第25話 カエル到達



【メディシナルタッドポール:♂のレベルが上がりました】


【『早熟(微)』が適用されます】


【種族レベルが40になりました】


【種族レベルが上限になりました】


【『状態異常耐性』のレベルが8になりました】


【『貪吸』のレベルが5になりました】


【『薬生成』のレベルが8になりました】


【『隠密』のレベルが10になりました】


【「狙撃」を習得しました】


【ステータス】

種族:メディシナルタッドポール

性別:♂

HP:989/1600(+40)

MP:648/1647(+40)

SP:922/1568(+40)


レベル:40(+2)

ATK:1112(+30)

DEF:1112(+30)

INT:1152(+30)

MND:1112(+30)

SPE:1577(+40)


スキル:

『鑑定 :レベル10』

『状態異常耐性:レベル8(+1)』

『貪吸:レベル5(+1)』

『体術:レベル10』

『猛毒攻撃:レベル10』

『毒生成:レベル10』

『薬生成:レベル8(+3)』

『毒魔法:レベル10』

『隠密:レベル10(+1)』

『危険予知:レベル9』

『早熟(微) :レベルー』

『水棲 :レベルー』

『陸棲(微) :レベルー』


【進化先を選択してください】


【メディシナルフロッグ/メディシナルトード】


勝てたな・・・。


そして予想通り今回の戦闘で、進化可能なレベルにまで到達したようだ。


今回出た進化先で目新しそうなものは特に無く、順当にフロッグ系統の進化ツリーとトード系統の進化ツリーの2パターンへ枝分かれしている感じである。


さすがに二連続で特殊進化先は出ない模様。


水陸両方の敵から狙われづらい特性を持つ「浅瀬の外」へと出るのがまだまだ怖い現状、『水棲』スキルがいきなり無くなってしまうと言うのはかなりきつい。


最近陸上での活動に多少慣れたとはいえ、それもまだ十分ではないし。


ステータスの大幅な上昇と『溜め込む』スキルの存在は大変魅力的ではあるのだけれど、ここはやはり予め決めていたようにフロッグ系統の進化先を選ぶとしよう。


【メディシナルフロッグに進化しました】


【メディシナルフロッグ:♂のレベルが上がりました】


【種族レベルが6になりました】


【スキル『跳躍』を習得しました】


【『薬生成』のレベルが9になりました】


体色に色が追加されただけで、変化が少なかった前回の進化とは異なり、身体のあちこちの骨格や関節がミシミシと音を立てる。


手がより細長く指先が別れていき、脚もより筋肉が発達していく。


体格はというと、横に少しだけ大きくなりお腹が膨らんでいった。


完全に変化し終わった後も、暫くは体の周りをピリピリとした違和感がまとわりついていた。


前回以外の進化の時は眠っていたから知らなかったが、足が生えたりした時とかもこういう風に変化していたのかな。


本来はゆっくりと時間をかけて行われるはずの変化が、ここまで短い時間で行われるとは・・・。


久しぶりにファンタジー色を強く感じる出来事だった。


【ステータス】

種族:メディシナルフロッグ

性別:♂

HP:989/2700(+1100)

MP:648/2697(+1050)

SP:922/2578(+1010)


レベル:6(+5)

ATK:1662(+550)

DEF:1662(+550)

INT:1777(+625)

MND:1662(+550)

SPE:2227(+650)


スキル:

『鑑定 :レベル10』

『状態異常耐性:レベル8』

『貪吸:レベル5』

『体術:レベル10』

『猛毒攻撃:レベル10』

『毒生成:レベル10』

『薬生成:レベル9(+1)』

『毒魔法:レベル10』

『隠密:レベル10』

『危険予知:レベル9』

『跳躍:レベル1』

『水棲 :レベルー』

『陸棲:レベルー』


今回も進化時の眠気は来たものの、『状態異常耐性』スキルのレベルが上がったためか前回よりも、更に楽に耐えることが出来た。


とはいえそれでもシステム的な強制睡魔に耐えなければいけないため、精神的に相当きついことには変わらないけどな。


もしも心置きなく寝られる状況にいるならば、迷いなく速攻でこの睡魔に身を任せることになるだろう。


元の世界の出来事で例えるならば、お昼休みで昼食を食べ終わった後の授業の中、社会科目の先生のながーいお話が来たとき並だろうか。


頑張って頑張ってようやく意識だけはなんとか保てているけど、内容なんてこれっぽっちも頭に入ってこない、出来ることならばすぐにでも夢の世界に飛び立ちたいというような状態だ。


