第47話 私の恋はこれから始まる(オリビア視点)その3

高位貴族の令嬢達からの反対は、考えてみれば当然のことだった。

私は、元平民だし男爵令嬢だからだ。しかも、婚姻無効の証明書をいただいたとはいえ、一回は結婚したというあまり好ましくない経歴の持ち主だ。


婚姻の公式発表から一週間後に協議会が開かれ、高位貴族の令嬢達に囲まれるかたちになった私は一方的に責められた。

「「「男爵令嬢などが時期王妃になるなど国が乱れます。それに、通常は王太子妃候補を数人選んで競わせるというのが慣例です。それをなさらないのは、オリビア様に自信がないからでしょう?元は平民の低位貴族などが、候補選びの熾烈な争いで勝ち抜けるわけがありませんものね」」」


「「「おおかた、その美貌で王子様を誘惑なさったのでしょう?ずるをしてオーウエン様のお心を射止めてもその先が続きませんわよ?王太子妃になって恥をかくのはオリビア様なのですよ?」」」


「「「恥をかく前にご辞退なさいませ!!身の程知らずだったと皆様の前でお詫びをしなさい!!」」」


「「「あんなに、素敵なオーウエン様を汚い手で誘惑するなど、やはり育ちの悪い平民あがりの女のすることは・・・・」」」


「だいたい、ベンジャミン家は大富豪ではあっても、どこの馬の骨ともしれない平民の卑しい血が流れていますわ!!そんな者が王太子妃になるなど、神様だってお許しにはならないわ!!」


オーウエン様は我慢していた怒りが今にも爆発しそうな勢いで、令嬢達を睨み付けていた。

3人の侍女達も我慢の限界ね・・・そして、私も我慢の限界だった。


「最後のお言葉をおっしゃった貴方様は、リリアン・ジョシュア公爵令嬢ですわね?平民が卑しい血だというお言葉は思い上がりもいいところです。民がいるおかげで貴族が暮らせるのです。貴方のその素晴らしいドレスも髪飾りも、平民が納めた税で購入なさったものではないのですか?そして、それらは、あなたが卑しいとおっしゃった平民が作ったものでしょう?」


「なにを、生意気な!!私は公爵令嬢ですよ?貴女の身分では本来なら、私に話しかけることすらできないわ」


「ここは協議会です。議論をする場所ですから身分は関係ないでしょう?」

私は、穏やかな口調で応戦した。


「賢しげに口答えをするのはお止めなさいよ!正々堂々と私達と勝負をしなさい。私達は、平民上がりのオリビア様が相手だからって手加減などしてあげないわよ!!」

私は、高位貴族の令嬢達から、威勢のいい啖呵を切られたのだった。


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