千春楽 〜表彰式〜 &おすすめ作品ご紹介

仮想文芸国家・カクヨム国 国技(自主企画)


 【笑いのヒトキワ荘】第三回大会 抱腹Z〜杯


  「誕生日を迎える主催者を文芸作品で笑わせる」場所



 これより表彰式に移りたいと思います。ご観覧の皆様、視線はそのままで気持ちだけご起立ください。


 国歌斉唱。着席。

 今大会、好成績を収められました五名の作家様に賞号の授与と三名の笑技員による講評を送らせていただきます。


笑技員


・崇期 「笑い係」ヒトキワ荘の管理人 素人作家


・オチうみ笑勝しょうかつ 「国技代表」元笑いの大関 相撲解説者


・天野糖治郎とうじろう 「煩悩担当」歓脳かんのう寺の住職


 なお、この大会の模様は「カクヨム」にて随時配信中と思われます。

 41名の作家による全55作品。2021年4月開催。

https://kakuyomu.jp/user_events/16816452219309602329




【優勝力士 笑いの横綱】淡海忍さん


作品名 天駆けるターボババア

https://kakuyomu.jp/works/16816452219037024124


ポイント総数118(笑い107、ボーナス11)

ヒトキワ荘作品分類・SFコメディ小説



崇期

 前半のトップ獲得から見事に逃げ切りましたね。まさにババアの脚力そのままに、作品自体も初っ端からぶっ飛ばしている世界観で、それを演出するルビ打ち豊かな特殊用語が結構頭の中を混雑状態にしましたけれども、作者様の手腕で放たれた輝きが最後まで活きていました。きらびやかな短い物語の中に淡い青春の香り(百合要素?)も漂っています。ミームの青春ってなによ……と思いますけど。そういう人間(?)ドラマも素敵でした。前々から気になっていた自主企画だった「へびふくろう座文学賞」も覗きにいっちゃいましたし、私も調子に乗って参加してしまいました。淡海さんのすごく真面目なふざけっぷりが好きになってしまい、『カクヨム作家さんが来なすった!』もオファーする形に。本当にご承諾ありがとうございました。私の勝手な感想で申し訳ありませんが、すごくゲテモノを書く方というより、「玄人受けしそうな感じ」がしました。文章の語り口にいぶし銀みたいな、ベテラン雰囲気が出ていて好きです。そして紳士ですよね。そう、プロフィールにあったみたいに、渡部篤郎的に、文章がイケメンですね。


オチ海

 いやー、逃げ切りましたね。稽古稽古で鍛えあげた、真面目な力士だと思いますよ。努力の勝利ですよね。技にも美しさを感じました。この器用さをもってすれば、押しても組んでも取れる、って気がしますね。見た目いろいろ飾ってはいますが、派手ではないんですよ。むしろ地味? その辺に底力を感じます。淡海関はまだ若い力士でしょう。今後ますますの活躍を期待したいです。


天野

 私はババアのヒール感に着目したい。いわゆる悪が主役となっている物語ですよね。「ババア」というのは、中年女性を極端な形でキャラクター化したものの名称。または昔話の山姥を彷彿とさせる怪物的キャラクター。若干の女性性を残しているだけで、本来それを取り上げるものではないと思います。しかしこの物語では仲間「足売りババア」との友情を百合要素も匂わせながら描いております。本人も「女は化ける」と言っていますし……

 (引用)二人は蜜月の関係であった。

 このたった一言で。この一文はうまい挿入です。そして感動の結末にもつながっています。

 崇期さんが「一見暴走族の話か?」と言っていましたが、人間ドラマのように仕立てたことで、悪がただの悪じゃない、狂気がキュートにも転じている、魅力的なキャラクターになっていますね。



【追記】淡海忍さんの「天駆けるターボババア」は、カクヨムの自主企画「第一回へびふくろう座文学賞」でも「白熊賞(ゲスト選考)」を受賞されました!

