魔術

1、魔術の定義

 始祖の竜由来の力である。一般的に魔力と呼ばれる不可視の物質を対価に世界に干渉し、超常的な現象を起こす術のこと。他者の力を借りるものも魔術に含まれる。魔法と呼称されることもある他、魔術を学ぶ教育機関が存在する。

 神王由来の力は魔術ではなく奇跡と呼ばれる。

 また治癒術や召喚術は同じく魔力を対価に現象を引き起こすが、使用しなければいけない術式が異なり、それに合わせて魔力が変化するため他の術を使用することができない。


2、魔力

 魔力とは基本的に血を始めとした体液か肉に宿る物質である。大抵は血に宿っている。古くに竜の鱗を飲み、魔族に変化せず生き残った存在より齎された。始祖の竜由来のもの。

 生命力と同一視されることがあるが別物。身体を持たないものはそれぞれ魔力を溜め込む核となる物が存在するか、或いは魂の内部に魔力を内包している。魔力補給の方法は他者から奪う者や、核に物質を取り込み変換する者など様々。魔力を生命力の代わりに使用するため、魔力が枯渇すれば他者に干渉することができず、その生命が喪われる危険に見舞われる。反面竜族に近くなるため、魔術の扱いに長け豊富な魔力を持つことが多い。

 また肉体を持つ種族は生命力を魔力に変換することはできるが、魔力を生命力に変換することは困難である。


3、属性

 始祖の竜由来の力であるため、属性が存在する。大地、海、炎、風、雷、水の六属性が基本的な属性である。それに加えてそのどれにも当てはまらない無属性というものがある。

 始祖の竜当人たちであればまた別だが、我々人魔の使用する魔術においては属性の有利不利などはない。

 属性適正は個人に流れる竜の血の、最も濃い血の属性によって決まる。例えばAの体に流れている血の内、最も大地の竜の血が濃い場合、最も適正のある属性は大地である。仮に血が満遍なく入っている場合、魔術自体が不得意になるか大地属性が得意になる。

 また竜族は自らの祖先である始祖の属性以外は使用できない。基本的に竜同士で子供はできず、仮に竜同士で子を作ったとして二つ以上の属性を持つ竜は畏怖或いは嫌厭される傾向にある。


4、自らの力を使う魔術

 血の中に宿る魔力を様々な手段で引き出し、使用するもの。対価として支払った魔力の量に比例して威力が上がる。ただしコントロールを自らで行う必要があり、威力が上がれば上がるほど暴発のリスクが高まる。

 また適正のある属性の魔術ほどコントロールしやすい他、熟練度を上げることで暴発のリスクを下げることができる。


5、他者の力を使う魔術

 王を除いた神々の力を借りる或いは護符を使用するもの。前者は暴発のリスクがない。その代わり長い詠唱が必要になる他効果が広範囲になるため乱戦ではやや不便。


 始祖の竜は自らの信者や竜族に対して力を貸す。ただし彼らは総じてプライドが高く、自らより序列の低い属性の竜には気分で手を貸さないことがある。また、自らのことを信仰していない場合は殆どの場合拒む。但し術者の適性が自らよりも序列の高い属性であれば力を無理やり使用可能。

 例外として心を閉ざしている雷の始祖のみ呼びかけられればどんな存在であろうと力を貸す。

 また、借りた力の用途によっては例外的に力を貸す場合がある(結界を張るために海の始祖から力を借りるなどの場合、海の始祖はほぼ確実に力を貸す)。

 始祖の力を借りる詠唱の定形は「始祖に対する呼びかけ」→「始祖に対する称賛」→「力の借用の申請」→「借用した力の用途」という順番である。定形が守られていれば多少文章が崩れていても詠唱が完成できる。


 ソウリュウに住む神々の力を借りるには、その神々独自の方法に合わせる必要がある。例えば深海に眠るというタコのような神や羊飼いの守り神として祀られている者の力を借りるには、それぞれ固有の詠唱をする必要があり、稲荷神と呼ばれる存在の力を借りるには先にその神の社に行って捧げものをしなければならない。


 護符は魔術が込められた物体の総称。それを発動させることでそれに込められた魔術を使用することができる。使用回数に制限がある他、製作者本来の魔術よりも威力が劣る。その代わりコントロールの必要がなく、魔力を使用する必要もない。また治癒術などを込めることも可能。

 適当な紙や石など、そこらにあるようなものに込めることもできなくはないが、専用の加工品の方がより込められる魔術の質が変わる。


6、奇跡

 王由来の物。魔力ではなく神力もしくはエーテルと呼ばれる物質を対価にする。こちらは生命力と同一の物。ただし今となっては純粋な神力を宿す者が王とその化身や守護者を除いて存在しないため、使用することが叶わない。また今を生きる存在が長時間エーテルに暴露すると、既存の種族から大きく外れた存在になってしまう。

 また宝具は奇跡の力によって鍛えられたものである。

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