400 先見

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



3/7 15:00


大人と子供

見るからに体格差は圧倒的だ

小さな体を眼鏡越しの鋭い視線が睨み付ける

その姿は注意をすると言うよりも威圧に近しい


そんな絵面ではあるのだが


「え? 石を欲(ほっ)してるのは僕なんだよ?なんでそういう考えになるのさ?」

白衣の少女?は本気で分からないとでも言いたげな表情を浮かべた


反応に驚く事も無く、姿勢を戻し


「  考え方は様々でしょうがキドナ、貴女の様に皆が答えに直結する考えを持っている訳では無いのですよ、、順番に考えている事、行った行動の意味を分かる様に述べてもらえますか?」

瞳はそのままに

天才と呼ばれる男は再度聞き返す




此処は研究施設の深部

広い部屋の中、十分に換気が整った環境にも関わらずキツイ臭いが立ち込める

それはまるで鉱物や樹脂を熱した様な、はたまた薬品をぶちまけたかの様な独特過ぎる刺激臭を放っている

、、だがそれらが充満しているとは思えない程に一切無駄の無い、それこそメモ帳一つ置かれていない作業台の上

少女?はゆっくりと肘をつく


「あ~!アレだ 今の状況が『ウケる』ってやつだよね?  ふふ、あはははは!レイ、君さ?一度あの男を殺し損ねてるのに今更どうしたの? なんで心配なんかをしてるのさ」


「心配?それこそ何を言っているのか  アレは材料として必要なのでしょう?殺してしまった場合は賢者の石にならない、貴女が言っていた筈でしょうに」


「言ったけどさ~  つまんないの、せめてレイの考えをくれればイエス、ノーで遊べたのに」


「時間の無駄でしょう」


「そんな事無い!キミの頭でも分かっていないって所を見せてよ!」

無邪気な笑みを浮かべ

「だってそれだけで、僕は優越感に浸れるじゃない?」

またも意味の無い問答を吐き散らす


「本当に、さっさと述べてもらっても良いですか?」


「良いから聞かせて!」


進まない話に軍師は一度肩を落とし



一気に羅列した



「でもまぁ実際『ヒト』のテクノロジーがここまでとは思ってもいませんでした、、あんな人間如きを危険視する事になるとは未だに納得がいかない  しかしこれと今回の件は別でしょう?特に貴女の様な『ヒト』が考える悪ふざけ等 面倒でしかない」


「ふふ、良かった!僕も『ヒト』扱いなんだね?」


「どうでも良い、機械では無いのでそう言っただけの事」


「 そっか? 君がどう線引きしているのかは知らないけど別に僕は嫌いじゃないんだよ? 『ヒト』って呼ばれるk」

「そうですか、貴女の願望は聞き飽きていますので早々に答えをもらえませんか?」


「っ! はぁ~やっぱり君の事は嫌いだ、ニールのが良いなぁ?  と言うかさ、賢いんだったら良く考えてみなよ?あんな状態で送り込んでも死なないって」

遮(さえぎ)られた事に腹を立てたのか眉を吊り上げ、歯を軋(きし)ませる


「えぇ嫌いで結構、、ふむ?だとしたらヴェヌの報告は偽りと言う事になるのでしょうかね?」


「なんって言ってたの?」


「直接異形を片付けた様ですが「手を下さなかった場合危うかった」と」


「やっぱりあの娘トンネルん中に居たんでしょ?だろうと思ったよ、幾つかテストも兼ねてる訳だし良かったじゃん『その付近』に送れるって事も分かったしあっち側への牽制にもなった訳だ」


「たったそれだけの事で賢者の石を無くす可能性があったとは思わないのですか? 全く、本当に好き勝手な、、」

溜息交じりの軽い悪態

冗談でも無く事実そのままの反応だ


互いの目的が為、優先するのは利

尊重する事自体が無い関係



だった筈なのだが



「なんだよ!好きにして良いって条件だったじゃんか!」

悪魔は感情的に

「前も言ったじゃん、目的地に直接は無理だって!今回ので改めて分かったでしょ?だからこんな  はぁ はぁ  こんな じゃダメ じゃん!?綺麗な状態で送るのは今じゃ出来ないんだし」


いやそれどころか


「やっぱり はぁ どっちかにしないと効率良くない と思うんだよね  はぁ  はぁ はぁ はぁ ほら、エーテル体を集めてテスト重ねるかキマイラ並べて直接行くかだよ」


壊れた人形かの様に


「 うぅ、あ!あぁ!!でもさ? ああ!今回みたいに魔族半分入ってる子と餌を同時にってのが使い勝手悪くも無い気したから  a aaアaaアzズずっと、ずっとあの子達を送り続けたらそれはそれで  は  ははは  ?」

途中途中、血の滴る爪を噛み

唇から泡を流し、充血した瞳で言葉?を並べた



明らかに異様な空間



常人であるのなら逃げる一択

その不気味な者に対して慣れているのか


はたまた拒絶の意なのか


「その送り込んだ異形は全滅しましたがね」

一言溢し


少女の襟元(えりもと)を強く掴む

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