第43話 私の恋はこれから始まる(オリビア視点)
私は、アレクサンダー様に恋心は少しも感じなかったから、この展開にはほっとしていた。
だって、私は・・・結婚なんてする気がないのだから。
そう思いながらアレクサンダー様が法廷から出て行く姿をぼんやりと見つめていると、オーウエン様が私の手をぎゅっと握った。
思わず、オーウエン様の顔を見ると、とても甘い笑顔で私を見つめていたわ。
私は、恋愛なんかに興味はないわ・・・ないはずなのだけれど、この王子の笑顔で胸がキュンとしたのはなぜかしら?
☆
私は、今日も王宮に出仕をしていた。
けれど、今までの仕事がほとんどなくなり、なぜか授業をうけるようになった。
語学と歴史、各国のマナーやダンスの作法。なぜ、侍女にそんなものが必要なのだろう?
オーウエン様は、もう顔にアザのお化粧はしていない。朝から精力的に仕事をこなし、市井の様子まで見てまわる。
そして、必ず3時になると私をお迎えに来るのよ。
もうすぐだわ・・・ほら、来た!!
「オリビア!!3時のおやつに、町で今、一番話題のスイーツを買ってきたよ。ほら、一緒に薔薇の庭園で食べよう。もうお茶は用意させてあるからね」
私の授業は、そこで一旦休憩になる。二時間の休憩時間には、毎日お互いの話をした。
オーウエン様は、私に民の生活の話をしてくれる。難しい話もあったが、話題のスイーツ店や市場の様子なども交えて面白おかしくしてくださるので、とても楽しかった。
そんな日々が何ヶ月も過ぎた頃に私はオーウエン様からこう言われたのだった。
「私は貴女さえいれば、なんでもできるような気がする。私の側に一生いてほしい」
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