第6話

「あなたが伝説の存在だ。 何をおっしゃる。」

「17年前のことだ。 覚えているか?」

 ハロルドは記憶をさかのぼる。

 たしかにサンライズ国が危機的に陥ったことがあった。

 まだ前線に出ておらず、下っ端だった。

 人づてに聞いた程度だ。

「君は会ったことがあるはずだ。 夫婦の隊長。」

「確かに覚えています。 2人とも五属性が使えたはずです。 あなたほど強いわけないでしょう。」

「私なんか本気を出してもかなわない相手だ。 ひとりずつ相手してもな。」

「確かに強いのは認めますが、信じがたいことです。」

「みんなのまえで戦ったとき、加減していたのだ。 王のイメージを壊さないためにとな。 私は後日戦ったが、勝てなかった。」

 ハロルドは黙って聞いていた。

「あのとき、未確認の化け物が現れたと聞いた。 アドルフとアンナは私の横で待機していた。 状況は何百人の命が亡くなっていると聞いた2人は行くと言った。 アドルフとアンナだけだ。 2人以外は誰もいかずに1時間くらいが経った。 それは珍しいことだ。 あの2人ならほんの数分で片付いているはずだ。 私はたえきらず、皆を待機させ私だけが現場へ向かった。 現場へ着いたら、アドルフは死んでいた。 アンナはまだ息があり、話しかけた。 アンナは指をさした。 指をさした先には見たこともない化け物だった。 化け物は死んでいたが、現場は荒れていた。 アンナは言った。 この化け物のことは伏せてください。 国民に恐怖を抱かせる存在だからふせてほしい。 私はうなずいた。 アンナはやがて息絶えた。 私は荒れた現場をなおした。 あの化け物は今まで現れていない。 どこから現れたかさえ分からない。 このことを知っているのは五賢人と私だ。 私は情報をふせた。 私は鍛えているがまだあの2人およばない。」

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