第9話 二度目の進化
さて、ドジョウとミジンコを狙うとは言ったものの、どうしたものかねー。
ミジンコならまだしも、地中に隠れているドジョウは能動的に攻撃しに行くのは難しいな。
ここは、ミジンコ一本絞りでやっていくとするか?
ミジンコを狙う場合、こちらにとっても良いことがある。
それは、俺の今のメインウェポンの一つである、『毒攻撃』スキルのレベル上げだ。
体格がでかい上に、動きが遅いやつには『噛み付く』からの『毒攻撃』のコンボが非常に決めやすい。
それは前回の戦闘でも行っていたので、明らかだろう。
それでだけではなく、やつは体力も多いので攻撃を何回も当てる必要があり、とてもいい熟練度稼ぎ相手なのだ。
まぁ、その分大量にSPを消費してしまうため、お腹がたくさん空いてしまうといったデメリットもあるのだが。
それでも比較的安全にスキルレベルを上げるため、ということで割り切るしかない。
メインウェポンの強化はすなわち俺自身の戦闘力の強化に繋がり、此処で生き抜くためには戦闘力の底上げは急務である。
と言うわけで、早速やつをサーチアンドデストロイしに行くとしよう。
今まで来た道を引き返しながら、先程探索したときに見かけた個体を狙いにもう一度探しに行く。
あいつらは基本的にその場を移動せずにゆらゆらと漂って魔素を吸収するという生態なので、道さえ覚えているならば一度発見した個体は簡単に見つけだすことが出来る。
よし、無事に先ほども見かけた個体を一匹見つけることができた。
今回は食料確保を優先にして戦闘に臨んだ前回とは異なり、この少し前に自分の身体よりも大きなドジョウを食べたばかりであったため、そこまでお腹がすいていない。
つまり、空腹のため切羽詰まって戦う必要はなく、スキルのレベル上げのための戦闘として余裕を持って戦うことができるという訳だ。
『毒攻撃』スキルを育てるためにも体力とスタミナの管理をしながら、前回の戦い以上にチクチクと地道に攻撃していきたいと思う。
完全に『毒攻撃』スキル以外で攻撃しないことで、その発動回数を多くするためだ。
とはいってもそもそも『毒攻撃』以外での攻撃では碌なダメージが入らなかったんだけどな。
それでも多少は影響するだろうし、やることを単純化することでより動きをよくするという目的もある。
さて、色々と考えたがそろそろ戦闘を始めるとしよう。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
という訳で無事にミジンコを倒すことが出来ましたとさ、めでたしめでたし、と。
何々、戦闘描写はないのかだって?
いや前回こいつの同種と戦ったときと比べて、戦闘内容が特筆する程変わらなかったのだ。
だから、疲労で説明するのも億劫なため、今回は割愛させてもらった。
相変わらず透明な見た目に反して異常に堅いこいつの殻だったが、隙間へ目掛けて噛み付きながら、『毒攻撃』スキルで口から毒液を注入するという作業をひたすら繰り返すだけだった。
HPが多いため、倒すのにはとても時間が掛かる。
俺みたいにスキルのレベル上げっていう目的があるならばまだしも、普通の種族レベルを上げたり、食糧を確保したいだけならコスパが悪すぎる。
俺もある程度強くなったらこいつは狙わなくなるかもな。
種族のレベル自体を上げるのならば、今の俺のステータスだったらやはり兄弟達を倒してあげるのが一番効率が良さそうだ。
・・・兄弟を倒すことを効率云々で話すってどうなんだ、俺?
