第3話
小さな光が出る。
「うむ、適正ありだ。 火はどうだ。 さっきやったのを真似してみろ。」
ジョンは体の血管が熱くなるようなイメージをした。 指先に熱を感じる。
右手を開いてみせる。
ほんの数cmの火が出るだけだった。
「これもできるとは… 風と土は教えられない。 というかできないのは教えられない。」
ジョンは要領をつかんでいた。
イメージが術を発動させる。
ジョンは目を閉じる。 耳に神経を集中させる。
風の音を感じろ。 風は今、どこから吹いている。
肌で感じる。 弱いようだ。
手のひらに集める。
そして、風を押す。
風は木にいく前に消えた。
「弱いな。」 ハロルドは言う。
ジョン自身も分かっていることだ。
怒る前に土属性を発動させることを考える。
しゃがみ、地面に手をおく。
土の感覚を確かめる。 雑草が生えている。
いや、木を生えるようなイメージのほうがしやすい。
苗をうえ、そこから生命がうまれる。
地面から成長して、小さな葉っぱをだす。
「弱いが、五属性使えるとは驚きだ。 まれな存在だ。 貴様、名前は?」
「ジョンです。」
「両親は?」
「知らないんです。 物心ついたときにはいなかった。 だから、術の発動させ方なんか知らなかった。 今、初めて発動させたんです。」
「飲み込みもはやい。 普通なら、手間取るものだが1日できるとは天才だ。 飲み込むのに2日、3日かかるか遅くて1年かかるやつもいる。」
ハロルドは「ハッハッ」と豪快に笑う。
「貴様、最初は生意気に感じていたが今はますます教えたくなったものだ。 どうだ?」
ジョンはうなずく。 空を眺めていたい、ボーとしていたいという気にはならなくなっていた。
今はとにかく自分の可能性をひろげたい。
そんな欲にかられていた。
人生で経験したことのない感情だった。
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