総評(と次回大会予定のお知らせ)

 皆様、お疲れ様でございます。

 自主企画【笑いのヒトキワ荘・第三回】抱腹Z〜杯もおかげ様で無事終了することができました。

 ご自分の大切な作品に数値を付けられてしまうという奇抜な企画であるにも関わらず、快くご参加くださった奇特な作家さんたち、読んでくださったふらり読者の方々、ありがとうございます。


◯企画リンクです。

https://kakuyomu.jp/user_events/16816452219309602329




 再びkoumotoさんの秒速参加で景気よく幕を開けたわけですけれども、私の誕生月の開催とあって、年齢と同じ数くらい作品来たらいいなぁと思っていたら、なんと50作超えましたね! いつも短編中心でやらせていただいていましたが、今回長編も(なんでもかんでも)オーケーにしましたので、気軽にご参加いただけたところかもしれません。


 簡単に全体感想から──。

 どなたかがコメントの返信で「笑いのツボは人それぞれだから」とおっしゃっていました。たしかに笑いは「文化」が重要な鍵ですので、自分の中にちゃんと知識があって、長年触れてきたものでしか笑えない、というところがあると思うんですよ。


 今回、長編で「異世界転生モノ」が多かったと思うのですが、小説の雰囲気や文面で「きっとおもしろいに違いない」と伝わってはくるのです。しかし私自身が文化として触れた機会が少ないがために「調査・分析」の頭が働いてしまって、素直に笑えなかったのではないかと、それは投じてくださった作家さんに少し申し訳なかったかなぁと思いました。

 ですが、こういう機会がなかったらこれだけたくさんの種類読まなかったでしょう。随分いろいろな作家さんが書かれていて、バリエーションもすごく工夫がされているものだな、と新しい発見でした。一応書いておきますが、今大会の作品で、私が一切目を通さなかった、ポイントをつけずに終わってしまった作品はありません。読んだ文字数は長編はたしかに少なかったかもしれませんが、ポイント0点もなかったことをお知らせしておきますね。


 しかし、私は今回、皆さんドふざけたものを投じるに違いない……と踏んでいいたのに、予想は大きくはずれ、居並ぶすばらしく創られた作品たち。

 私が一人盛大にすべったんじゃないかと、若干の「やっちまった系」となりました。


 拙作のインタビュー小説『カクヨム作家さんが来なすった!』は、前々から、もし可能ならばどなたかとコラボ小説など書けたらなあ……とずっと夢見ていたので、ちょっとダメ元で挑戦してみようと思いはじめたものです。共演者は私のフォロー作家様を頼るしかなく、朽木桜斎さんと塩塚不二夫さんにご協力いただけ(ありがたやー、ありがたやー)実現できました。またその後、「これ続けていくんですよね?」みたいな期待の声もいただきまして、「どうしよう……ほかの人も参加してくれるかしら?」と不安でいっぱいだったのですが、今大会のご参加で本格的に作品をいろいろ読ませていただいた淡海忍さん、それから第一回大会のご参加で知り、私が一方的に気に入り押しかけフォローをしてしまっていた煙突さん(第一回参加当時は別の筆名を使っておられました)に急遽オファーしてみたら、お二人とも「オッケー」で、ありがたく第四話までアップすることができました。


 かなりふざけすぎてる小説(?)ではあるのですが、今後も可能なかぎり犠牲となってくれる作家さんを見つけていきたいと思っていますので、時間があれば参加してもいいかな〜とぼんやり思っているカクヨム作家様、暇つぶしに読んでやるか、という読者様がおられましたら、またお付き合いをよろしくお願いします。


 10位までのランカー作品以外では、鮭さんの『胃袋ご利用ですか?』、大川かつみさんの『奴を消せ!』も好きでした。全然タイプは違う二作品ですが、読みやすくわかりやすい(?)笑いの作品、と私は思いました。


 また、宮塚恵一さんの『恐怖‼︎ ランニング金次郎‼︎』と丸子稔さんの『第21回文房具選手権』の「徒競走対決」も見ものでしたね! こういうの、ほんと自主企画ならではの楽しみ──という感じで個人的にワクワクしました。お二人共、カクヨム内ではすでにお名前も作風も存じ上げていた「名士」と私は思っていましたから、普段走らないものを走らせるという「キワモノ作品」でありながら、ただで終わらせないところが作品の魅力を上げているよな、と思いました。

