412 玉響
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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何処かが外に通じているとはいえ、決して街の灯りが見えた訳では無い
ましてや衝撃の連続だ、目を覚ましてからどれ程の時間が経過したのかも、今が何時頃なのかさえも忘れていた
頑丈な扉越しに振る腕の時計が切りのいい時間を指し
何ら変わらぬ微笑みを確認するまでは
「は?おい!! はぁ?」
「なんでだよ、ハルちゃん なんで外居んだよ」
「うっそだろ? は?どういう状態!?」
情けない声が上がった
たった今、目の前で起こった出来事を消化しきれずに狼狽え
大の大人達がみっともない様子を晒す
その後も
「うっせぇ邪魔だ!コラ!!」
「良いから退け!」
「ソコ早く開けろや!」
品の無い怒号が好き勝手に飛び交う
「やはりあの子、初めから」
年配者が眉を寄せ
「、、あぁ、鼻から正体なんて明かす気なかったんだろ 良くあるこった」
痩せ型の男が地べたに座り込む
「なんだよ、クッソ マジかよ!? じゃあなんだ?結局は俺達に全部押し付けたかったって事かよ?」
若い声に
「まぁまぁ、ほら! 良いじゃない、報酬的に考えたらあの兄さん連れて行けば良いだけなんだ、寧ろありがたいじゃないか」
ベテランの女が正しく勘定をする
そんな
個々の気持ちなんてモノはいちいち汲まず
リーダーの男は一度だけ鼻を鳴らすと背を向け、箱が進んでいる方向へと足を向ける
呆気羅漢(あっけらかん)とした様子で
紫煙を燻らし
思考を固めながら
この鉄塊(てっかい)に乗り込む間際の話だ
向かう先の情報等を飛ばし、、彼女は注意事項を口早に並べた
【彼は現状重症患者とでも考えて下さい、血が足りていない状態です、特殊な輸血を施し増血剤の投与も暫く続けているので今のところ命に別状はありません が、、えっと、分かりますか? 続けますよ? えー、重度の貧血及び酸素欠乏状態とでも言えば分り易いでしょうか? 心臓に負担がかかる分様々な事が考えられます、例えば心筋梗塞の恐れ等・・・】
【それと、良いですか?ビー じゃなく ドビー博士の事ですがパ、、キーロ君が起き、復活?したら聞いてみたら良いです下さい、、、危険思考にさえ向かなければ此処で変えられる筈だと思いますし】
【皆さん!反省して下さいね?思いの外こんな時間になってしまいました、今頃は外だけで無く起きている研究員達もパニック状態だと思います ですので私は対応に努めないとですので、、あ、ちゃんと一応は耳栓する様に伝えてますし私もしますよ?】
変わらない口調のまま
【次回お会いする時は下品な事にも対応出来る様しっかりと勉強しておきますね】
説明を終えた
・・・
まぁ(やり方がどっかの誰かさんに似てる事だけが気掛りではあるが)
「いや!金とか、いや、関係はあるけど今じゃなくないです?」
「随分温い事言い出すじゃないか、気持ち悪いったらない」
「あ~はいはい、ネッキーはあ~ゆ~賢い女子嫌いだしなぁ?」
「はぁ!?そういう意味じゃねえっつの!関係ねぇ事言ってんじゃないよ!」
納得いかないわな
「気持ちは分からんでも無いな、「何でも知ってます」みたいな面して 気に食わねぇ」
「でもよぉ、こんままじゃ気持ち悪くね?」
「あぁ、なんも分かんねぇからこそな」
「どうする?」
「どうするったってよぉ」
「どうする?」
「どうすんだよ?」
「「「 コウさん(ちゃん)よぉ 」」」
団体からの視線や言葉よりも
締まった扉に向けた敵意だけが憎らしい
閉じてしまう前に力尽くで抱き寄せる事だって出来た
罠では無かった訳だし、肝心な事は何も聞けて無い
それどころか
恩を返せなかった
正解の無い生き方をしている分
押し付けられた親切に
納得がいかない
だから
「はぁ そうだよなぁ、言いたい事だけ全部言いやがってな~、あんにゃろぉ」
中心になっている男は口角を上げ
「次会ったらお尻ペンするしかねぇよなぁ!?」
間抜けに聞こえる怒号を上げる
「あぁ!」
「そうだそうだ」
「舐めすぎだっつの」
「ペンしてやろうぜ!」
「チューもしてやんぜ」
そんな彼らを乗せた鉄の箱は初動よりも明らかに加速を増し
凄まじいスピードで前へと進む
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