出会い

第20話 逃走完了



直接体内へ注ぎ込んだためか、あれだけ効かなかった毒の状態異常にも、ゲンゴロウはあっさり罹った。


逃避行で残り少なかったHPは、毒によって確実に減っていき、そしてそのままスキルなどによって回復することもなく尽きた。


あの状態では、どの道長くはもたなかっただろう。


これはただのエゴでしかないけども、どうか安らかに眠っていてくれ。


こちら側からの一方的な利用だったし、偶発的な事ではあったものの、俺があの状況から生き残れたのはお前のおかげのようなものだ。


そっちからしてみればお前の番を殺したやつを助けてしまって、非常に不本意かもしれないけれど、本当に感謝している。


とりあえず生き残った限り、お前の分も生きていくよ。


この幸運もいつまで続くか分からないが、いつか終わるその時までな。


【ポイズンタッドポール:♂のレベルが上がりました】


【スキル『早熟(微)』が適用されます】


【種族レベルが35になりました】


【種族レベルが上限になりました】


【『鑑定』のレベルが10になりました】


【相手のスキルが表示できるようになりました】


【『猛毒耐性』のレベルが10になりました】


【『猛毒耐性』のレベルが上限になりました】


【スキル『状態異常耐性』を習得しました】


【『体術』のレベルが9になりました】


【「後背蹴り」を習得しました】


【『吸精』のレベルが10になりました】


【『吸精』のレベルが上限になりました】


【スキル『貪吸』を習得しました】


【『猛毒攻撃』のレベルが10になりました】


【『猛毒攻撃』のレベルが上限になりました】


【『毒生成』のレベルが10になりました】


【『毒生成』のレベルが上限になりました】


【『毒魔法』のレベルが8になりました】


【「ポイズンスワンプ」を習得しました】


【『隠密』のレベルが7になりました】


【『危険予知』のレベルが8になりました】


【ステータス】

種族:ポイズンタッドポール

性別:♂

HP:38/570(+20)

MP:22/587(+20)

SP:26/568(+20)


レベル:35(+2)

ATK:402(+16)

DEF:402(+16)

INT:442(+16)

MND:402(+16)

SPE:577(+20)


スキル:

『鑑定 :レベル10(+1)』

『状態異常耐性:レベル1』

『貪吸:レベル1』

『体術:レベル9(+2)』

『猛毒攻撃:レベル10(+1)』

『毒生成:レベル10(+1)』

『毒魔法:レベル8(+2)』

『隠密:レベル7(+2)』

『危険予知:レベル8(+3)』

『早熟(微) :レベルー』

『水棲 :レベルー』

『陸棲(微) :レベルー』


【進化先を選択してください】


んー・・・、なんというタイミングだろう。


せっかくエモい空気が醸し出されていたのに台無しじゃないか。


このタイミングでレベルアップしてしまうのは非常に気まずい。


なぜなら、俺がゲンゴロウのことを経験値のために倒した、みたいな感じになっているし。


いや元々の目的は確かにそうなんだけれど、倒し方だってほぼほぼごっつぁんゴールみたいなもんだったし。


純粋な俺自身の力だけで倒した訳では無いので、とてもモヤモヤするな。


とはいえ、さっきの諸々の出来事でハッキリと自分の実力不足を味わったし、強くなれる時に少しでも強くなっておく大事さは良くしみた。


貰える経験値は貰っておくとしよう。


そんな変なことにこだわって、死んで仕舞ったら元も子もない。


有難く糧になってもらおう。


感傷はそれくらいにしておいてだ。


えーと、何何?


ついに次の進化可能なレベルまで到達したのか。


しかし今回は前回の時と違って、自動で進化先が選択されなかったな。


ということはだ・・・、もしかして進化先が複数あるのか。


やはり自分で複数の進化先を選ぶ方が、自動的に決定されるよりもワクワクが大きい。


内心ドキドキとしながら、その進化先を見ていくと、


【ポイズンフロッグ/ポイズントード/メディシナルタッドポール】


なっ!


