第1章 3話 一つの区切り

飛行したデモニオライノの上部にリケッツは上部に付けていた

断崖から様子を伺っていた僕は彼の戦闘センスを認識する事に

なった。


『こないなったらしゃあないな、覚悟しなはれ』


 その言葉と同時に人差し指からレーザーを思わせる光が

放たれた、光はデモニオライノの頭部を貫き一瞬で絶命さ

せたのを見て思わず言葉が出た。


『う!なんて強さだ、冒険者とはこんなにも強いのか?

 圧倒的じゃないか』


 実力差については今は考える事ではない、絶命たデモニ

オライノの落下地点を確認しつつ戻ってきたリケッツに

感謝の気持ちを伝えた。


『ありがとうリケッツ、僕の計画ではヤツの飛行形態を

 考えると失敗していたよ、リケッツが協力してくれた

 お陰で倒す事ができた、先の約束通りパーティーの

 一員になるよ、でも実力差を感じるけど大丈夫か?』


 リケッツは良いかもしれないが、他のメンバーも

強者揃いではないだろうか?文句が出なければいいが。


『大丈夫やろ、リーダーのうちが決めたんやし、気持ちの

 エエ奴らやから安心しなはれ。それになパーティーなん

 やから与えられた仕事をすればいいんとちゃう?』


 リケッツが言うのであれば大丈夫なんだろう・・・・多分。

何れにしても約束したからにはメンバーの一員として可能な

限り与えられた仕事はこなそうと思う。


『リケッツ、いつからパーティーに合流すればいいかな?

 長くこの地を離れるなら準備もあるし』


『雄靖はん、その事については後で話すよって、先ずは彼女に

 報告したらよろし』


 パーティーメンバーになるのは恩義もあり良いのだが、

シャナの事を考えると少し考えてしまう、これからシャナ

にデモニオライノを仕留めた事を報告するけど愛の告白を

している手前シャナに対しての態度を決めかねている。


 彼女が僕の愛を受け入れてくれるのだろうか?

デモニオライノを倒した事はポイント高いとは思うが……

でも彼女からの返事はまなんだよな、そして今回の

パーティーメンバーになる事・・・・。

でも今ここで考えても答えは出ないよな、すべてを正直に

話し彼女の反応を確認しないと僕自身の気持ちも次の

段階に進めない感じだ、彼女の反応次第ってのは僕の

主体性が欠如している感じがするのだけど彼女の気持ちを

第一に考えたい。


 彼女が避難している場所に戻り倒した事を報告した


『シャナさん、何とか倒す事ができました。僕一人の力では

 ないのですが……』


『雄靖さん……今はまだ、あなたの想いに なんて答えれば

 いいのか……命すら危険に晒してくれのに私・・・・』


 彼女の逡巡する気持ちは何となくだが理解できた。

今以上の言葉を求めるのは難しく思える、ここは僕が話しやすく

彼女を導く方が良いのではないか・・・・よし!