せめて手を動かしているならまだしも、ひたすらどうでも良い雑談の時があるんだよな。


あれは本当にやめて欲しかった。


俺なんてただでさえほぼ毎日夜更かししてたんだから、辛いのなんのって。


まぁ、それについては俺が100悪いのだけれども。


はぁ、それにしてもとうとう俺もカエルになっちまったか。


ここまで沢山お世話になってきた『早熟』スキルさんが、ついに居なくなってしまった。


それによって途端に今の状況を心細く感じてきてしまった。


ここからどうやって強くなっていけばいいんだろうか。


てか、この環境で生きていけるほど俺って強くなれるのか?


なまじカエルにまで到達し、区切りがついてしまったことで、今後に不安を覚える。


いくら強くなったとはいえ、ここら辺ではせいぜい中の上程度であろう。


なんせあの蟹にすらまだまだ全く及ばなさそうなステータスだ。


それゆえ、いつになったらあいつらに勝てるかということすら、現段階では見積もることが出来ていない。


カエルとしての限界値がもしここで終わりならば、俺はこれからも隅っこで縮こまりながら生活していかなければならないことになるが・・・。


この姿が仮に最終進化形態ならどうしようもない。


俺自身がどれだけ工夫した所で、ステータスの圧倒的な差は覆せない。


考えれば考える程、思考がネガティブな方に向かっていく。


ダメだ、これは指針がハッキリと決まっていないゲームである程度育成してしまった状況と似ているな。


しかもこっちはやり直し不可と来たもんだ。


こういうことは今考えたってどうしようもないことなのに、考えてはいけないと思えば思うほど思考の坩堝に嵌る。


暫くは手探りで次の成長指針を探すほかないだろうな。


それにはひとまず、今回進化した40前後までレベルを上げてからだ。


それまではまた地道にレベル上げだな。


今回『早熟』スキルという強力なスキルを失ったことは確かに痛いが、いつまでもクヨクヨするな。


進化したのは悪いことばかりじゃない。


かねてから分かっていたことではあるが、カエルに進化したことで陸上での活動に制限が無くなった。


諸々の回復薬や隠れ家だって今まで地上で限られた時間でちまちまと作っていたが(あれは非常に面倒くさかった)、今後はそういったタイムリミットのようなものも関係なく行動できる。


現状生活のほとんどを水辺でしているが、これを機にもう少し地上での活動時間を増やしても良いかもしれないな。


それに成体になったことで、これまでの進化とは比べ物にならないほどステータスが上昇した。


これでこの近辺の奴らにもそうそう引けを取らなくなったんじゃなかろうか。


それにしても『薬生成』のスキルレベルが、今回のレベルアップに付随してかなり上昇したな。


今までの傾向的にあと1レベルでマックスなんじゃないか?


見た感じスキルレベルの大体の上限は10だ。


確かに『早熟』スキルが無くならないうちに少しでもレベル上げを行いたいな、と思って戦闘の前に出来るだけ「HP回復薬」や「MP回復薬」を作ってはいたのだが、まさかここまで一気に上がるとは。


レベルアップの詳細をよく見てみると戦闘後の種族レベルが上がった時のタイミングに加えて、オタマジャクシからカエルに進化した時にもスキルレベルが上がっている。


今から述べることは勝手な俺の考察なのだが、もしかして進化の時には追加で新しくスキルを覚えるだけじゃなく、その種族に関するような既存で保持しているスキルにも同時に経験値ボーナス的な物が入るではないか?