今回は三つも進化先候補があるのか。


なんの情報もなしに進化先を選択するのは恐いので、いつもの通り「二重鑑定」をやっていくとするか。


そういえば最近「二重鑑定」をやってなかったなぁ。


まあそれが影響して、あのグッピーの時のような失敗に繋がったわけなのだが。


グッピーへ攻撃してはいけないことは、ちゃんと二重に鑑定を行ってその生態情報を見ていれば、予めわかっていたはずのことだったから。


少し「しびれ草」周辺であまり敵が居ないくらいに強くなったからか、自分でも気が付かないうちに心のどこで調子にのっていたのかもしれない。


これからは謙虚をモットーに、どんな敵相手にも「二重鑑定」をして、積極的に情報収集をやっていくようにしよう。


さて、反省はここまで。


話を進化先についてに戻してと・・・。


肝心の「二重鑑定」した結果だが、


「ポイズンフロッグ」はそのまま「ポイズンタッドポール」の正当な進化形のようだな。


オタマジャクシからカエルへと順当に成長したことで、全てのステータスが大きく伸びている。


スキル方面で言うと、ついに完全に成体になることで、『早熟(微)』スキルが消失してしまった。


そして『早熟』系のスキルを失う代わりに、移動距離やジャンプ力が上がる効果を持つ、『跳躍』スキルを習得するようだ。


また、『陸棲(微)』スキルが『陸棲』スキルへと変化したことで、なんの不自由もなく陸上で活動できるようになるみたい。


どれもこれも、よく想像するカエルからはあまりかけ離れていないイメージだ。


次に「ポイズントード」だが、こちらも「ポイズンフロッグ」と同じく『早熟(微)』スキルが消失してしまっている。


これは「ポイズントード」の進化先も成体へと到達したことを意味しているのだろう。


一見似ているように見える「ポイズンフロッグ」との差別化点としては、主に身体ステータスが更に大きく上昇しているところだろう。


もちろん「ポイズンフロッグ」も成体へと成長する関係上、身体ステータスはかなり上がっているのだが、「ポイズントード」はそれを上回る。


特に防御面のステータスが「ポイズンフロッグ」と比較してみると、大幅に上昇している印象を受けるな。


スキル面では『陸棲(微)』スキルが『陸棲』スキルになるのは「ポイズンフロッグ」と同様なのだが、なんと今まで生まれてからずっと共にしてきた『水棲 』スキルが消失している。


