第一章1 登校初日遅刻する
朝、今日が星宮学園への登校初日だというのに、朝寝坊の癖が抜けず、昨日ずっとモヤモヤしていたのも相まって登校時間三〇分前にようやく目が覚めた。いつもと違う天井、前より少し広い僕の部屋には、机等の必要なものが全て揃っていた。
「はぁぁァァ。眠たい...」
めっちゃいい部屋を貸してもらって、嬉しい気持ちしかないはずなのに、家賃問題で不安が半分以上を占めている。このやり場のない気持ちをどこにぶつければいいんだ?朝の目覚めもそのせいで悪かった。
頭の中にそれだけが引っかかって仕方ない。こんな場所を無償ただで貸せるはずがないのだ。絶対裏があるんだ。突然、転校の案内を持ってきて、それを強制させる場を設けた時ように。
とはいえ、塚上も答えてくれなかったのだから僕にはどうしようもない。胃袋を掴まれることがないといいんだが...。
考え事をしても、自然と体は動くもので、僕は制服に着替え終えると部屋を出て、居間の方に向かうと、玄関からガチャリと音が聞こえたので振り返ると、亜衣はもう靴を履いて家を出ようとしていた。
「あれ?もう行くのか??」
「お兄ちゃん遅いのだ〜。何回も起こしたのに〜。今日は早く行かないとダメって書いてたのに読んでなかったのだ??」
「うーん?...そうだっけ??」
「あと五分なのだ〜。急げ〜なのだ!!」
「あ、お、ちょっと待て...」
扉がバタンと閉まる。僕は少し手を伸ばしたが、亜衣は僕の方を振り返ることなく去っていった。
テーブルを見ると、亜衣が作ってくれたであろう弁当が置かれていて、その隣には焼きそばパンが置かれていた。多分これは、朝食だろう。
僕は朝食抜きじゃないと多分間に合わないだろうから僕は焼きそばパンに手を合わせて、ごめんと心の中で謝って、出て行く支度をした。そして、寮をでると急いで亜衣の後を追いかけた。
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