『今は二人無事だった事を喜びましょう、自分の勝手な想いだけで

 貴方を守ると決めたのだから意地を通しただけです、無事に貴方の

 前にこうして立つ事が叶いい僕は満足しています。』


 話し終わると彼女の泣き濡れた顔が僕の胸の中にうずめられ

彼女は『ありがとう……』と言い、僕はそっと抱き締めた。


『ええ雰囲気のとこなんやけど、話ししてかまへん?』


 その言葉に彼女は驚き僕の側から離れ、リケッツを見て

瞠若していた。


『シャナさん、彼はリケッツ、デモニオライノを倒す事に

 協力してくれたんです、僕が無事だったのは彼の助けが

 あったからですよ』


 リケッツはシャナさんに顔を向け微笑んでいた


『ちょっと手伝っただけですから気にせんでいいよ』


 この言葉にシャナさんの警戒心が和らいだ様で表情が

少しだけ穏やかになった。


『雄靖さん、リケッツさんとは付き合いは長いのかしら?』


『リケッツとは闘っている最中に声を掛けられて、協力を

 お願いしたんですよ。ちょっと条件が有りましたが・・』


『?条件?・・・・条件について御聞きしてもよろしいかしら』


 僕の条件と言う言葉に彼女は不安を覚えたようで問いかけ

られた。ま、気になるだろうとは思うが。


『条件なんですが・・リケッツのパーティーメンバーになる

 事なんですよ、務まるか不安はあるのですが』


『パーティーメンバーって冒険者ですよね?危険が伴う

 仕事ではないのですか?』


 そこでリケッツが話しに割り込んできた


『お二人さんちょっとエエか、パーティーメンバーって

 事だが常に行動を共にするわけじゃないで、必要な

 時に招集するさかい今までの生活を続けていても問題

 あらへん。それになメンバーは強者揃いやし危険は

 少ないと思うで』


 と、心配したシャナさんにリケッツは説明したけど、リケッツの

説明では前衛だったような? 援護は有るとして前衛は安全だとは

考え難いと思うのだが・・・・


『リケッツ、今の説明だと呼ばれなければ今まで通り生活を続けて

 いいのかい? 確認なんだけど』


『それでええんちゃう?かまへん』


 そうだったんだ~パーティーメンバーだから常に行動を

共にするのだと思っていたよ、どうしようシャナに話す内容

が変わってくるな・・・・。

ん?でも逆に話しやすいのではないか。


『シャナさん、リケッツの話しでは危険は少ないようです。

 しばらくは今のままの生活と冒険者を両立させようかと

 思ってます。』


 取り敢えず生活に大きな変化が無ければ、シャナさんには

この返答で良いと思う。本当に危険は無いことを祈ろう。


『そや、倒した得物を見てもろうたらどないや?』


『崖下だろ?あの場所までシャナさんを連れて行くのは

 安全上ちょっと問題じゃないか?他にも魔物とか居そう

 だし・・・・』


『心配あらへん、収納魔法で回収してるよってな、ここに

 出すよって、ホイ』


 リケッツの収納魔法は手際がよく流れる様な動作で

デモニオライノを僕とシャナの前に出した。


 倒されたデモニオライノを複雑な眼差しで見入って

いた、しばらくして僕の方に目線を移して話始めた


『改めて助けて頂き有難うございます、貴方の想いについて

 の答えはもう少し待って下さい、気持ちの整理をしないと

 答えを出せなくて……』


『シャナさんの答えが出るまで気長に待ちますから、焦らない

 で下さいね、そろそろ帰りましょうか?』


『リケッツ、僕たちは帰るけど一緒に来るかい?

 僕の家の場所を知らないと呼びに来れないんじゃ?』


『大丈夫や雄靖はん、ヤニスの店は分かりますやろ?

 ワイは店主のヤニスとは長い付き合いでな雄靖はん

 の事は奴から聞いて知ってたんよ、魔法のクセで

 気づいたんけどな。

 だから住んでる場所は大体分かるよって、でもこれ

 持って帰ってくれるか?ワイはこれの位置を察知出来るのや』


 そう言うとリケッツはペンダントを僕に手渡した。

ペンダントトップには7色に光石が付いているだけのシンプルな

デザインである。


『パーティー活動する時は教えてくれよ』


僕はそれを受取りシャナと帰路に就いた。


 家路に向かう僕達は無言で歩き続けた。

僕の気持ちと決意は伝えたつもりだ、後は彼女の気持ち

次第だと思う。

僕自身としては言いたい事は言えたので気持ちは清爽だった。


一時間ほど歩いたところでシャナの家に着き彼女と玄関で別れ

僕も家路に就いた。

帰宅し寝床に横になりながら今日の事を考える。

シャナさんには精神的な負担になったのではないか?

