第35話 より中心地へ



【ステータス】

種族:ユニット・ギニャソポゴン・エロンゲテス

性別:♂

HP:3350/3350

MP:3020/3020

SP:3050/3050


レベル:35

ATK:3040

DEF:3040

INT:3800

MND:3040

SPE:3420


スキル:

『連携:レベル10』

『指令:レベル5』

『体当たり:レベル10』

『噛み付く:レベル7』

『防御:レベル3』

『水棲 :レベルー』


以前も戦ったことのあるこいつらだが、今回の群れは総勢15匹。


前回よりも群れの規模がかなり大きく、尚かつ一匹一匹の個体のステータスの数値も高くなっているが・・・。


だがどれだけ数が多かろうとも、今の俺にはあまり関係が無い。


最近覚えた『収納』スキル、とこれまた最近習得した『薬毒錬成』スキルのレシピの1つ「麻痺薬」。


『収納』スキルによりアイテムポーチのようなものと化した俺のお腹から、彼らの群れに上手くかかるように周囲に「麻痺薬」をまき散らす。


お腹に収納しているものを取り出して口から吐くという構図の関係上、若干ゲームやアニメなどでドラゴンとかがやるブレス攻撃のようなものを自分がしている感覚で、なんだか高揚感を覚えるな。


元からこいつらは俺の事を一定の間隔で囲んでいたうえに、『指令』スキルによって動きには統一感があるため、却ってどういう風に動くか分かりやすくなっていた。


当てるのはそんなに難しくは無い。


一斉に《状態異常:麻痺》に罹ったこいつらは、もはや脅威でもなんでもないだろう。


焦ることなく、ゆっくりと一匹一匹を倒していく。


こいつらの一番恐ろしい所は数と、それでいて巧みで正確な連携を行ってくるからであって、こうなってしまえばステータス的にも勝る俺からすると倒すのは簡単なものであった。


途中で一度「麻痺薬」の効果が切れたりもしたが、これだけ群れが瓦解していれば脅威でもなんでもないからな。


そうして戦闘が完全に終わった後、それまで一切入って来ずに傍観していたヘビが今になってこちらへとやって来て、俺の倒した奴らをむしゃむしゃと食べ始めた。


・・・まあ、いいんだけどね。


俺一人では、到底食べきれない量な訳だし。


【メディシナルフロッグ:♂のレベルが上がりました】


【種族レベルが48になりました】


【『水中高速移動』のレベルが4になりました】


【ステータス】

種族:メディシナルフロッグ

性別:♂

HP:6988/7100(+200)

MP:5240/5997(+200)

SP:5005/5878(+200)


レベル:48(+2)

ATK:3762(+100)

DEF:3762(+100)

INT:4717(+140)

MND:3762(+100)

SPE:5167(+140)


スキル:

『鑑定 :レベル10』

『状態異常耐性:レベル9』

『貪吸:レベル7』

『体術:レベル10』

『猛毒攻撃:レベル10』

『毒生成:レベル10』

『薬生成:レベル10』

『薬毒錬成:レベル1』

『毒魔法:レベル10』

『隠密:レベル10』

『危険予知:レベル9』

『跳躍:レベル5』

『水中高速移動:レベル4(+1)』

『念話:レベル5』

『MP高速回復:レベル5』

『収納:レベル1』

『水棲 :レベルー』

『陸棲:レベルー』


それにしても「麻痺薬」は、少々便利すぎるなぁ。


『収納』スキルを習得してからというもの、こいつら以外にもいくらか戦闘を行ってきたうえで、確かにそう強く感じる。


元々戦闘を効率良くするために、「成長促進薬」のレシピを後回しにしてでも作ったものな訳だが・・・。


効率が良すぎるというのも、それはそれでまた考えさせられるものだということが、良く分かった。


この世界の状態異常の設定は、どうやら重複が可能なようで、《状態異常:麻痺》にかかった後に《状態異常:毒》を入れたり、といったようにすることが出来る。


まあ、普通はその通りと言われればそうなのだが、そうならない可能性もあったからな。


ゲームによっては既に状態異常に罹っている場合、別の状態異常にならない場合も多い。


ここがゲームと同じであるとは思わないが、ゲームと類似した世界である以上、その可能性を考慮するのも当然だった。


結果として、そうでは無かったというだけだ、


元の世界でも病気やら毒やらで何かしらの症状が出た場合、大抵色々なものと合併症状を引き起こすものであるし、たとえ複数の状態異常が重複すると言われても違和感は無い。


とはいえ、現実に目の前で戦闘中にそのように動けない敵に毒が入ってしまえば、それだけでもう致命的だ。


そしてそれすらやる必要の無い敵相手には、『体術』スキルの武技などを真正面から当てることで大ダメージを与え、簡単に倒してしまえることが出来ていた。


『収納』スキルを習得した今、必要な薬や毒をMPが余った時にストックしておくことができるようになり、前ほどMPの数値管理を戦闘中に意識する必要も無くなった。


そのため、現状の戦闘がただただ業務的な行動になってしまっている。


そう、それはゲーム的な感覚ですら無い、ただの作業のようなものだ。


最初の頃に感じていた命の危機やそのやりとり、それらの自然の厳しさといったものも薄れてきてしまっているのを感じる。


周りが簡単に狩れるようになってしまい、闘争意識が完全に衰えているのだ。


今はただただ同じような行動を繰り返すだけの現状でしかない。


これは非常に危険な兆候なのではないか?


