濃紺と銀色−10


 カラカラカラ。回る車輪の音がまだ残る中、陽太はひょいとサドルから立ち上がった。



 そのままうーん、と声を出して背伸びをする。



 その首筋に、うっすらと新たな汗が浮かんでいることに、私は今気づいた。



「……ねえ、何祈ったの、そんなに」



「先に言っとくけど、馬鹿とキモい禁止な」



「わかった」





――星野さんが好きなものに、おれもなりたいです。





 ぐるぐるぐる、が、胸の中でぱん、と音を立てて弾けた。

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