 大変おめでとうございます、うれしかったです(感涙)。




【準優勝 笑いの技能賞】RPGさん


作品名 弟「殺し屋ジョニー!?」兄「いや、耳かき屋ジョニーだ」ジョニー「コー、ホー」

https://kakuyomu.jp/works/16816452219652304524


ポイント総数113(笑い100、ボーナス13)

ヒトキワ荘作品分類・コメディ会話劇


崇期

 ヒトキワ荘に二度目のご参加作家様。タイトルでまず三人の会話を出してくるというところが大胆不敵(笑)。私の世代は「コー、ホー」ですべてが伝わる感じですね。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、すみませんというところで解説しますけど、この「コー、ホー」というのは、人気漫画「キン肉マン」に出てくる機械超人ウォーズマンの不気味な「呼吸音」ですね。会話だけで進んでいく小説ですので、登場人物のヴィジュアルや地の文で笑わせる、という技が使えません。そこを「コー、ホー」「ケケケ」が見事にジョニーの狂気っぷりを表現し、ツボにはまってしまい笑いが連発しました。出だしも、兄弟のわかりやすいやりとりがスッと世界を寄こしてくれました。大変おもしろかったです。


オチ海

 うん、いい相撲でしたね。技のどれもがきれいに決まりました。なので技能賞の獲得となりましたね。技をくりだす本人もでしょうが、見ている私たちも「決まった」という、惚れ惚れする感じ、「やったな」という心に落ち着く感じがありましたよね。全体的には大胆な取り組みなんですが、技自体は「大振り」であるとは私は思いません。今後の相撲にも期待したいです。


天野

 ナンセンス風コントが愉快でした。細かく説明されるわけではない、会話だけなんですけれども、三人三様のキャラクターがわかりやすかったですね。不思議なのは、「交通事故に遭ったって聞いたけど」という最初の兄弟の会話のところで、もう「病院のベッドに寝ている(お見舞いの風景である)」とわかったことですね。もちろん弟が「ベッドの端に」と言ってはいますけど、会話だから伝わらないんじゃないかと、セリフになにか余計なものを入れてしまいがちですよね。妙に説明調になってしまったり。それがなくすっきりしていました。そして「わからなさ」がなかった。ある意味「わからなさ」はこの物語の「ナンセンスムード」そのもの、「意味不明の耳かき狂人」に向けられるものでした。それがよかったです。



【3位 笑いの殊勲賞】いずもさん


作品名 プロジェクトS ~温泉旅館を死守せよ~

https://kakuyomu.jp/works/16816452219067114201


ポイント総数108(笑い102、ボーナス6)

ヒトキワ荘作品分類・コメディ小説


崇期

 笑いはどうしても刺激が重要ですので、私のフォロー作家さんはたしかに好みには違いありませんが、ヒトキワ荘の大会では「初参加ユーザー様が結構強い」という現象は起きているとは思います。それと、私の読書習慣で、今まであまり触れたことがない雰囲気の作品ですね。とはいっても小説のジャンル、文化としては理解できるもの。いずもさんはカクヨムのイベントに書かれた作品を二つ投じてくださったわけですが、どちらも短い作品でシンプルな作りではありながら、私にとっては新しい驚きがありました。

 テレビ番組のナレーション的に幕を開けた物語。大笑いしたのは「徳政令カード」のみで、あとは小さな笑いが回数多く刻まれた感じ。生き物を使った地味〜な嫌がらせとか、大旦那のダメっぷり、エピソードタイトルにあったサスペンス風の女将も、登場としてはわずかですが、祈り(呪い?)が結構効いたのかもですね、おもしろかったです。とにかく最初から最後まで雰囲気が出ていて、そのおかげで世界に入り込めて好きでした。


 で、正直に告白します! 一番最後の肝の部分、

 (引用)――温泉を取り戻すため、猿たちは土建屋に乗り込んだ。

 これ、元ネタ知らないです……(泣)。私きっともぐりです。いずもさん、本当にごめんなさい。これがわかっていたら、もっと笑えたと思います。いずれにせよ、二作品とも笑わせてもらいました。本当にありがとうございました!