どうやら「ポイズントード」は水中での生活を捨てて、完全に陸上での生活にシフトする生態になるようだ。


そして新たに会得するスキルの名前は『溜め込む』。


このスキルはエサを日々の生活に掛る消費量カロリーよりも余分に摂取することができ、その余剰分最大HP、MP、SPをそれぞれ増やす事が出来るようだ。


強敵も多いこの環境ではエサを大量に確保するのも大変だが、その代わりにリターンは相当でかい。


MPやSPとかを気にせず戦えたりするのは勿論のこと、HPが伸びればその分死ににくくなるからだ。


スキルレベルによってため込める最大量が決められているみたいだが、それでもこのスキルは十分に魅力的だと思う。


ゲーマーの性として『溜め込む』の使い道を色々と妄想したくなるが、それは全部の進化先を見終えてからにしておこう。


生態面の説明を鑑みるに「フロッグ」はいわゆるアマガエルみたいな感じの進化で、「トード」はヒキガエルのような進化というイメージで良さそうだ。


今まで生きてきた水中から、いきなり全く違う世界での生活を強制されなきゃいけないのは少し恐いな。


「ポイズントード」の進化先を選択する時は、その点も留意しておかなければ・・・。


そして最後の選択肢に出てきたメディシナルタッドポールだが、これだけ前の2つと比べるとかなり異色だ。


なんせこれだけオタマジャクシのままだからな。


成体ではないので当然『早熟(微)』スキルも失っていない。


この進化で新しく習得するスキルの名前は『薬生成』。


生態の説明の中には、毒を作ることを極めた個体は薬にも精通する、という文言が出てきていた。


そこから考察するに、この進化先は『毒生成』のレベルがMAXになったことで現れた進化先なのではないだろうか。


『薬生成』スキル以外には現状と比較しても特に変わり映えはなく、ステータス上昇も前の二つの進化先と比べると、成体になっていない分ぱっとしないなという感想だ。


そして、肝心の『薬生成』スキルだが、『毒生成』スキルがそのまま薬版になったよう。


スキル効果のインパクト的に、『溜め込む』よりは劣るといったところか。


うーん、今回は3つも進化先があるせいでかなり悩んだが・・・、よし決めた。


俺は「メディシナルダッドポール」を選択することにする。


理由としてはまず、まだ『早熟(微)』を失うには惜しいかなと思ったことだ。


『早熟(微)』の有用性については前から何度も言っていたが、明確に惜しいと思ったのには理由がある。


今回のレベルアップで新たに得たスキルなどに何個かかなり有用そうなスキルがあった。


これらのレベルを少なくともある程度上げておきたいという気持ちがあり、それを踏まえると『早熟(微)』を失いたくない気持ちが大きかったのだ。


それに、「メディシナルダッドポール」だけ他の進化先と毛色が異なり、特殊な進化先であることを読み取れた。


せっかく出た特殊な進化先を選ばないというのは、ゲーマーとして性がもったいないと叫んだのだ。


正直「ポイズントード」の持つ『溜め込む』スキルや、高いステータスはものすごく惹かれた。


だが何よりも『薬生成』のような回復手段に繋がるスキルは、確実に取れる時に取っておきたいという気持ちが強かった。


回復というのはどんなゲームにおいても非常に重要な要素である。


これが人間サイドであれば、そういったものを確保する手段も存在したのかもしれないが、生憎今の俺はオタマジャクシである。


自然界で回復手段を手にするのは、今日までの経験上相当難しい。


ゲンゴロウなんかは強力な再生スキルを保持していたが、この先俺がそれを獲得出来るかは不明だ。


なので今回に限り『溜め込む』よりも『薬生成』を優先する結果となった。


意を決して念じると、「メディシナルタッドポール」の文字が一際濃く浮かび上がる。


うっ、またいつも通りに進化時特有の強力な眠気が襲ってきたな。


だがしかし、今はこれまでと同じようにうかつに眠るなんて手段が取れなくなってしまった。


何故ならば、以前までは「しびれ草」の中という外敵から襲われにくい環境だったため、草の陰に隠れることで悠長に眠るという行為も出来ていたが、現在居る場所の近くにはそのように身を隠せて、なおかつ安全そうな場所はとても見当たらない。


今から進化までの時間に探してそんな場所が見つかるだなんて思えない。


じゃあ、そもそもそういう場所を見つけてから進化先を選択しろよという話だが、どうにもそこまで頭が回っていなかった。


やはり先程までの激闘により頭の動きも鈍っていたようだ。


これはまずいぞ!!


進化で浮かれていたのが一転、そのせいで大ピンチだー!


眠い眠い眠い眠い眠い、でも今この眠気に負けるわけにはいかない・・・。


そして元の世界の国語の授業の時を思い出すほどに、しばらく必死に眠気と戦っていると、いつの間にかあれほど強かった眠気が収まっていた。


一体なんでだ?


今までだってこの眠気に耐えようとしなかった訳では無いが、それでも一回も耐えられたことなんて無かったのに、なんで今回だけ?


予想外の出来事に呆然としていた俺は、しばらくその場から離れずにいたのだった。


【メディシナルタッドポールに進化しました】


【メディシナルタッドポール:♂のレベルが上がりました】


【種族レベルが14になりました】


【スキル『薬生成』を習得しました】


【「HP回復薬生成」を習得しました】


【『状態異常耐性』のレベルが2になりました】


【ステータス】

種族:メディシナルタッドポール

性別:♂

HP:548/1080(+510)

MP:562/1127(+540)

SP:506/1048(+480)


レベル:14(+13)

ATK:722(+320)

DEF:722(+320)

INT:762(+320)

MND:722(+320)

SPE:1057(+480)


スキル:

『鑑定 :レベル10(+1)』

『状態異常耐性:レベル2』

『貪吸:レベル1』

『体術:レベル9(+2)』

『猛毒攻撃:レベル10(+1)』

『毒生成:レベル10(+1)』

『毒魔法:レベル8(+2)』

『隠密:レベル7(+2)』

『危険予知:レベル8(+3)』

『早熟(微) :レベルー』

『水棲 :レベルー』

『陸棲(微) :レベルー』



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