 徒競走作品だらけの自主企画とか、ちょっとやってみたい気もしますね。他ご参加の辰木誠一さんも、お名前を見た瞬間に、前参加作品が脳裏に思い出されて、「しみじみ」させていただきました。私もちょうど、企画に参加した時点で、主催者様が名前を見て「こいつ来たかァー!」と苦笑いされるような作家になりたい、と思ってたんですよ……とりあえずそれを目指していきます。いや、辰木さんを苦笑いしたわけではないですよ! うれしかったです。



 ではでは、笑いのポイント集計の1位〜10位までの発表です。


 

1位 天駆けるターボババア/淡海忍

   ポイント総数118(笑い107、ボーナス11)初読み



2位 弟「殺し屋ジョニー!?」兄「いや、耳かき屋ジョニーだ」ジョニー「コー、ホー」/RPG

   ポイント総数113(笑い100、ボーナス13)初読み



3位 プロジェクトS ~温泉旅館を死守せよ~/いずも

   ポイント総数108(笑い102、ボーナス6)初読み



4位 ハジけろ!H☆H高校!/みみず

   ポイント総数97(笑い94、ボーナス3)一部のみ二回目の拝読



5位 見猿聞か猿言わ猿が、それぞれ己のアイデンティティたる箇所をソフトに押さえつつ、バレエダンサーのようなえげつないステップを踏みながら、一糸乱れぬうごきで、こちらにぬるぬると迫り来るような控えめ詩集/さすがり亜美

   ポイント総数92(笑い86、ボーナス6)二回目の拝読



6位 この物語に変態は一人もいません/猫とホウキ

   ポイント総数87(笑い79、ボーナス8)初読み



同6位 付加価値食堂〈カフェイヨ〉/凪常サツキ

   ポイント総数87(笑い77、ボーナス10)初読み



7位 ハモとおかんと笑わない俺/東美桜

   ポイント総数73(笑い68、ボーナス5)初読み



8位 スマホかと~ 思ったら~ かまぼこ板でした~ チクショ(暗転

/いずも

   ポイント総数72(笑い61、ボーナス11)初読み



9位 11時57分のシンデレラ/koumoto

   ポイント総数59(笑い56、ボーナス3)初読み



同9位 魔法にかけられて/さすがり亜美

   ポイント総数59(笑い58、ボーナス1)二回目の拝読



10位 お笑い!!quiz王/紫 李鳥

   ポイント総数58(笑い53、ボーナス5)初読み




 今回、同数の方が結構いらっしゃったので、12作品のご紹介となっています。



 ※ちなみに、拙作の「カクヨム作家さんが〜」は46ポイント獲得し、なんとか二十位以内には入れました──朽木さんの「はらわた」&塩塚さんの「ドリカム」には感謝です……。


 ご存じかどうかわかりませんが、声に出さない笑い「ニヤリ」「ニッコリ」もポイントに含めています。まあ、ニッコリの方はほとんどなかったです……児童文学とかは少なかったからですねえ。


 ボーナスについて、一番多かったのは「キャッチコピー・タグ・タイトル」、「作品好感度」などですかね。これらはあくまで私の主観によるものなので、おまけのようなものと思っていただければと思います。

 5位までの方は表彰式「千春楽せんしゅんらく」と三人の笑技員による「講評っぽいもの」がありますので、その他の作品について少し感想を述べさせていただきます。


※なお、ここから先の感想は「ネタバレ」になるかと思います。作品をピュアな気持ちで楽しみたいとお考えの方は、お先に作品をお読みになっていただければうれしいです。



◯猫とホウキさん

 いつもヒトキワ荘に貴重な書き下ろしを本当にありがとうございます(敬礼)。

 以前、「第三回こむら川小説大賞」に私が『着飾った空の祭典』という、空のファッションショーの模様を綴った短編を投じたとき、謎のアンデッドさんという評議員の方から、「カレー屋に入ってカレーを頼んだらカレーが出てくる展開」の小説だった、と非常におもしろい講評をいただいたことがありました。

 この猫さんの作品もまさにそうですよね! 「この物語に変態は一人もいません」と反語で匂わせておいて、というより、ほぼ中身の状態を打ち明けておいて、蓋を開けてみたら「変態しか出てこない」──見事な「カレー専門店」でした。

 変態モノは内容が過ぎるとドン引き必至となりますから、その辺のさじ加減が難しいと思うのですが、いつもの出色なツッコミの味で笑わせてくれ、語り手のブルータス的オチの実際が度肝を抜く感じでよかったです。二重三重の仕掛けが楽しめる作品だったと思います。風林火山の旗のナンセンスさもグッドでした。



◯凪常サツキさんの作品は別項で感想書かせていただきます。



◯東美桜さん

 「お笑い(芸人)」をネタにした作品ですね。それについてよく知らなかったら「?」とはなりますが、私はなにか一つを貫いている作品というのはなんだかんだ言って「強い」とは思っています。私のように海外小説をネタにしてしまっては、それこそマニア受けしかしません。こちらは反対にテレビやYouTubeで知ることができる認知度が高いネタになりますから、芸人さんが大好きな人にとってはたまらないだろうと思います。出だしのつかみの部分が特に好きでした。缶コーヒーのカップ注ぎはいらつきますし、やたら振り回される「ハモ」がいい。唯一残念に感じるのは、作中のギャグが東さんの自前なのか元ネタがあるのか、どっちなのかなぁ、とふと思ってしまうこと。でも、どっちでも笑えるならいいじゃん、とも思います。自前と思っても、すでに似たものがあったんじゃないかと悩むこともありますしね……。まだまだ他の作品にも(キャラクターなどが)派生しそうな感じですね。



◯いずもさん

 さすがりさんとお二人とも、二作品のランクインは本当にすごいですね。管理人をそこまで笑わせてくれようとは。どちらも文字数は少なめでシンプルに仕上げてはいると思うのですが、細かい芸で回数多く攻撃してくる感じがたまらなかったです。くり返されるフレーズですが、前半はかなり「強烈」に効いてくれました。徐々に笑いは減じるとしても、「かまぼこ板」は最強ワードなのだと、今さらながら知らされましたよ。ある意味、現代人の「リアル」が感じられる一日の風景が、そういう感じで読めば胸に染み渡る風でもある……「悲しさとおかしさ」みたいな。「かまぼこ板依存症」もこっそり笑っておきました。タイトルはコウメ太夫さんかな? クールポコさんも入っていますね(この辺なら私にもわかる……)。



◯koumotoさん

 えーっと……9位10位の三名の作家様って、私にとってデジャヴュ感が(笑)。これは私の好みに一切のブレがないことを表していますな(しかも僅差)。今後もよろしければお三方でバチバチの争いをお願いいたします(かるーく誘ってみる)。

 koumotoさんの作品はやはり知的で品があっていい! 好き。このシンデレラのどこに品があるのか──いや、もう一つの作品の方ですね。ソクラテスさんも素敵でしたが、こちらのシンデレラのダーティー感はたまらなかったです。毒突きが特に。なんと言っても文章がいいし、この多彩な表現力で来られたら打ち倒されてしまいますね。「邪智奸佞(じゃちかんねい)の姉ども」とか「猿(ましら)のごとく」など、コメディでそうそう拝見できる単語ではないですね。シンデレラの「海千」感が出ていていいです。王子が図太く狂気だったというオチも好きでした。



◯さすがり亜美さん

 私はさすがりさんのコメディ作品でしたら、多分『床上手な一撃』が一番好きなんじゃないかな、と思います。ええ、私のいつもの、ヒトキワ荘に投じられていない作品を勝手に褒めるという得意技が披露されました。あちらは王道コメディみたいな気がしますが、こちらの作品の方が情緒的な「あや」が感じられますね。二つとも久しぶりに読んでみたら、自分の過去のコメントがなんか恥ずかしい……。なぜか「若い」と思った。たった数か月でこんな感覚に陥るとは! ネット上を流れる月日の速さ、恐ろしさ。

 作品ですが、美しいタイトルとカラスネタの余韻ある感じで挟まれた「なんじゃこりゃ中身」。おそらく、世界を救う「ヨコシマ農園」で採れた代替肉サンドウィッチを主人公のからしマヨネーズと共に味わう作品(たいしてうまくもないのに自慢げな管理人)。それと「影法師」のキーワードボーナスがありました。もう、はまって読みだすと笑いが止まらなくなりますよね。初読みではなかったので、これくらいにはなりましたが。



◯紫 李鳥さん

 この作品は、いわば「ストックキャラクター」で笑わせる作品になっていますね。お金持ちが「ざます」と言うとか、大阪のオバちゃんがすごいバイタリティーがあるとか、みんながよく知る「類型」を持つ登場人物のことですが、実は第二回大会のときに、「ストックキャラクター杯」をやろうかと考えておりました。ほかにも「エスプリ杯」とかも考えていたのですが、「そんな作品、カクヨムに本当にあるの?」と思ってしまい、断念しました。でも、ありましたね。日増さんの「キャバクラ!」には持っていかれましたし、私が個人的に好きだったのは極道野さん。ここまでブレないキャラクターは喜ばしいとしか言いようがない。「歩く銃刀法違反」という感じが笑えました。『忍たま乱太郎』くらいわかりやすい登場人物の名前もよかったです。司会の渡辺さんがヒール感を出しているので、もしかするとなにか秘密があるのかも? まだ連載中ですかね?





