第39話 レシピ作成②


さてさてさーて。


あまりにも格差のある俺とヘビのステータスに思わず気を取られてしまっていたが、とっととやることをやってしまおうか。


【レシピ2】

名称    :成長促進薬(大)

消費MP  :5000

生成量   :一錠(250mg)

効果    :

自身の経験値を未摂取時の10倍にする。

効果対象  :自分のみ

効果時間  :

服用して10分後から適用開始。

その後10分間有効。

形状    :固体(タブレット状)

クールタイム:

効果時間が終了してから1時間後。


【レシピ3】

名称    :

身体強化薬(攻撃・素早さ)(大)

消費MP  :3500

生成量   :一錠(250mg)

効果    :

自身のATK・SPEを未摂取時の1.5倍にする。

またその後副作用として自身のATK・SPEを未摂取時の0.8倍にする。

効果対象  :自分のみ

効果時間  :

服用して10秒後から適用開始。

その後5分間有効。

その後5分間副作用適用時間。

形状    :固体(タブレット状)

クールタイム:

効果時間が終了してから30分後。


『薬毒錬成』スキルのレベルが二つも上がったので、新たなレシピが作成できるようになった。


このスキルはレシピを無尽蔵に作成できる訳ではなく、現在のスキルレベル分だけだからな。


レシピは俺の能力に大きく影響することが考えられるので、急務で作ってみた。


レシピ2の方は、以前からも考えていた通りに「成長促進薬」を作成することに。


消費MPは抑えに抑えて、ようやくこれだ。


効果対象を自分自身にすることはもちろん、形状は摂取しにくい固体状。


『収納』というスキルを所持していて、なおかつそれが自身の胃の中だからこそ、いつでもどこでもお気軽に使用できる、という点をうまく活かせていると思う。


さらには服用してから効果が出始めるまでの時間を長くし、それとは反対に効果時間も短くし、さらにはクールタイムも長くした。


これで現状ようやく使える程の消費MP量である、という恐ろしさ果たしてが分かって貰えるだろうか。


でもその分効果は絶大だ。


経験値取得量が通常時の10倍。


しかも一回きりの限定とかではなく、MPがある限り『薬毒錬成』スキルによっていくらでも作り出すことができる。


その効果の大きさは時間が経てば経つほど目に見える形で現れることだろう。


今後が非常に楽しみになるな。


そして次にレシピ3の方だが・・・。


以前も言っていた気がするが、数に限界がある以上、できるだけひとつのレシピにたくさんの効果を盛り込んでおきたい。


が効果を盛り込めば盛り込むほど、その分作成時の消費MP量が指数関数なみの上昇をしていってしまう。


将来的には分からないものの、今現在の自分が使用できないようなレシピを所持していても、どうしようもない。


単なる枠の無駄使いになってしまうからな。


そうするくらいなら現状使えるレシピを作成して種族とスキルのレベルを上げ、MP量が増えてから改めて作った方が効率が良い。


新たにレシピを作るとなって、パッと思いついたのは回復系統の薬なのだが・・・。


やはり回復系効果のものは、複数の効果をひとまとめにしておきたい。


いわゆるゲームで言うところの万能回復薬、っていう感じのイメージだ。


回復に手間がかかると、ぎりぎりの戦いでは普通に命取りだ。


いちいち薬の種類を選んでこれとあれとなんて、数が多ければ多いほどやってられなくなる。


それに効果に合わせて一々作成していたら、とんでもない数になるだろう。


それこそレシピが全然足らなくなるくらいに。


今一番欲しているのは「状態異常回復系」だが、それこそ種類が多いのでいっぺんにひとつの薬にまとめたい。


だがそうなると必要な魔力も相当やばくなりそうだ。


その他の普通の回復、所謂HPなんかのものに関しては使い勝手に不満は無くはないものの、『薬生成』スキルによって今のところ代替はできている。


ということで、今回は回復系のレシピを作るのは辞めておいた。


そして回復系を作らないとなった時に、ほかに汎用的で欲しいと思った薬が自己強化系の薬だ。


その中で実用的レベルの効果と継続時間などを加味すると、どれだけ調整したとしても現状では2つぐらいの効能にしておいたほうがよさそうである、といった結論に至った。


