390 推論

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



3/8 1:00


人混みも完全に捌けた大聖堂

もはや配給所と間違われていないか心配になるくらい

今もグツグツと胃を刺激する香りを撒き散らす


(ん~、やっぱりバラし方もしっかり教わった方が良いなぁ)


肥料用にと干し籠(かご)へ移した一羽目の骨

それと今度は食後のエルフにしっかりと処理してもらった二羽目の骨、ソレをぶち込んだ寸胴を眺め

三十路は酒をグラスに注ぐ


(漬け卵も無駄にしょっぱかったしもうちょい薄めて日を跨いだ方が良いっぽいか?  やっぱ市販のめんつゆ最強だったな~)

余り物のチーズを一口齧り

何処かの誰かから赤鬼が貰って来たウイスキーを流し込み


『二羽目』の綺麗に解体された部位を並べ



思考する



勿論


漬け込みダレの調合配分の事では無い

何せ今回のざっくり味付け丸っと漬け込み煮だって


「お~美味い美味い 流石じゃの」

「んーーんー!美味しい!これは、とっても! 凄く  美味しい」

「ひっく ジ ン殿は凄いなぁ! ひっく、燻製! 燻製を やってみないか?きっと良い感じの加減が出来ると思うの っく だ!、、思うのだ!こう ジューシーなっ↑ 噛む肉的な?」

「そうなのよ!これは、お肉 よね すっごいなんって言うか」

「とぅるとぅるになってるトコが特にあっしは好きじゃの」

「そう!ツルツルの」

「明日っ!  んっうん、なんなら私も鳥を獲って来るぞ?」

「そうよね、ツルツルの鶏肉だったわ?」


大好評

他の参拝者(さんぱいしゃ)にあげるどころか三人で平らげやがったし


別件だ


俺的にはウイスキーはチーズよりサラミとかカルパスのが良いな

、、なんて下らない事でも無い



一度冷や水で顔を叩(はた)き



凡人はメモを片手に再度思考する






まず、幼女が帰って来てから羅列した台詞はこうだ


【北の方のお店には行けなかったのだわ えっとぉ、えっと、何かがあってね?通行止めだから~って遅い時間だから~って】

【知ってる人?いっぱい会ったのよ? あの人間でしょ~、アルとエバに~ ん?うん この前のダンサーには会って無いのだわ】

【ジンが気にしてたこの板!音なんかしなかったのよ?】


普通過ぎて肩透かしを食らったのだが俺にとって大事な所は二つ



ヴェヌはロゼに電話をせず、襲撃する事も無かった



ここから推測するに


1.何処かで見ていた?

2.する意味が無かった?

だとしたらバレてる?  いや、だったらこっちにアクションがあるだろ


3.出来なかったとしたら?

不具合が起きた? 異形が現れた時も、なんか不思議な事言ってたような?

情、、なんかは流石に無いか 見逃すなら今までのやり取りが理不尽過ぎる


「うおおおおお、わっかんね~ やっぱカセン呼ぶかぁ?」

筆を置き、二杯目の為に手を伸ばす



「お~呼びおったかの?」



・・・



「ほああああああああ!」


出たよ、出て来ちゃった


から


「(うん、カセンだもんそりゃあそうだよね) お酒の確保に来たんだよね」

つい心の声を半分発した


その反応に酒神様は一瞬きょとんとするも

「なんって声上げとるんじゃ」

いつも通りのトーンで酒を奪い


「あ、あっあ あぁほら!」

「誰がアホじゃて?」

デコを軽く小突いてから空いたグラスへと注ぐ


だがまぁ知っての通り


「がっ! うおおおおいっ、つぅう」

小突くレベルが違う


ガチのデコピンな訳だ


そのせいで全部吹っ飛んだって訳では無いが


「言ってねえよ! ほら!深夜だから」


「あ~?深夜だからこそ尚更イカンじゃろ」


「いや、急に出て来たしさ、驚くんだよ 普通は こんな時間!」


今日はもう


「ぷふ、くくっ  さよか」


「、、さいですよ」


考えるのを止めた



肩から空気が抜けたのを見届けたからこそ

容赦なく口角を上げ

ボトルで俺のグラスを鳴らし


「  はいはい、乾杯」


「ひひひ、まぁ根詰め過ぎて寝不足にならんこっちゃのっ」


呷(あお)りながら来た方角へと戻った




あーもー




あーもーだってぇの あーもー



相手がカセンだ無理だろう



大分苦しい言い回しになってただろうし今更心配させんのは、、俺の容量的に尚良く無い


けどまぁ一先(ひとま)ず前者の手法は検討がついてる訳だし



時系列的に『あっちの件』だって濃厚だ



誘導してやれば聞き出せる筈 なんだ


上手く




深く、探れるんなら、、

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