オチ海

 いやー、強かったですねー。殊勲賞は横綱を倒した力士に──って感じなんですが、いずも関が淡海関と戦ってどういう星になるかということよりも、二つの大きな勝ち星をあげたことへの「殊勲賞」と思っていただければいいと思います。相手の相撲をよく見ていますよね。相撲が上手です。また取り組み、ぜひとも拝見したいですね。


天野

 私も普段テレビ番組などはあまり観ていないのですが、この物語は老舗温泉旅館の歴史を語りながら、よくある低迷期、苦悩からの脱却「再生物語」という、日本人が好きな感じの作品に仕上がっていますよね。「テレビ番組風」、「異世界転生」に「怪奇現象」、「暴力団との戦い」など、見応え要素がいっぱいに詰まっています。この辺、なかなかアイディア豊富、エンターテイナー的に巧みな作者様だと思いました。



【4位 笑いの功労賞】みみずさん


作品名 ハジけろ!H☆H高校!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054892643887


ポイント総数97(笑い94、ボーナス3)

ヒトキワ荘作品分類・学園コメディ小説


崇期

 今回、笑いのポイントの中で一番ポイントが高い「思い出し笑い」を獲得されたのは淡海さんとみみずさんのこの作品だけです。筆名三文字の方が今大会、頑張ってくださいましたね。この「H☆H高校!」ですが、私がポイントを測ったのは登場人物紹介を含めて三話までです。文字数カウントしてみたら5000字ちょっと。なので、長編だからポイントを稼いだということは全然ありません。短編と違いはありません。

 正直、なにが笑えたって、


  「きゃあぁぁぁぁっ!!!! 富士子の服がぁぁぁ!!!! 富士子の制服がぁぁぁぁ!!!!」


  「喰らえ!! 悶えジね!! ファイヤァァアァァ!!!! ヘアァァァアァ~~!!!!!!」

  

  (それぞれ違うエピソードから抜粋)


 このセリフのすさまじさ(笑)。ツボに入ったらしく、内容が頭に入る前から字面だけで笑ってしまうようになりました。キャラクターもめっちゃ濃いですが、事細かな説明なしにこのセリフで表現してくるので、人物の所作を想像し余計に笑えました。また語り手の心の声のツッコミが割合冷たくって、このテンションとの落差が滝壺のよう……。

 今のところ、全218話? まだ連載中なんですね。そしてタグもすごいですね。この物語が後半どうなっていくのか……。作品の長さもそうですが、きっといろいろな労力を使われ、2019年の12月から書かれているのでしょうか? 別サイトからお引っ越しされたということですから、もっと前から書いておられるのかもしれないですね。「功労賞」にふさわしいと思いました。


オチ海

 あまり見たことのない取り組みでしたね。ある意味、立ち合いからガンガンいって、本当にテンションの高い相撲っぷり。しかし、この強烈さが、相手に「やられるかも」という恐怖心を与えて、自分の相撲を取らせなくしてしまう……そういう感じもします。まさに自分の土俵に相手を引き入れるタイプの力士。いいと思いますよ。最終的に力を出していくのがいいんですよ。相撲というのは相手あってのものです。一方的に取るのではなく、自分の得意な型に持っていくまでの辛抱、流れが来てからの一気の「寄り」。できていましたね、お見事でした。


天野

 学生時代というのは、ある意味小さな空間の中に「個性のるつぼ」があるという感じでしょう。青春も、ビジネス社会のように理不尽で非情ななにかで人間を削る、というほどではない。そのときのみと知り軽やかに咲き乱れる「花火」が、派手に、また痛快に、また壮絶に、打ち上がる──そういう作品のような気がしました。たしかに前半読ませていただいた部分で判断するかぎり、テンションが持ち味の作品ですから、それに乗っていけなければついていくのが困難な気もしますが、セリフのギャグは絶品でございました。バラエティー豊かで、次から次へと休みなく畳みかける、笑えるはずですね!



【5位 笑いの敢闘賞】さすがり亜美さん


作品名 見猿聞か猿言わ猿が、それぞれ己のアイデンティティたる箇所をソフトに押さえつつ、バレエダンサーのようなえげつないステップを踏みながら、一糸乱れぬうごきで、こちらにぬるぬると迫り来るような控えめ詩集

https://kakuyomu.jp/works/1177354055399232340


ポイント総数92(笑い86、ボーナス6)

ヒトキワ荘作品分類・詩集


※現在、タイトル変更されていると思います。


崇期

 ただお一人詩集での参戦。かっこいいですよ! 私はすでに知っていますので違和感ありませんが、知らない人が見れば「笑いの企画に詩で?」となりますよね。笑える詩を書いておられる作者様も、言葉遊びに徹しておられる方も割合少ないと思うんですよね。それか私が見つけられていないだけなのか。

