたちは筋肉隆々の男に取り囲まれていた。皆、手に手に剣や槍など、様々な武器を持っている。

「ジュリアさんをどこへやった?約束通り、金は持ってきた。返してもらおうか。」

アルドが一歩前に出て、声を大きくして言った。

「助けたければ、力ずくでこいや!」

リーダーとおぼしき男が大声で返した。それを合図に、アルドたちは一斉に男たちへ襲いかかった。

サイラスは自慢の日本刀で、次々と男たちを打ち倒していった。倒れた後も、彼らはうめき声をあげていることからするに、おそらくみねうちだろう。エイミは得意の肉弾戦で、相手を殴ったり蹴り飛ばしたりして、軽やかに倒していった。アルドも両刃剣で、男たちを斬り伏せていく。

その隙をつくようにして、フィーネ、セティー、リィカは廃工場の奥へ入り、ジュリアを救いだし、

「アルド!彼女を家まで送っていく。無理するなよ。」

セティーはそう言うと、ジュリアに寄り添うフィーネやリィカと一緒に立ち去った。


小一時間はたっただろうか。リーダーを除いて、あらかた倒した。アルドとサイラスが互いに目配せし、互いの剣を合わせ、半死でかろうじて立つリーダーに向かっていった。

「行くぞ!サイラス!」

「承知!」

エックス斬りの発動である。リーダーは前のめりになり、倒れた。

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