シンデレラの靴
綾瀬七重
第1話
いつも濃い霧がかかった森の中を一つ一つ手探りで探している様な人生だった。
人に嫌われない方法。
両親に褒められる方法。
上司に目をかけてもらう方法。
その森の中を進んでいくにつれてたくさんの方法を私は得たの。それが正しいと思うように霧がかかったことを直視しないように目を閉じて耳はイヤフォンで塞いでしまった。でも本当はこの森を抜けて街に出て思うままに好きなことをしてみたいと心のどこかで思っていたの。何度試しても失敗したのよ。
もうだめだと、諦めて受け入れようとした時私の手をあなたが引っ張って街へ連れ出してくれた。
私が100回試しても出来なかったことをあなたは絡まった糸を1分で解くかのように私を連れ出したの。私に勇気を出させてくれた。
いつも正解ばかりを求めて手探りの濃霧の森を裸足で歩き続けた私に手を差し伸べて、手を繋いで靴を履かせてくれた。
あなたに教えてもらったの。私が知らなかった、正解の人生は無いということを。私が居る濃霧の森に飛び込んできてくれたあなただから私は着いていこうと思えたの。一体いままでの恋は愛はなんだったのかと言うほど強く強くあなたの手を握ったの。
「新郎新婦は誓のキスを」
この言葉と共に私の視界が開いてあなたの顔を真っ直ぐに見つめた。ようやく森を抜けた私は、ガラスの靴を履いて、愛することを知り、初めて嬉しいと思って涙を流したわ。
神様に誓います。私はこの人を一生分、愛し続けます。
シンデレラの靴 綾瀬七重 @natu_sa3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます