第???階層 小部屋

 ひっそりとした小部屋があった。ダンジョンの作りと同じで灰色の石組みで出来ている。薄い紙一枚、通りそうにない精巧な作りを誇った。

 室内をいろどる調度品の類いは一切ない。揺るぎない存在として豪壮な机と見合う椅子が中央に置かれていた。

 机上は乱雑としていた。その中にあって灰色の塔が一際、目立つ。頂上に相当する部分には細々とした白い建物が寄り集まる。街の象徴として大小の尖塔を備えた王城が煌びやかに映る。相反するように荒んだ地が周囲を取り囲み、隣接する城は禍々しい雰囲気を醸し出していた。

 塔は未完なのか。輪切りにした状態の階が周囲に散らばる。上から見ると内部は複雑な構造になっていた。細かく壁で仕切られて袋小路も散見される。仕掛けの類いは見当たらない。細部を作り込まれていないものがほとんどで、人物や怪物の類いは机の空いたところに詰めた状態で置かれていた。

 細長いピンセットには挟まった状態の宝箱があった。

 木製の扉が鈍い音を立てる。

「始めよう」

 小部屋の主は迷いのない足取りで中央に向かった。

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