【リトルタッドポール:♂のレベルが上がりました】
【スキル『早熟』が適用されます】
【種族レベルが15になりました】
【『鑑定』のレベル8がになりました】
【『噛み付く』のレベルが10になりました】
【『毒攻撃』のレベルが10になりました】
【『危険察知』のレベルが5になりました】
【ステータス】
種族:リトルタッドポール
性別:♂
HP:40/40(+6)
MP:37/37(+6)
SP:10/38(+6)
レベル:15(+3)
ATK:25(+3)
DEF:25(+3)
INT:41(+4)
MND:25(+3)
SPE:57(+9)
スキル:
『鑑定 :レベル8(+1)』
『毒耐性:レベル7』
『噛み付き:レベル10(+2)』
『体当たり:レベル8』
『毒攻撃:レベル10(+2)』
『危険察知:レベル5(+2)』
『早熟 :レベルー』
『水棲 :レベルー』
しかし、もうほとんどの兄弟達は生まれてしまったようで、俺自身が生まれた場所に向かっても、もう一つたりとも卵は残っていなかった。
もしかしたら俺がやったように他の生物が卵を食べていったということもなくはないのかもしれないが、卵自体にわりかし強力な毒があったので可能性としては低いほうだろう。
数個とかならばまだしも、残り全部なんてありえない。
となればほとんどの兄弟はもう孵化したと考えられる。
一斉に産みつけられたのだし、孵化のタイミングがほぼ同時であってもおかしくはない。
そして生まれてからある程度時間も経ったためか、周辺に兄弟達も見かけなくなっていた。
まさか俺が生まれた時はまだ数十万個あった卵が、少し目を離した隙にぱったりなくなってしまうとはな。
元の世界ではマンボウとかも一度の産卵で数億個の卵を産むと言われているが、自然界ではこのように途方も無い早さで減ってしまうのだろうか?
なんにせよこれから生き残っていく兄弟達は、その生き残った期間が長ければ長いやつほど厄介な個体になっているはずだ。
これまでの戦闘みたいに、こちら側からの一方的な攻撃で倒すことが出来るかと聞かれれば、厳しいと言わざるを得ない。
とはいえ仮に生存戦略の一環として同種食いを組み込まれているならば、カエルになるまでにもまだまだぶつかることはあるだろう。
きちんと用心はしないとな。
さて、そろそろ気になるステータスの方を見ていくとしよう。
ようやく『鑑定』スキルのレベルが上がった。
ここまでが本当に長かった。
このあたりを周辺探索する際にも、あちらこちらでたくさん『鑑定』を行った分の経験値が入ったことが功を奏したのだろう。
ちなみに『鑑定』スキルのレベル8で新たに解放された新能力はこんな感じ。
レベル8:『鑑定』した相手のHP、MP、SPゲージの表示
これでミジンコの相手とかも大分しやすくなったんじゃ無いか?
そしてなんといっても『噛み付き』と『毒攻撃』のレベルが10になった。
やっぱりミジンコ野郎でのスキル経験値稼ぎうますぎだぜ。
にしてもまさかスキルのレベル上げを意識してから1回の戦闘でこれほどまでに上がるとは思っていなかった。
これはやはり『早熟』スキルが大きく影響しているのだろう。
やはり『早熟』はチート級のスキル間違いなしだな。
【スキル『噛み付き』のレベルが最大になりました】
【スキル『噛み付き』がスキル『吸精』になりました】
【スキル『毒攻撃』のレベルが最大になりました】
【スキル『毒攻撃』がスキル『猛毒攻撃』になりました】
【種族レベルが最大になりました】
【進化先が複数存在します】
【進化先を選択してください】
【タッドポール/リトルポイズンタッドポール】
おおっ!
今回はさらに追加のアナウンスがあるのか。
どうやらスキルレベルは10が最大のようだ。
そしてそれがカンストすることで上位のスキルへと進化する仕組みなのか?