思えば今までの進化のタイミングでは、毒系統のスキルが優先的に上昇していた気がする。


『薬生成』スキル自体は前回の「メディシナルダッドポール」への進化と同時に入手したよな。


つまりこのスキルは「メディシナルフロッグ」という種族と非常に関連深いスキルな訳だ。


もしこの仮定が正解だとするならば、今後進化先の選択が今まで以上に重要になるじゃねぇかよ。


なんせ新規獲得のスキルとステータスに加えて、既存スキルの成長に繋がるのだから。


ましてや、『早熟』スキルが無くなった今、スキルのレベルを上げるのは難しくなった。


つまりその影響は今後よりでかくなるだろう。


まだ100パーセントそうであると決まった訳では無い。


決まった訳では無いが・・・。


もし本当にそうだとしたら、これほどまでに重要なことはきちんとオープンテキストにしておけよ馬鹿野郎!


運営がそんな有様じゃ速攻でみんな離れちまうぞ!、なんてここが異世界じゃなきゃ言ってたんだけどな。


ここはあくまでゲームと類似した世界であって別にゲームそのものなわけじゃない。


インターネットを覗くことだって出来ないし、ましてや有志による攻略情報が書かれた掲示板だってありゃしない。


だからこそ自分の選択をもっと大事にしていかないとな。


とにかく、この推測はひとまず心のどこかに留めておこう。


とりあえず、今回の戦闘でそこそこ消耗した諸々の数値を回復するために、戦闘前に作り置きしておいた薬の貯蔵庫のところに行くとする。


木の陰とはいえ、見つかりにくいようなところを探して作ったため、そこへの行き方は大変複雑である。


オタマジャクシ時代は活動時間に限りがあったこともあって、もはやタイムアタックをしているような感覚だった。


しかし、カエルになった今は制限時間を一切気にせずに悠々と向かうことが出来る。


・・・いや、悠々とは言い過ぎだったな。


本当は周囲をめちゃくちゃ警戒しながら進んでいる。


なんなら何かの陰から陰に瞬時に跳び移りながら進んでいる。


今まではそのような動きプラスでタイムアタックだったから、そのタイムアタック分のストレスが無いってだけだがな。


まあそれでも十分か。


オタマジャクシ時は短い手足を必死に前後に動かして陸上を移動していたが、今はその必要も無く後ろ足で思い切り踏み切って、跳びながら前に進んでいる。


移動方法が進化してから全く異なるのにそこまで意識せず行うことが出来ているので、本能って凄いなと軽く感動を覚えた。


そうこうしているうちに、薬が保管してある場所に無事たどり着くことが出来た。


これで「HP回復薬」で体力は満タンにしておき、使って減った分はそのまま『薬生成』スキルで補充をしておく。


それにしても結構体力は削られていたなー。


自分的には割と終始こっち側のペースを押し付けることが出来ていて圧勝と感じていたのだが、『貪吸』スキルを併用して尚ここまでやられていたってことは、それ相応のダメージをくらっていたことになる。


『噛み付く』や『体当たり』なんかがもしもまともに当たっていたら、と思うと心底恐ろしい。


HPとかの管理が出来ていないのは、まだまだ課題だな。


反省しなければ・・・。


これを見ると集団戦はやっぱり油断ができないや。


さて、これで多少はHPやMPも回復できたな。


いくらカエルになって陸上での活動が無制限になったとはいえ、ホームの浅瀬より危険なことには違いない。


薬を消費して空になった容器の貝を片付けて、急いで戻ろうとする。


行きに使用した道とは違う道を選択し、これまた敵を警戒しながら陰から陰へ駆け回り、浅瀬へと向かっていたその時のことだった。


ずざざっと前方の茂みから何かが動いた音が鳴り、急いで立ち止まり体勢を整える。


自分はまだまだ陸地上の魔物に詳しくない。


ヤバそうだったら即座に逃げなければいけないだろう。


音が鳴った茂みから片時も目を離さずにいると、そこからそいつが徐々ににゅーっと首を出して現れた。


そこに居たのは・・・、純白の細長いヘビであった。


・・・冗談がきついだろ。


せっかくいつでも逃げられるように体勢を整えていたはずが、その眼光に見据えられた瞬間身体が強ばって動けなくなってしまう。


そんな場合では無いのは百も承知ではあるが、思わず元の世界の言葉が頭を過ぎる。


これがまさにヘビに睨まれたカエルってやつですかね?

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