そうやって色々と考えた中でも、最も俺の能力向上に効果が見込めると感じたステータスである、ATKとSPEの強化薬を今回は作成することにした。


INTの強化については少し迷ったが、それを使用すると思われているのは、主に魔法系攻撃のみだ。


だが俺は自身で現状INT系を使うものは『毒魔法』ぐらいしか思いつかない。


もしかしたら他にもあるのかも知れないけれど、今把握しているのはその程度だ。


『毒魔法』はその魔法の威力自体よりも、「毒」という状態異常を与えることにその強さがあるからな。


あまり威力の面は重視していない。


それよりも状態異常系が効かない相手への攻撃手段として使用している、『体術』スキルでのダメージの底上げが出来ると思われる、ATKのステータス強化の方が良いと考えた訳だ。


また、防御系のステータスの強化は、今回は除外することにした。


中層にいる奴らの攻撃力はどれも半端じゃ無さそうだ。


そんな中でまともに何発も食らってられない。


つまり防御系のステータスが数倍になったところで焼け石に水なのだ。


それにせっかく「成長促進薬」を生成出来るようになったので、どうせなら攻撃面を上げて早めに敵を倒せるようになれば、最終的に全体的なステータスも上昇していることだろう。


そんなわけで、レシピ3の詳細はこのようになった。


作ってみたこれらの試験運用をしてみたいが、身体強化薬は副作用として一定時間のステータス低下があるので、そう気軽にほいほい飲むわけにもいかない。


もし能力が低下したときに強敵から襲われでもしたら・・・、そしてもしそれでピンチにでもなったりしたら・・・、とてもじゃないが目も当てられない。


抑えたとはいえ、消費MPだって決して少なくはないのだし。


できれば明確に必要だって時にだけばしっと使いたいもんだが、そんなような状況にはそうそうなりたくないよな。


難しい問題だ。


こちらも一応いくつか余裕のある時に作成しておいて、その時になるまで『収納』スキルによって胃の内で死蔵させておくとするか。


さて新しいレシピについてはこんなもんか。


もしかしたら気になった人も居るかもなので、レシピ1についての詳細も公開しておくとしよう。


【レシピ1】

名称    :麻痺薬(大)

消費MP  :2250

生成量   :450ml

効果    :

摂取したものに《状態異常:麻痺(強)》を付与する。

効果対象  :自分以外

効果時間  :

服用して2秒後から適用開始。

その後30秒間有効。

形状    :気体

クールタイム:

一度服用した対象には耐性が付き、効果が無くなる。


「麻痺薬」があれだけ強力なのにもかかわらず、思ったよりも使用するMPが少ないんじゃ無いのか、と思った人もいるかもしれない。


散布しやすいように気体、効果対象も自分以外とかなり広い上に、効果が現れるまでの時間も非常に早かった。


これでなぜ消費MPが抑えられていたのかというと、見てもらうと分かるように他の部分をごっそりと削っているからである。


効果が発生するまではとても早いが、効果が終了するまでも非常に短い。


他の薬であればろくに使いこなせない程に短いものだ。


そして、一番ヤバイのはクールタイムだろう。


一度でもこの「麻痺薬」を使用した者には、それ以降何度使用しても一切効果がない。


ウイルスなどのように免疫のようなものがつくのかどうか、仕組み自体は分からないが完全に抵抗できるようになるらしいのだ。


効果の部分には「麻痺(強)」とついているくらい強力なはずなのにな。


性能としてはピーキーといっても差し支えが無い。


だが今まで使って来た感想として、この性能で不満を覚えたことは一度も無いな。


戦いにおいて30秒も動けないことは十分に致命的な状態であるし、そこで確実に倒せる・殺してしまえるのならばまったくもって問題にならない。


それで倒し切れないような相手にはハナから使うべきでは無いと、それだけの話だ。


こうして実用的な性能の強力な毒または薬をMPを節約しながら作成することができる『薬毒錬成』はやはりとても強力なスキルだと思う。


今後俺自身の最大MP量が増えて、どこまでできるようになるのかとても楽しみだ。


ステータスを眺めるのは、ここらで一段落するとしようか。


今日はもう何回も戦ってここまで来たし、疲れも溜まっている。


そろそろおやすみをして、明日以降に備えるようにしようかな。


その前に腹も空いたことだし、軽く食事をしよう!