何にせよスキルについての情報が無いわけで・・・、とりあえず『鑑定』しとくか。
■『吸精』
相手に対して噛み付いて攻撃したときに、補正をかけるスキル。
補正量はスキルレベルの高さと比例する。
噛み付いたときに、相手の体液を摂取することで自身のHPを回復させることができる。
ただし、体液を持たないような相手に対しては回復効果が無い。
回復量はスキルレベルの高さと比例する。
属性を付与した攻撃と併用することも可能。
■『猛毒攻撃』
自身の攻撃に対して猛毒属性を付与させるスキル。
毒属性を付与できる部位は、保持しているスキルによって異なる。
属性ダメージ量はスキルレベルの高さと比例する。
相手を《状態異常:猛毒》にすることがある。
相手を《状態異常:猛毒》にする確率はスキルレベルの高さと比例する。
■「猛毒属性」
この世界で定義されている属性の1つ。
相手をとても弱らせる効果を持っている。
この属性で攻撃された場合、《状態異常:猛毒》にすることがある。
■《状態異常:猛毒》
一定時間の経過毎にダメージを与える。
ダメージ量は時間の経過と共に上昇する。
「時間が経ち、対象が耐性を獲得する」または「効果の高い解毒薬を摂取する」ことで回復することがある。
「HPの量が多い」や「レベルが高い」ものほど《状態異常:猛毒》に罹る時間は短く、猛毒状態にもなりにくい。
うん、わかりやすく前のスキルの強化版といった感じだ。
猛毒は相手の体力が多かったとしても、時間経過でダメージ量がどんどんと増えていくので、《状態異常:猛毒》が回復しない限りはかなりのダメージを期待できるスキルだな。
もちろんHPの量が多い相手にはレジストされる危険性が高いとあるが、それはその分試行回数を増やせばいいだけだろう。
それにスキルレベルを上げればそのパターンも恐らく少なくなるはずだし。
これはミジンコに対してもかなり有用だな。
そして、『吸精』スキルは俺にとって初めての回復手段を擁するスキルだな。
ダメージ的には強化前の『噛み付く』スキルと変わらないのかな。
うん、文言的にはあまり変わっていないように見える。
とはいえやはり回復できるスキルは今の俺にとってはかなり貴重だ。
一回兄弟に不意打ちされたときにかなりのダメージを負ってしまい、その時も体力を回復させて体勢を立て直すにはしばらく時間が掛かった。
それもこれがあれば心配は無用だ。
もちろんとんでもなく強いスキルっていう訳でもないけど、それでも攻撃しながら回復できるだけでかなり戦闘に安定感が出る。
そして一番の目玉だ。
2回目の進化先選択!
片方のタッドポールは前回と同じ正統進化って感じだな。
単純にオタマジャクシとして成長して、大きくなるようだ。
『鑑定』スキルで調べてみても、これまた前回と同様にステータスが大幅に上昇するなという雰囲気を持っていた。
スキルも『陸棲(微)』が増えるだけだ。
前回のが種として成体に向かっていきステータスが上昇していくのと、成長はしないけれど上位種に進化するというのに分岐していたことを考えると、もう片方の「リトルポイズンタッドポール」がおそらく上位種または亜種だろう。
名前から察するに毒系統に向かった進化先のようだ。
最近毒を用いた戦闘を積極的に行っていたし、それに進化したとしても何ら不思議はないな。
もうそれだけで俺の意志は固まっている。
ここはおそらく悩む必要はないだろう。
前回と同じ理由で成長してしまうと『早熟』スキルを失ってしまう可能性もあるし。
せっかく『噛み付く』スキルと『猛毒攻撃』スキルに進化したし、まだまだ『早熟』スキルは手放したくない。
それに『鑑定』スキルもまだまだ8でこれから時間がかなりかかりそうだからね。
そんなわけで俺は進化先に「リトルポイズンタッドポール」選択する。
【ステータス】
種族:リトルポイズンタッドポール
性別:♂
HP:45/45(+5)
MP:42/42(+5)
SP:43/43(+5)
レベル:1
ATK:28(+3)
DEF:28(+3)
INT:48(+7)
MND:28(+3)
SPE:62(+5)
スキル:
『鑑定 :レベル8』
『毒耐性:レベル7』
『吸精:レベル1』
『体当たり:レベル8』
『猛毒攻撃:レベル1』
『危険察知:レベル5』
『毒生成:レベル1』(new)
『早熟 :レベルー』
『水棲 :レベルー』
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