104号室 猫とホウキさん
2021年1月〜2月開催 寒さも吹き飛ぶおもしろさでしたね。
【笑いのヒトキワ荘・第二回住人募集中】シュール&ナンセンス杯
https://kakuyomu.jp/user_events/1177354055597805191
104号室はこちらの作品です。
軍師さま、伝言ゲームはお得意ですか?/猫とホウキ
https://kakuyomu.jp/works/16816452218421836946
【ヒトキワ荘・作品分類】
・ユーモア小説 (ナンセンス系)
【作品概要】
某世界の某大陸にある某王国に仕える天才軍師・ソウケンボウ。あるとき、帝国から一千万の敵兵が越境してきたとの知らせが届き、その情報に疑問を抱いた彼は、噂の出所、大将軍ニッペラの館へ向かう。錯綜する情報、変化する敵兵の数。冷静に真実を見抜き、解決へと導いたはずのソウケンボウだったが……。
管理人室より
まずは今回、「ヒトキワ荘応募用」というタグまで付けていただき、熱い書き下ろし作品を投じてくださったこと、深く御礼申し上げます。管理人は飛びあがって大喜びしましたことをお伝えいたします。
もちろん書き下ろしの情だけで選んだわけではございません。四作品の選出についても、猫さん(略してゴメンナサイ)が投じられる前は、凪常サツキさんの作品を気に入っており、そこに猫さんと、八壁さんが追加エピソードで怒涛のパンチを繰りだしてきたわけです。こちらの三作品もすべて落とすのは苦行でしかない、と思い至り、今回のような結果に落ち着きました。
もし本当に義理人情、個人的理由だけで選ぶのでしたら、私は間違いなく朽木さん、塩塚さんを選びますし、さすがりさんには土地の権利書までお渡しするでしょう(要りませんでしょうな)。
今作、書きはじめはシュールをイメージされたということで、たしかにシュールもナンセンスも不条理という語でまとめられ、まるで同じように語られることも多いですし、私も見分けがつかないことがよくあります。
90年代、ヒットを飛ばしたある音楽バンドのヴォーカルの方が、「ロックをやりたいんですよ」みたいな発言をしたときに、「おまえのどこがロックか」と猛烈な批判を受けたそうで、作品ジャンルを誤っただけでそこまで攻撃されるのだとしたら迂闊には言えないよー、と思いますが、私の中での決め手は、偶然性ある異物の差し込みで現実が照射されるものがシュール、逆に計算的に論理性を外して現実を放りだしすっとぼけているのがナンセンス、と思うようにしています。
今大会では、さすがりさんの「王手」が一番わかりやすいシュール作品でしょう。あれは別に「将棋である必要はなかった」と思います。作者様の頭の中でなにか計算があったとしても、引き起こされたおかしみとしては偶然性が高く、それが主人公に「ままならない現実」を突きつける形になっています。
ナンセンスとして最高に破壊的な作品を投じてくださったのは鮭さんで、「うん高」のカレーと◯◯◯(まさかの全伏せ字)は、偶然に組み合わせたものではないでしょう。偶然であってたまるもんですか! と思いますが、(別に怒っているわけではないですのよ)、次々予想が外され、なんの現実も浮かびあがらず、ただ意味不明な笑いに溢れています。
猫さんの今作は、すべて計算された笑いの世界だと感じました。登場人物の頭の中にあったはずの「論理性」が作者の巧妙な計算により覆され(信じてついていった読者も裏切られ)、天才軍師とまで謳われた人が「そんなのずるい」「運が悪い」と現実逃避しています。戦争、国の存亡といった現実の問題があるにはあるのですが、読者の目をそれに向けさせようというよりはあっさりと投げだされた感があります。この辺の気の抜け方が実にナンセンスで、おもしろいです。
また、最後のオチへ行くまでは、ひたすらシリアスに徹したところもお見事でした。私が書いていたらきっと我慢できずに、ちょいちょいくだらないギャグを挟んでいたと思います。ここが猫とホウキさんの理性のすばらしさですね。大変スマートで、もしかすると笑いの作品が苦手な方にも受け入れられるような、短い中にも読み応えある物語のコク味が生まれている気がしました。
もう一作の「超級豪速! ストライク・ラブレター」のナンセンス破壊力も半端ないですねー。軍師さまの傍点と、ストライク・ラブレターの増長していくルビは特にツボでした。何箇所も噴きだしましたし、想像させられる異様な熱を持った世界がたまらなかったです。バッターの方のお名前が「佐々木さん」ですが、野球ファンなら「ピッチャー・佐々木であってほしかった!」と思うところも。
とにかく、この猫とホウキさんの、優等生的真面目な雰囲気で語りだすアホ世界はものすごく愛せそうです。ぜひこの道を究められてください! 期待しております。
猫とホウキさんへ
管理人がつけたあだ名 「バトラーのおすすめ、やわらか『どコメディ』」
ご本人というより作品のキャッチフレーズみたいになってしましましたね。
上品で理知的なイメージから「執事」がなぜか浮かんできました。
正直、前大会で読ませていただきました「首無し少女と行きましょう! 〜悪夢?の廃墟探検〜」も私としては相当気に入ってはいました。ボケもツッコミも非常に理知的な落ち着きがあり、物腰柔らかな雰囲気の語りがすごく上品で、私の読書習慣ではあまり読んだことがないタイプの笑いでした。それがすごく新鮮で、私は最初、少女マンガの世界から来ているものなのかな、と思いましたが、プロフィールにご紹介のある作品を私は存じあげず……ライトノベルでしょうか? きっと猫とホウキさんの理想の作品像とか世界観とか、あるのでしょう。ご自身の人生とか性格上で創りあげられたものもあるでしょうから、なんとも言えませんが、とにかく、猫さんの作品でしか味わえない空気感があり、私が惹きつけられるところであります。
今回、他の作品(恋愛もの)も読ませていただき、コメントの返信で「ギャグがないものはなんか恥ずかしい」とのこと。ということは、元々コメディがご自身の主流というか、ギャグが入っていないと落ち着かない、ということなのでしょうね。とすれば、今後もヒトキワ荘候補の作品がじゃんじゃんできますね!(笑)。管理人はそういう方を求めています。有り体に言って「常連さん」ですね。もちろん、お時間にご無理がなければ、ということで。
今回、総評などでゲテモニストを自称しましたから、私の企画が「キワモノづくし」恐怖の奇作・珍作祭りになっていったらどうしよう……と不安もありますが、正直、管理人としては一度その絵も見てみたいわー、という邪念がふつふつと湧いております。でも、紫さんや猫さんのような上品な作風の方が来てくださるなら大丈夫でしょう、きっと。
これからもよろしくお願い申し上げます。今回は、住人獲得おめでとうございました! 二作品とも素敵でした。
ヒトキワ荘・管理人 崇期より
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