別に命のやり取りを強く感じることに喜びを感じるとか、そんなバトルジャンキー地味た理由では無い。


もしこのままこの日々を繰り返していったその時、「麻痺薬」や他にも俺の取り得る攻撃手段が通用しないような相手が出てきた場合に、俺はきちんと戦えるだろうか、という思いがふと芽生えたのだ。


正直、今までのように倒せる自信が無い。


いわゆるぬるま湯のような現状に浸かりきってしまうことで、自分が廃れることを危惧しているのだ。


かといってそのためにわざわざ「麻痺薬」や『収納』スキルなどといった、強力なスキルを使用しない縛りをかけると、それらのスキルのレベル上げにも繋がらない訳で。


結構種族レベルも上がったことでMPもついに5000を超えた。


『薬毒錬成』スキルのレベルが上がったら、次こそは「成長促進薬」を作りたいと思っていたので、それらのスキルを使わないというのは避けたい。


この場所はあの小魚型の群れを作るモンスター(正式な名前は長いのでここでは略)、その中でも大きめの群れがいくつか点在している場所であったので、レベルを上げにはちょうど良い場所だった。


たくさんの数を一度に相手取るという体験を積むことができるし、ステータス自体は俺よりも低いので「麻痺薬」が効きさえすれば、倒すのも容易であったからだ。


それによってトントン拍子にレベルを上げていくことができたのだが、やりすぎたようでそれもどうやら頭打ちになってきた。


先程の戦闘より一個前ぐらいから、1度の集団戦で上がるレベルが、1か2くらいずつになってきてしまっている。


あれよりも大きな群れはそうそうあるもんじゃないし、このまま続けていても直にレベルが上がらなくなりそうだ。


これら事を鑑みるに、そろそろ狩り場を変える時なのかもしれない。


俺のレベルとここらの敵の能力値が釣り合ってないのだろうし。


狩場を変えれば今のこの作業を繰り返すだけになっているこの感覚も、多少は元に戻せるかも。


と、そうこうしているうちにヘビが俺の倒した奴らを全員食べ終えた。


本当にすごいな。


俺自身もほぼ身体の大きさの変わらないこいつらを何匹か食べられるため、当初はそんな身体の不思議にびっくりしていたが、こいつはそんなものの比じゃない。


一気に十数匹食べても問題がないとか、胃袋どうなってんだよ。


人間だったらまずぶくぶくと太っていくだろうに、こいつの身体は依然とスリムなままだ。


第一ヘビっていうのは元の世界でも自分の身体よりも、大きい物を好んで食べていた記憶はあるものの、それにしたって数日間は食べなくても良いし、数日間はその消化に時間を費やしてその場から動けなくなっていたはずだ。


その点、こいつはこれだけ食べたところでけろっとした顔をしているし、食べた後に普通に動く事も出来る。


ファンタジーと言えばそれまでだが、本当に異世界だなぁ。


しかも俺が「麻痺薬」を使うようになってからのこいつは、本当に戦闘を他人任せにするようになった。


それまではかろうじて、『氷魔法』による氷結攻撃なんかで敵の足止めをするなどをして、サポートしてくれていたが、最近ではそれすらもしてくれない。


さながら俺はこいつにエサを運びにあくせくと働く臣下で、こいつはそれを傲慢に享受する女王みたいだ。


さすがに俺がピンチになれば動いてくれるのかな?


とはいえ、未だにステータスでみるとこいつの方が上であり、真っ正面からの戦闘では俺はまだまだ負けるだろう。


『念話』スキルでそろそろ狩り場を変えようと思っていることをこいつにも伝えたところ、一応の了承のような物を得られた。


そうして再び島を一望した高い樹に登り、現在の自分たちの位置を改めて確認する。


島の状況はあの時からそれほど変わっていなかった。


カエルになってから暦の感覚がズレてしまっているとはいえ、大凡は把握していると思う。


そこから換算すると、大体1ヶ月程度しか経っていないはずだ。


それを鑑みれば変わっていないのも当然と言えば当然か。


島はいくつかのゾーンに別れており、俺たちが今いるのは木々が生い茂る森林ゾーン。


そして島の中心に行けば行くほど濃密な気配が漂っており、環境も過酷になっている。


ヘビの恐らく生まれ故郷である氷雪ゾーンに行くには、出来るだけ他のゾーンと密接している島の中心地へ近づく必要があるだろう。


そして今俺らはかなり外縁部に近い場所に位置している。


いきなり奥に行き過ぎるのは無理だ。


だがその中間、島の中心地と今いる場所の間に向けて移動する。


島の中心部分付近を深層、俺らがいた場所を外層とするなら、今から行く場所はさしずめ中層と言った所か。


当然、ここから先は最初にいた場所よりも強い奴らがいるに違いない。


そして順調にヘビと2匹で中層へ向かう途中、ガサゴソと茂みから音がする。


どうやらこれからいざ新天地へ向かわん、としている所へ水をさすような新手が来たようだ。


とはいえ、俺も相当強くなっているはず。


今更ここらで苦戦するような相手が現れるとも思えない。


徐々に音が大きくなりガバッとその姿が顕になる。


そこで出会ったのは・・・。


【ステータス】

種族:マザーフロッグ

性別:♀

HP:12000/12000

MP: 5000/ 5000

SP:10000/10000


レベル:40

ATK:500

DEF:10000

INT:500

MND:10000

SPE:7000


スキル:

『猛毒攻撃:レベル10』

『毒生成:レベル10』

『状態異常耐性:レベル10』

『繁殖:レベル10』

『産卵:レベル10』

『誘惑:レベル6』

『体当たり:レベル2』

『噛み付く:レベル2』

『防御:レベル2』

『水棲 :レベルー』

『陸棲 :レベルー』



なんと俺の母ちゃんだった。



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