濃紺と銀色ー9


「どういうとこ? おいしいとこ」



「……説明不親切ってよく言われない?」



「だって今ちんたら説明してたら本当に溶けちゃうじゃん、アイス」



 ぐるぐるはまだ収まらない。それを悟られたくなくて、私はアイスにかじりつく。あとふた口でたぶん食べ終わる。



「おれ、さっき願い事したんだ。星に願いをってやつ」



「……へ?」



 言われた言葉があまりにも突拍子なくて、アイスをかじる手を止めて、私は思わず問い返した。



「なんだよ、今日は一応なんちゃら流星群を見るための会だったろー」



「あー、そうだったっけ……?」



 天体観測とは聞いていたけれど、実際に流星が来るとかいう理由があったことは知らなかった。そう言うと「星野、ほんとロマンない」と陽太は小さく笑った。



「流星群ってことは大量に星が流れるわけだろ。だったら、数打てば当たるかなと思って。だからめっちゃ祈ってた。こっそり。実は」



「そんなに必死になって叶えたいことあるんだ。意外」



「あるよ。だからさっき」



――王様にもなれたし、当たりも引けた。人生で初めて。


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