 とにかく、さすがりさんが「くそたわけが!」とかやりはじめたら「ヨッ、待ってました、成田屋!」みたいな感じになりますよねぇ。魂の叫びがただ書き散らされた悪口あっこうにならずに、文芸作品となっているところがすごいといつも思います。現代語というのは、だいたい使われるようになってから約1,000年以上は経っているという説があるようで、ということは言葉遊びというのは立派な「古典芸能」ですよね!(あくまで個人の意見になります)。

 この作品はすでに読んでおりました。ポイント計測は第5篇までの総数です。「小石風情で」と「カンカン鳴らすやつ」が全部持っていきました。初読みだったならば百は優に超えたでしょうね。

 別テイストの詩集もあり、そちらもすばらしいですが、こちら、「感覚遮断、それはアンハッピー」ということは、人間が生きている上で受ける、作品の昇華にもつながるような感覚的経験を、それを逃している人、あるいは見て見ぬ振りをしている人のために代わりに提供している、という感じでしょうか。

 とにかく個性が強いですし、少し古めかしい雰囲気も出ていて、「なんらかのことが原因で突然壊れてしまった昭和文豪が書いた呪いの文」みたいな感じがたまらなくかぐわしい。これからも更新楽しみにしています。


オチ海

 さすがり関は「何の脈絡もなしに猫だましした」と言っていましたが、技というものは、取り組みの流れの中でくりだすものであって、そこに必然性を求める必要はないと思うんですよね。この人押し相撲でしょう? 最後まで突っ張りだけでいけると本人も思っちゃいない。だからこそ最初から高度な技と組み合わせてやっているわけですよね? そのうち八艘飛びなんかもいいんじゃないですか? 運動神経がいい力士ですからね。前へ出る、という意欲と、挑戦的な相撲を見せてくれたということで、敢闘賞ですよ。おめでとうございます。


天野

 崇期さんは取りあげていませんでしたが、私は「暗い心情、やわらかな風」が特にすばらしいと思いました。私はこれが一番好きです。

(引用)

 暗澹たるあれこれが

 とんとん拍子に幅を利かせている

 その凄惨さに、却って誰しもが

 ははと笑うだろう、うふふ。

 

 このリズムの良さ。それから、この詩集は特別情報量が多く、「イメージのサラダボウル」のようになっていきます。つまりごった返していて、脳みそが渋滞を起こしそうになる。しかし苦しくなったそのタイミングで出てくる「お決まりのフレーズ」に読者は救われる。これは「言葉のコミックリリーフ」的な役割を見事に果たしていると思いました。笑いに関して、どなたかプロが「緊張と弛緩」ということをおっしゃっていましたが、これが詩の中で幾度も実現されているんですね。本当にすばらしいです。






★今大会のオススメ作品★


付加価値食堂〈カフェイヨ〉/凪常サツキ

https://kakuyomu.jp/works/16816452219723050375



 こちら、読んだ瞬間「脳みそにグッときた」という感じで、若者コトバ(?)を無理して使わせてもらえるなら「モロ好みでした」ということですね。


 凪常さんは前回企画時も素敵な短編を投じてくださいました。その前にも作品をちらと読ませていただいていたみたいですが、アトリエを拝見したとき、創作論・評論作品が結構多く、創作ガイドや言語、その他カルチャー論的なものとか……『ヒエログラフ一覧表』もあり、パリコレならぬ「ナニコレ?」と非常に驚いたことを憶えております。雰囲気「ここは博物館ですか?」と思ったくらいに。

 プロフィールに「猟奇組」とありました。たしかにいい意味で風変わりな、かなり硬派な「知」を狩るハンター……というイメージでしょうか。


 コメントの返信でわかりましたが、〈カフェイヨ〉は、笑いのヒトキワ荘の開催に気づかれて若干急ぎ足で書かれ投じてくださったとか。おそらくは私のゲテモニストとしての好みを知ってくださった上で「これならちょうどいいのでは?」と思われたのかもしれないですね。


 そして間違いなかったですねぇ。

 いわゆるレストランを舞台にしたグルメ作品です。そのとおりだとは思います。しかしそこで味わわれているのは非常に普通でない品。「大富豪の資産を(世の中へ分配目的で)刈り取るため」に「考え得るかぎり贅沢に手を尽くし価値を高めた」「美食というより知食」といった趣の料理たち。


