第十回ドジョウのおでん杯
第十回記念大会受賞・二作品とゲスト審査員賞です。
笑いのヒトキワ荘・第十回記念大会 ドジョウのおでん杯
どのおでんも熱々、おいしいよ!
https://kakuyomu.jp/user_events/16817330664865923638
管理人が選びました、今大会の102号室はこちらです。
『三匹目のどじょう』 春雷さん作
【作品URL】
https://kakuyomu.jp/works/16817330664837320358
【ヒトキワ荘・作品分類】
・現代ドラマ
【作品概要】
主人公は無職の成人男性「僕」。真っ昼間の公園で同じく無職でヒモをやっている友人と酒を飲んでいる最中、彼の口から「非行ランドを建設しようと思っている」という驚きの計画を聞かされる。そんなもの成功するのか? と疑心暗鬼な僕。非行ランド建設は実行され、盛況を収めたのだったが──。
【管理人よりひとこと】
「二匹目のどじょう」という有名なことわざの意味も含めながら、ありそで無さそな「非行ランド」のユニークさ、成功と退廃など、物語の構成も光っていたと私は思いました。「おでんツンツン」は昨今ニュースを騒がせた「回転寿司屋のイタズラ事件」を思い出させ「たしかに非行ランドっていいかも……」と、ちょっと興味を惹かれましたし、ああいう見事な「着地」が用意されているとも思わず、非常に唸らされました。新作落語を聴いている感じで、流れとオチがきれいに決まっていて好きでした。
たしかに「ドジョウのおでん」について、「人間以外のツンツン」で「ドジョウ」の胸ビレ? とは思いましたが、いろいろ他も試した結果──なんだな、と納得。
夢と現実──。作り話でありながら「リアルな笑い」、身近にいそうな主人公の心の声、姿は、私にとってはシンパシーを感じ、ずっと尾を引く、胸に残る内容でした。
【管理人がつけたあだ名】
ボケとツッコミと、光る、想い
今まで読ませていただいた作品、春雷さんのボケ&ツッコミ、文章の言い回し、鋭い指摘は大変共感でき、親しみが持て、大好きでした。当自主企画は「笑い」に主軸を置いていますので、春雷さんの作品のような「物語」を読ませようとする小説は「目立つ・目立たない」でいえば不利だったと思います。しかし、主人公が語ろうとしている様々な「想い」は毎回とても光っていて、地味な気がするんだけれども鮮やかで、その素敵な物語の中に、結構ふんだんに「笑い」があるやないか! という感じでした。何度もご参加いただき、読ませていただき、本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。
103号室(ショート作品優秀賞)はこちらです。
『どじょうはおでんの味』 馬場 芥さん作
【作品URL】
https://kakuyomu.jp/works/16817330665018997182
【ヒトキワ荘・作品分類】
・民話風小説
【作品概要】
主人公の「私」が住むトッチラカン村にはどじょうのおでんなる料理があった。どじょうという生き物は「おでん」の味がするらしいが、それはどじょうの味ではなくて、お酒と醤油、みりんと鰹だしの味じゃないの? じっちゃんとばっちゃんに聞いてみるしかない。
【管理人よりひとこと】
特に前のめりに笑わせようとしているわけではない人物たちの所作が非常にユーモラスで笑いを誘われるという、不思議な感じの物語。昔話にはよくあるのですが、「ナンセンス」と言いますか、意味不明なところで「ふふっ」と笑みをこぼれさせてくれるような自然体志向が新鮮でした。何度も読みたくなるリズムとまとまりも心地よかったです。結局、じっちゃんとばっちゃんが言う「おでんの味」の正体って、なんなんでしょうね。きっと彼らにしか説明できない特別な「味」なんでしょう。
【管理人がつけたあだ名】
ひげまでおいしい「おでん」歌
詩なのか童話なのか歌なのか……。なんとも不思議な小説。今回はじめて読ませていただいた作者様なので、普段、どういったものを書かれているのか存じ上げず、すみませんが、文章だけでほっこりポカポカ温まらせていただきました。このじっちゃんとばっちゃんが作るおでんは高級ディナーにも代えがたい価値がありそうです。審査員特別賞とのW受賞、誠におめでとうございます。
つづきまして、ゲスト審査員特別賞の発表です。
まずは副審査員長、辺理さんの選出から。
今回、『笑いのヒトキワ荘・第十回記念大会 ドジョウのおでん杯』審査員特別賞に、秋坂ゆえさんの「やっぱアンタのおでんが一番だよ」を選ばせていただきました。
今回は『ドジョウのおでん』というお題が決まっているだけに、いかにこのワードを『テーマ』『とっかかり』『オチ』『フック』etc……一番美味しく食べさせてくれるかを中心に考えさせていただきました。
そういった意味で本作は、全体的に『ドジョウのおでん』を楽しませながらオチで際立ってしっかり〆る。腹に収まりのいいコースでした。
あと個人的に『完璧なクイーンズ・イングリッシュ』とか。地の文にサラッと、肩肘張らない笑わせポイントを散りばめているのが好きで。
以上の点から、私の個人的な『審査員特別賞』に選出させていただきました。
秋坂ゆえさまの、そして他の受賞されたり、されなかったりした参加者の皆さまのご活躍をお祈りしております。
辺理可付加
ゲスト審査員・ヒニヨルさんの選出、二作品です。
「どじょうはおでんの味」
こんばんは、ゲスト審査員のヒニヨルです。
企画途中に体調不良になってしまって、色々と後半参加しきれなくってスミマセン。
悲しいお知らせはここまでにして!
(ここからはやや関西弁で。ノリが変ですが許してね)
読み進めるほどに味が染みてくる「どしょうのおでん」とはこの作品の事やね!
「ばっちゃん」との掛け合い、日本昔話のような味わいが完璧に作り込まれてて、だからこそ生きてくるユーモラスさ!
散りばめられた言葉のセンスもさることながら、私はこの作品のじわじわくる、オモロさがめっちゃ好きです。
イメージ的には、杵と臼でお餅をついているようなやりとりやね。
崇期さまも言ってはるけど「どじょうのおでん」の扱いが、奥深い。
そして最後のしっぽの扱い。〆までイイ!
1000文字とは思えへん読後感。
「ご馳走様でした」って言いたくなっちゃった(笑)
「この物語は深読みするだけ無駄無駄おでんおでんソーセージ」
ゲスト審査員のヒニヨルです。
また、やや変な関西弁で書かせて頂きます。(許してね)
私、この作品深読みしてしまいました(タイトルにも書いてくれたはるのに。笑)
すごく「読ませるミステリー」な書き方をされているんですもん。どうしても真剣に読んでまう!
でもそれで良いのです。この作品はそのノリで読んでいくからこそ、キーパーソンである「沢北刑事」が生きてくる。彼はハードボイルドな雰囲気を漂わせながら、笑いの爆弾をストーリーに投下し始めるんや!(笑)
この作品も、じわじわくるオモロい系ですね。
どうも私は「じわじわ系」がツボのようだ!
どじょうのおでんと言いますか、どじょうの扱いも「え! そんな使い方!?」という思わぬ調理方法。
そしてこの作品の〆も。まったく「それ頼んじゃうの!」と最後にツッコミを入れたくなる、楽しい作品でした。
ほんまにお上手です!
第十回記念大会・受賞者の四名の皆様、大変おめでとうございます!!
おいしいおでんをご馳走様でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます