第58話 お姫様の誕生(オーウェン視点)

オリビアのお産の苦しみは、見ていて耐えがたいものだった。


そして、子供の白魔法の力は相当に強いと思われた。その力は私やアレクサンダーにも劣らない。


産まれながらに白魔道師の力をもつ子供は、おそらくこの子が初めてだろう。


オリビアからはおびただしい血が流れ、顔色が紙のように白くなっていく。


「まずいぞ!!このまま、なかの赤子が出てこないと母体も子供も危ない」

出てこようとしない赤子に焦った私は思わず話しかけた。


「早く出てきなさい。お母様が死んでしまう。お前も危ない。お腹にいる時間はおしまいだ。外に出ておいで」

まるで、その言葉に呼応したかのように赤子が白い光りに包まれて、産まれてきた。


その白い光をまとった赤子はオリビアに、小さい手でそっと触った。

すると、そこから、段々にオリビアが光りに包まれていき、頬の赤みがさしていくのだった。


「これは、相当な力だな。多分、大きくなったら私達など敵わない王女様になるね。しかも、護衛侍女が手ほどきするとなれば、オーウェン殿下の王女様は、いずれこの世界を統一する女王様になるだろうよ」


アレクサンダーは私をからかったが、あながち間違いでもなさそうだ。


私達のかわいいお姫様は、産まれてすぐに母親の命を救ったのだった。



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