 そう、大富豪たちは稼いだお金をたっぷり手放すわけですから、その代わりとしてお店は、簡単には手に入らないんだよ、という「特別料理」を用意してこれでもかと供するわけです。その給仕たちのもてなしの模様を描いた物語。


 意匠を凝らした料理が小説の肝とは言え、そのすべてをご紹介するのも読まれる方の楽しみを奪う形ですから、控えめに、とは思いますが、少しだけ。

 

 私が特に好きだったのは、「飛脚の天然水」と「手掴鮪てづかみまぐろ」ですね。


 なんかもう、作中では真剣で冗談抜きなんでしょうけど、笑っちゃいますよね。

 二百キロ離れた場所のお水(もちろん評判のいい天然水……)を乗り物を使わずに人間の足で運ばせたという……。これだったらただの水道水でも値段が跳ね上がりそうですよね。今、オリンピックがいろいろ話題になっていますが、聖火ランナーがお水を運べばもっと価値が高まりますね(笑)。あるいは聖火で沸騰させた水とか。四年に一度しかご用意できません、みたいな。

 キャッチフレーズに書かれていました「ロールスロイス燻製ステーキ」も、どうやって作るんだろうと思っていたら……。いやはや、車好きな人にはたまらないんでしょうねえ。

 中には法律すれすれの食べ物もあり、「それ食べられるものなの? 大丈夫?」という食材としてセーフなのかどうかギリギリのものもあり、考えただけでゾクゾクしました。ある意味「ユーモア料理」。一品一品、給仕のアントワーヌさんが丁寧に説明するたび、その料理が作られる過程に駆りだされ、必死に汗水流す人間たちの姿が浮かんできて、ニヤニヤが止まらなかった。私もできればその役(仕事)をやりたいと思った。裏方で頑張るのとか大好きですから。そういう地味な生き様、私には似合うと思う。


 そして、私も感想ついでに、おもしろそうだったのでユニーク料理を考えてみました!


 「コーヒーゼリーのぬか漬け」タピオカのぬか漬けはネットを調べたらあったんですよー。これもありかも? 気持ち悪いですけど。


 「茶柱のかき揚げ」もう倒れているので本当に茶柱だったか確証がない。


 「山口県の黄色いガードレールそば」山口県下関市の名物「瓦そば」の変形で、山口県(萩市?)は夏みかんが有名とかでガードレールを黄色に塗ってアピールしているので、そのガードレールを鉄板代わりに熱して焼いたそば。


 これ、一般料理ですね。高級じゃないわ……。私の頭が高級じゃないんだわ。

 

 話を戻します。

 こういう作品に対して「キャッチー」とは通常言わないかもしれませんが、小説としての親しみやすさ、入り込みやすさはすごくあると思いました。そう、できれば連続ドラマとかで観たいわ! と言うような。〈カフェイヨ〉の背景組織なども頷けましたし、語り手の宮仕・アントワーヌ・忠直さんの好ましいニュートラルさ、部下のルカさんなどの脇もバッチリですし、個性的なしゃべりの支配人とか、役者も「揃ってる」。


 しかし、毎回毎回凝ったメニューの数々を考えなければならない作者様の脳みそのことを考えたら…………脳がいくつあっても足りない! アイディア食い尽くしますね。

 

 物語は完結。短いながらも私の胸ですでに親しい存在になってしまっていた〈カフェイヨ〉がしばしの「休業」に入ったんだと(作中で)知らされ寂しいかぎりですが、その分ドラマの余韻が美しく広がってくれたところもありました。「カクヨム」で無料で読ませていただけた贅沢! 大富豪じゃないですが、味わえる幸せ(ユーモア)はたくさんありますね! 気品と奥行きある、とっても美味な作品でした。

 



 以上、〜千春楽〜 表彰式を終了いたします。

 皆様、お気をつけてお帰りください。


 なお、国技館で人気の「笑いの焼き鳥 〜すべっても美味しい10本入り〜」は現在売り切れとなっております、ご了承下さい。

 今後も大笑いされる際には引き続きマスクの着用をお願い申し上げます。もう少しの間、辛抱いたしましょう。


 それでは、また。よいゴールデンウィークを。





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