と思ったのだが既にヘビにエイを全て食われた後であった。


ホントにこいつはめちゃくちゃ食い意地張ってんなー。


なんて内心呆れて見ていたら、急に全身をくねくねとさせて悶えているようだった。


割と大きなエイを全部1人で平らげていたことだし、う〇こかな?なんて思って見ていたら徐々にその動きが激しくなってくる。


もしかしたら体調が悪化したのか?


衰弱の状態も微になっていたとはいえ、決して万全の状態ではなかった。


そんな状態で母さんとエイとで2回連続で戦ってくれたんだ。


そんな風になってもおかしくは無い。


ただでさえ元々こいつはこの地域の気候に身体が合っていないし・・・。


心配しながらもじっと見守ることしか出来ないがしばらくすると、震えが収まると同時に身体の長さがみるみるうちに伸びていく。


その異様さに一瞬びっくりとしたものの、冷静に様子を観察するとただの皮だった。


なんだ脱皮かと一安心したが、本当に体調に異変などが無いか念のためヘビのステータスを見てぶっ飛んだ。


【ステータス】

種族:ホワイトスネーク(状態異常:衰弱(微))

性別:♀

HP:35890/36600

MP:36600/36600

SP:36600/36600


レベル:42

ATK:26500(-2650)

DEF:26500(-2650)

INT:26500(-2650)

MND:26500(-2650)

SPE:26500(-2650)


スキル:

『状態異常耐性:レベル4』

『噛み付く:レベル10』

『巻き付く:レベル10』

『猛毒攻撃:レベル5』

『毒生成:レベル5』

『氷魔法:レベル7』

『隠密:レベル10』

『危険察知:レベル5』

『未成熟:レベルー』

『寒冷地適応 :レベルー』

『水中適応(極微):レベルー』

『陸棲:レベルー』


なんだこれ・・・。


エイと戦った後は特段別に戦闘をしていないはずなのに、そこからめちゃくちゃステータスが上がってやがる。


そこで慌ててたった今脱げたばかりの皮のほうにも『鑑定』スキルを掛けてみた。


【ホワイトスネークの抜け殻】

ホワイトスネークが「脱皮」を行ったあとに残る皮。

雪景色に紛れ見つけること自体が非常に困難であり、なおかつ熱で溶けてしまうので、極寒の地以外で保存することができない。


もしかしてこいついつも見ていない場所で、脱皮してそのままそれが溶けてたから気付かなかっただけなのか。


【脱皮】

爬虫類系、昆虫系、甲殻類系の魔物が主に行う行為。

ステータスを大幅に上昇することができるスキル外のアビリティ。

「脱皮」できる回数はその魔物との種族や個体の能力値による。

「脱皮」を使用するには多くのカロリーが必要となり、食べ物に余裕のある魔物しか行う事が出来ない。


ヘビのステータスの伸びが異常だったのはこれのせいだった、ってのか。


こいつの回数制限がいくらかは分からないが、末恐ろしいもんだな。


いつもよく食ってたのは、「脱皮」のためにカロリーが必要だったからか?


普通は脱皮する前っていうのは少しでも皮から抜け出しやすいように、むしろ断食をするはずなんだが。


味方が強くて頼もしいに越したことはないし、まぁよしとするか。


ヘビのステータスの秘密に驚いたが、今は別にそれで自分に害があるわけでもないし、今度こそ休むことにする。


ちなみにう〇ことか失礼なことを考えたからか、ヘビからは尾で何度もビシビシ叩かれた。


そして中層に来てから一夜が明けていく。



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