自分の気持ちを一方的に押し付けたのだろうな……


ダメだな、起きてると余計な事を考えてしまう

もう寝よう・・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 翌朝は何時もより早くに目覚めた、ロックラビットから取れる

願の石(水晶の様な石)の在庫が心許なくなってきたので

久々に狩に行く事にした。


 リケッツとの約束でパーティーメンバーにはなったものの

やはり生活の基盤は異世界では狩で得られる願の石、薬草採取。

願の石は世界を越える移動又はアクセサリーとして売る事で

元の世界での収入源だ、ちょっと反則だが株のトレードにも

活用しているので上手く運用出来れば多額の利益を上げられる。

しばらくは両方の世界で生活を安定するための資金作りをして

いこうと思う。


 森に来てみると何となく何時もと違う感覚を覚えた。

狩りの対象であるロックラビットの気配を感じて取れるからだ

一体これはどうしたのか?初めての感覚に驚いたが、よく考えて

みれば便利であるので・・・・深く考えずに使う事にした。


『いや~大猟、大猟。ちょっと怖くなるな、能力の追加は・・・・』


 戦いによる経験値で能力を得る事があるのだろうか?

今度、我が魔法の師匠カルヴァンに聞いてみるか。


 後日、願の石を使い元の世界でガラス製品を仕入れヤニスの

店を訪れていた。


『久し振りだねヤニス、元気だったかい?』


『リケッツに会ったんだって?聞いたぞデモニオライノを

 倒したんだってな!』


『情報が早いな、リケッツから聞いたのか?』


 そう言えばリケッツはヤニスと知り合いだと話していたな

リケッツについてもう少し情報が欲しいと思っていたところだ

ヤニスに聞いてみるか。


『彼の助けがありデモニオライノを倒す事ができたと思っている

 助けるについて条件はあったけどね・・・・』


『条件だって!なんて言われたのさ?』


『パーティーメンバーに加わるっていう条件だよ、何か魔法を

 使える前衛を探してたみたいなんだ。

 魔法職で前衛ってのはどうなんだろうって思うのだけど?』


『ん~俺は商人だからな・・・・その辺りはよく分からんな。

 それはカルヴァンに聞いたらどうだ?』


 僕は元の世界で仕入れた商品の商談をしヤニスの店を後にし

カルヴァンのもとに向かった。


 修行で何度も来ていたが、遣り通しこうして訪ねると気恥ずかし

く感じてしまう、などと考えていると後ろから声をかけられた。


『雄靖か?』


声の主はカルヴァンだった。


『カルヴァン、久し振り。聞きたい事が会って来たんだ』


 カルヴァンには偶然デモニオライノと遭遇し闘いになった事

かなり不利だったけど冒険者リケッツの助力で倒せた事などを

話した。

ついでに前衛の魔法職についても聞くことにした。


『聞きたい事があるんだが、パーティー編成で前衛の魔法職って

 正当な編成なんだろうか?』


『前衛の魔法職ですか、そうですね機動力と攻撃力を重視する場合

 それも相当な実力を有するパーティーなら有効な布陣ではないで

 しょうか。魔法による防御は展開と解除を素早く行えパーティー

 全体の機動力向上に、しかし実力が伴わなければ全体の防御力が

 低下し攻撃力にも悪影響が出るでしょう。よろしいかな?』


 なるほどな・・・・って事はリケッツのパーティーは

相当な実力者集団ってことだよな、そんなパーティーで自分は

与えられた役割をこなせるだろうか?……不安だ。

 でもメンバーになってしまったのだ、今更ながら考えても

仕方がないよな。


『雄靖よ、目的の闘いに勝利した事は良かったではないか

 私も師として嬉しく思う。しかし何故そのような質問を?

 何れかの冒険者パーティーに入るのかね?』


 僕は経緯を話す事にした、彼の意見も聞きたかったしね。


『さっきも話したけどデモニオライノとの闘いで助力の条件

 としてパーティーメンバーになること、ポジションは前衛の

 魔法職って条件だったのさ』


『なるほど、それで先程の質問ですか。私の答えは参考になり

 ましたか?他にも聞きたい事があれば可能な限りお教えしま

 すが』


 僕はカルヴァンの申し入れに感謝し魔法の経験値が上がる事に

よっては新たな能力を獲得する事が有るのだろうか?


