第9話 待ちぼうけのハミルトン(ハミルトン視点)
デートの時に待ち合わせをしていた王宮近くの庭園の花々は、今を盛りに咲き乱れていた。
見上げると、雲が薔薇色のぼかし模様になって空を染めていく。
吸い寄せられるように、私は待ち合わせの目立たない場所に設置されたベンチに向かう。
はやる気持ちを抑えるために、しばらくはベンチにも座らず立ったまま待っていた。
すぐにでも、クロエがこの胸に飛び込んできそうな予感がしていた。
だが、彼女はなかなか来ない。今日は、来ないのかもしれない。
ならば、明日なら、来てくれるのだろうか?なんて、もどかしいんだ。
そして、なぜ、クロエはこんなにも、私を弄ぶのだろう?
いいさ。美しい女性の特権だよ。男を振り回すことが許されるのはクロエのような女性だけだ。
二時間ほど待ってみたが、彼女は来なかった。私が、結婚したことを怒っているのだろうか?
気が変わったのかな?
あぁ、こうして焦らして私を試しているのかもしれない。なんて、かわいいのだろう!
いいさ、私は貴女の望むように、また明日も明後日もここに来よう・・・
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