★次回の大会予告など★


 今回、コメントの返信として、「前からおもしろそうな企画だなあと思っていた」などのお言葉を初参加作者様よりいただき、それも大変うれしかったです。


 またまたポイントなどは度外視で「賑やかし」として参加しましたー、と言ってくださった作家さんもおられ、感無量でした。自主企画は本当に責任もあるし大変なんですけど、今後もなんとか続けていけそうな気がします。なので、私自身がちゃんと「品行方正」を保ち、削除要請を受けないようやっていくことを心がけるのが大事でしょうねえ……。病気で入院しないことも大事ですね。


 今大会、バラエティー豊かで素敵な作品が多かった分、私の「ゲテモノ食い」はそこまで実現しなかったような気もします。唯一激しく食いつかせていただきましたのは、期間終了差し迫る中、ありがたい最新作で二大会連続参加をしてくださった凪常サツキさんの『付加価値食堂〈カフェイヨ〉』ですね。これは好みのど真ん中という感じで。ゲテモノなんて言ったら失礼な、素敵な雰囲気の作品ですけれども。なのでオススメ感想を書かせていただくことにしました。


 奇作・珍作・愚作が割合少なかった──ただそれは、皆さんの笑いの作品にかける真面目な姿勢と感じまして、もっといろいろな種類のユーモア&コメディ作品を集めていける企画にしたいなあと決意を新たにしましたよ。



 今後の予定ですが──


 前回、と言いますか、今年の一月から「長編(キッパータック〜)の続きを書く、絶対に書く」と言って、三か月経った今、やっと3000字書けただけという悲劇……。


 しかし、前大会で、ナンセンスのオススメ作家さんとして目さんをご紹介しましたら、目さんのフォロワーさんが「キッパータック〜」を読んでくださるという縁につながりました。これは大きな収穫! もちろん、目さんが近況ノートで「紹介してもらった」と書いてくださったからなのですが。近況ノートも結構大事な活動ですよね。他にも読んでくださる方も出てきました。うれしいことです。


 しばらく他作品をゴチャゴチャ書くのは控えめにして、そろそろちゃんと長編頑張っていきたいです。



 ということで、次回の【笑いのヒトキワ荘・第四回大会】はざっくり「夏」開催予定、という感じ? どうかな?


 よくよく考えれば、昨年の11月末が第一回で、五か月でもう三回やってる! やり過ぎですね(笑)。なんか、きっついな〜と思ってたんですよね。選考も、感想書くのも楽しみもありますが、結構大変です。


 今後は、軽い企画をやりながら、少し間を開けて、皆さんのアトリエに新作がジャンジャカ出来た頃にやりたいですねー。

 また自主企画で目に入りましたら、ぜひご参加ご検討をお願いいたしますね。


 一応、内容を考えました!


 多分、「昔の笑いで出ています杯」(仮)──こういう感じで。古くさい笑いの作品なんて、どうでしょうか???


 計画としては、昭和・平成を尊ぶ感じで。もっと古典でもいいですし、学生作家さんの大人な感じの笑いの作品も読んでみたいです。こちらは短編で行こうかなぁ〜、と思っております。私も頑張って書き下ろしを編むぞ!


 あと、「ストックキャラクター杯」「エスプリ杯」「ショートショート杯」もやりたいのですがー、どうでしょう。なにか素敵な大会アイディアをお持ちの方がいらっしゃいましたら、「これやってよ」と気軽に教えてください。


 それから『カクヨム作家さんが来なすった!』も、ゲストを引き続き募集中です。Twitterなど、下書きURLを取り交わせる手段をお持ちの方で、カクヨム内で代表作を一つ以上あげておられる作家さん! ふざけるのが平気な方なら私のフォロー&フォロワーさんじゃなくても、コメディ作品をまったく書いておられない方でも大丈夫です。締め切りなしで完成したらアップする形で、気楽にやっています。ご興味ある方は私の近況ノートへお越し下さい。

※現在、お一人の方、私が強引に予約(オファー)しました(ヒトキワ荘に参加されたことのないTwitterつながりのカクヨム作家様です。この方、コメディは書いてないんじゃないかなぁ)。



 では皆様、今後もご健康に気をつけて、ご執筆励まれてください。よろしくお願い申し上げます。



 ヒトキワ荘・管理人 崇期すうき

 2021年4月30日


 


 




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