『魔法と言うか感覚なのか解らないのだけれども闘いにの後、

 獲物なんかの存在を感知できるようになったんだ。

 そんな事が有るのだろうか?』


 カルヴァンは考える様子もなく答えた


『魔法の経験値、熟練度が上がれば得意とする能力に関連した

 魔法や感覚を得る事はよくある事。研鑽を積む事で更なる

 能力の向上を手に入れる事になる』


 なるほど・・・・努力が報われたと考えて良さそうだ。

元の世界では努力が報われる事など無かったな、運も無かった

のだろう。

だから異世界に来てからの出来事はどんな事でも素直に受け入れ

られた。


『カルヴァン、有難うな、魔法にそんな一面があったとはね

 知らなかったよ、まだまだ学ぶべき事は多いな。

 今後パーティーで経験を積めば更に新しい能力が得られる

 って事だよね?』


 使い道は兎も角だが新しい能力には心踊るよ。


『雄靖よ、能力の獲得には現在の能力を使いこなし昇華させなければ

 ならない場合によっては命懸けになる時もある』


 なるほど・・・・当然だろうな、楽に手に入るとは思わなかったけど。


『忠告を有難う、無茶はしないよ、カルヴァンはリケッツのパーティー

 を知っているかい?』


 ヤニスの知り合いならリケッツの事も知っているのではないか?

少しでも情報が欲しいしな。


『顔に化粧している冒険者リケッツか?』


『そうそう、知っているのか? 知ってる事で良いから教えてくれ』


 有り難いカルヴァンはリケッツを知ってるようだ、パーティー

事情などの情報が聞ければ有り難い。


『リケッツについて知ってる事は多くない、彼らは一流の冒険者

 であり各々の実力も並みの冒険者と一線を画すると言われている。

 それと依頼を受ける以外はパーティーとして行動を共にすること

 は無いと聞く、防御と攻撃の役割分担ではなく、単独で防御と攻撃

 を行い圧倒的な力で敵を粉砕する戦闘スタイルらしい。

 私が知ってるのはこの程度の情報はだよ』


 話を聞いた後、少し考え込んでしまった。

何で僕なんだ?そんな猛者集団に僕が加わって良いのだろうか?

異世界からの転移者という経歴ではあるけど戦闘に関する事で

特別な能力を得てはいない、腕輪は特別な能力ではあるが、

魔法の獲得と身体能力向上、世界を移動できるなどで直接的な

戦闘力を高める事はない、リケッツからは前衛の魔法職って

事しか聞いてない訳で・・・・今の情報量では考えるのは時間

の無駄だな。


『雄靖よ少し気になる事が有るのだが、君の魔法特性の項目で

 アンノウンの数値が以前より大幅に上昇しているのだが

 何か心当たりは?』


 カルヴァンには僕のステータスの様な物が見えるのだろうか?

僕には確認できないだよな・・・・。


『僕には師匠のように能力の確認は出来ないし、これと言って

 思い当たる事は無いよ』


『魔法特性アンノウンは特殊な能力であり術者の意志、経験とは

 無関係に能力を得る事ができる、得られる能力は高度な魔法

 である場合が多い事から、神の祝福、と言われている』


 新しい魔法やリケッツの情報を求めて訪ねたけれど、それ以上

の収穫があった気分だ。


『カルヴァン、色々教えてくれて有難う。また何かあったら来るよ』


カルヴァンの家を後にし家に着くとリケッツが入口の前に佇んで

いた。


『リケッツ、何かあったのかい? もしかしてパーティー召集かい?』


だろうな、きっと。


『察しがええな雄靖はん、仕事の依頼を受ける前にメンバーと顔合わせ

 せなあかんやろ?一週間後にしたいんやけどな、準備よろしゅう』


だよね~~

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