418 誤識
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
3/8 12:20
「見て見てぇ?あっちって方角的にシエルん家の方だよね?」
ツインテールの少女はどこか楽し気に指を差し
「今日も煙ってるって事は皆まだ出発して無いのかな~」
後方の相方へと声を掛ける
のだが
「どうなのかしら、ごめんなさいね?片目だけだと煙の成分まで調べるにはエネルギーを使い過ぎるの、だから今の状態で消費する訳にもいかないわ?方向的には彼女の生家なのかもしれないのだけれど位置も不確定どころか火事かもしれないし」
思っていた答えでは無い返答が返って来た
まぁそういう所も含めて
「ぁ、うん、うんうん大丈夫、そこまで正確な回答求めて無いから」
慣れたもんだ
少し違和感のある手を引き
「でもどうする~?まだ居るんならお店とか入らないでジンのご飯食べ行ってみる?報告も出来るしさぁ」
足早に歩を進める
いあ、別に、嬉しいとかそういう感覚で足早って訳じゃあない!
暫く会えなくなる、って理由があっち側だけじゃなくなるから報告しておかないとってのもあるし
、、あああ、まぁとりあえずあたしらは先程支度を済ませた所なんだ
一体何の支度かと言われると
『エバの修理』の為
だけだと非常に分かりにくいので羅列しようかな?
え~、今からあたし達はダンクオジさんが直してくれたエバの体を完璧な状態に戻す為、エバが居た遺跡に向かう事になったんだ
どうやらオジさんの集められる材料とか工具だと限度があるみたいでさ
だから簡易的に手足が動く様になったエバがあっちに行って自分自身で体を修理するらしい
まぁ~あ?
それをするにもエバ一人じゃ大変だろうからって感じであたしが付いて行く事にしたんだけどさ
(なんかずっとエバエバ言ってる気がするなぁ)
・・・
世間の目は厳しいみたいで
(またこっちの事見てる)
(あの人も)
(あの人も、あの人もか~)
(はぁ)
これは
自意識過剰だとか
そういう類のものじゃなくて
(あの人、確かさっき居た人だ)
「ぁ、あぁそうだ、お土産でも買ってく!?ロゼちゃんにも貰っちゃったしさぁ、シエルなんか安いお菓子でもすっごい喜ぶんだよ~?」
明らかに警戒されているんだろう
胸の刺さりを気にしない様
「あ、で、でもぉ~こんな可愛いお洋服来てたらさ!ナンパとかされちゃったりとかして~」
精一杯に話題を作り
あくまで自分を鼓舞しようとした
のだが
「ナンパ ナンパ? イントネーションが正しいのかは分からないのだけれど、アル?ナンパとは何かしら?「される」と言う事は何かしらの行為を他者から受けるのかしら 少なくともそれは今の状態で起こり得る事と言う事なのよね」
噓でしょう!?
ってくらいにマイペース
いつも通りだ
なんで疑問からの考察して良く分からない説明の流れにしようとしてんの?
って思ったから
「え~?う~えっとぉ、あれよ!へいそこのお姉ちゃん!ゴハン一緒に~ みたいなさっ!?あるじゃん?」
早々に話を畳もうとしたんだけど
「あ、あたしもさ? 一応中の中って言うかぁ?胸とか関係無しに観たら別にソコソコォ?じゃ って思わない?って思うのよ”」
なんか全部出た
「何をそんなに焦っているの?大丈夫な筈よ? それに小さい胸にも需要はあるって聞いたのだけれど」
「誰から!!?」
「ふふ、それに私から見てもアルは可愛らしいと思っているわ」
「ぉうふ いや そういうのは良いんだよおおお」
素なのか揶揄(からか)われているのか
テンパっちゃったから
「あ~もぉ、あうあうあ~だよ全くも~だよ全くも~」
独り言を吐き、気持ちを落ち着けた
照れた様に頭を掻き
「早く行くよ~も~何だかなぁ~」
急ぐ様に前を行くと
嫌な音がした
甲高い
悲鳴の様な耳障りな音
まるで
機械が強く擦れたかの様な
近くで聞こえたソレに勢い良く顔を向けると細い、先端の様な物が目に入った
「 は?」
目を見開き
「はぁ はぁ やった、やってやったぞ」
耳障りな声を無視し
「ぇ、エバ?」
急いで握った手の先を確認すると
「なっ!なn!?」
言い終わるよりも先に身体が動いた
まずはエバの後ろに居た男へと飛び掛り、勢いそのままに突き飛ばす
「ぶっは いったぁ」
そのまま馬乗りになって鼻にでも噛み付いてやろうかとも思ったのだが
「おいおい!大丈夫か?」
「何してんだ小娘ぇ!」
「まさかお前も人形なんじゃ!?」
倒れた男を支える様に一人、その少し後ろにはもう二人居る
理解が追い付かない
けど、正直、前に出て来たヤツとか
どうでも良い
先に倒れた男の足を踏み潰そうと右足を上げた
のだが
「アル?アル!?ちょっと、手伝ってもらえないかしら」
その声 それと
「ごめんなさい? 腕が短いからかしら?一人じゃ引き抜けないの」
上手く動けずに藻掻く相方を目の前に
「っ!! なんで こんな あぁ!エバ、エバぁ!大丈夫?」
少女は振り上げた足を別の方向へと踏み込んだ
強く食いしばる様に
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