391 逆光

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい





悲鳴が聞こえる


【う˝あ˝ぁあ】


【お˝あ˝ぁ˝ぁぁっ】


ソレは目を背け


耳を塞ぎたくなる


【嫌っ ぅあ あぁ˝ 】


助けを乞うと言うよりも


常軌を逸した


【ぶっ ぐぅ】


【う˝げ ぁ がっ!】



不快音



それと


【 あ ぁぁ  ああぁ う、あ   あ˝あ˝あああああああああああああ】


正に気の触れた者達が発する





狂気





【ふっ、ハハ ハハハハッ】


【な、て、てめぇ このガキ!】

【おっせえおっせえ!】


汚い言葉と言葉が重なり

その温度が理解出来ないまま


すぐに相手側の声が聞こえなくなった



【う、も、もう、やめてよっ 気持ちわr】


【たかが小娘一人に何をやってる!?】


【しかし!アレはただの子供じゃ、、  ぅぇ あ ?】


甲冑を貫通した何かが

振るわれ


【っぶえ 】


半身が勢い良く裂け飛ぶ


【ハッハーッ!クズ共がこの程度かよ?あぁ!?】

【本当に  ぁう˝ぅ ぉ ぇ】


それでも


【ちっ、化物だ!】

【火薬を用意しろ! 焼き殺せる程の火薬を!!】

【撃て! 撃て撃てぇ!殺せぇえええ】


酷く汚れた少女へと照準が向く


【ケケケケ テメェら終わってんなぁ?ぁ?クソ野郎共が! 全員直ぐに殺してやるからよぉ?  なぁ、もう】






【息をするな】











3/8 1:00


王都の西区

大通りから幾分か奥の方まで入った暗がりに近い位置


危ない場所と言う事では無いのだが目立たない所に建てられた宿舎

主には商人、もしくは移動時間の短縮を求める一般兵が利用するだけの質素な建物


シンプルな小部屋に簡易ベットが二つ


そして


「・・・ってな感じなんで超寝てました  あ~そんな感じッス、はい、はいはいはい、あい 了解ちゃんで~す」


薄い扉を挟んだ廊下側から声量の配慮が足りていない少女の声がする


「あっはは、バミっさんもそんな感じなんスね? そしたらまぁたレイ様意地悪言ってイジメたんじゃないっスかぁ?」


いや、配慮と言う点であれば逆なのかもしれない


先程から聞こえて来る単語の一つ一つ


「うえっマジっすか~  あら~キドナっちの好奇心にゃ困っちゃいますねー、、んぇ、成程~  どうしよっかなぁ、じゃあこっち一旦中止にするッスよ?」


コレらに偽りが見えない


恐らく


「はい、あいあい、りょ~かいでございま~ ッスっと  うぃ、お仕事終了」


隠す気が無いのだろう


手に収まるサイズの板を軽快に撫で

「はざま~す、よく眠れたっスか?」

その態度のままに扉を開く


「え、えぇ  昨日の?貴女程では無いですけど」


あまりに警戒心無く問われた事もあり、軽く頷いた

なにぶん、身体の自由を奪われている訳でも無ければ


「あっははは~自分最近ロクに寝て無かったんで~、、あ、シャワー空いたんで入るならどうぞッス」


、、こんな感じで、監禁されているって訳でも無い


何なら


「もし浴びないんならなんか買いに行きません? お腹がぺこでグーグーヤベェ~んで深夜の屋台巡りなんかしちゃったりなんて」



ちょっと自由まである



・・・



「こんな時間に食べる背徳感とかヤバく無いっすか? あ~、んでも今日ほぼ寝てたしカロリー的には間違って無いっスよね~  ってか!お姉ちゃん食べたいもんとかあるッスか?」


「お姉ちゃんって、あの、なんか違く無いです?」


「え~?アルちゃんのお姉ちゃんなんスよね?  え、じゃあお姉ちゃんっスよね?」


「お おおおう」



この無防備な彼女

私が巫女様を探していた理由を察し、即時に理解し、、ジンさんの持つ板へと連絡をした


そのやりとりを聞いただけでも直ぐにあちら側なんだと分かった



だが ここに来るまでに



【お姉ちゃんならいけると思うんスよね~あのおとっさん   アルちゃんじゃあ申し訳無いんスけど、、あの足なんで】


何やら


【あくまで人助けの様な?ん~多分エロい事わされない筈ぅ、、ん、あぁ!どっちかって言ったら介護みたいなもんかもですし~やってもらえないかな~なんて】



【多分ですけど   記憶も戻るッスよ?】



『別件』があると言う事だけは分かった






正直、そんな取引に応じる様な、、そもそも無くした記憶自体に未練が無い


薄っすらとしたモノよりどちらかと言うと今を生きたい


でも  その記憶は   アルの為にもなる訳で



もしくは



出来る限りこの娘の情報だけでも吸えればと






思ったのに


「サーセン、昨日?話してた介護の件なんですけど~  一旦延期になりそうっスわ」



「ッファ?」



悪気無い少女は串に刺さった海産物を旨そうに頬張り


「テヘペロきゅぴーん」とか口遊んで全てを持ってった

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