387 調整
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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此処は大聖堂の台所
再び襲撃があった訳でも無いし主の巫女様だって居やしないのだが、主役の目線に戻ったからこそ料理の時間だ
正直、配給みたいな事自体やる必要も無いのだろうけど
うん、まぁ、なんだ、、
既に汗だくである
火を焚き
「ふぅ はぁ よいせっと!」
大量の水が入った寸胴を設置してからもずっと
「はぁ えっと 次は、鍋にも火ぃ入れとくか」
分かり易いくらいに独り言を呟く
本人としては確認事項
いつもの事なのだが
「芋切って 合間にバターも溶かしときつつ~、焦げる前に鶏か、あーでもそのままでも良いか」
調理中にもかかわらず
「大量のチーズとかどうすっかな?」
随分と口を動かす様になったもんだ
原因なんか
自分でも分かってる
ツインテールや幼女が共に作業をしている訳じゃない
だからこれは予備動作や発言で周囲に注意、確認をしているって事でも無い
自らの焦りを誤魔化しているだけなんだ
「卵は使いたい放題 か 漬け卵にしときゃ多少持つだろ」
大量に茹で上がったパスタを救出し卵用にと湯を汲み取る
「鶏まるで煮込むとか、また違った業者感あんなぁ」
寸胴にある茹で汁はそのままスープにも使う為、処理された鶏を丸々ぶち込んだ
「ふぅあっつぅ」
グツグツ音の中身を覗き
「あー 塩、とか入れるべき か?」
残り物の野菜を足してから淡泊な香りに首を傾(かし)げる
、、と流れ出る三十路の出汁(だし)が頬を伝う
「うぉう あぶねぇ」
からこそ
集中だ
こんな心情だろうが衛生面の配慮は忘れない
ザクザク ザクザク
ジュージュージュワジュワ
「もう一杯いるなこりゃ」
実際、運んで来たのはまだ二杯目
昼過ぎから巫女への礼物やら貢物、と言う名の食材達が運ばれて来たので消化には湯が足りなかった
流石の立地って事もあり水場は近いし何なら「あ~重い物はあっしもやろうかの?」って言われた
けどそれは「お前は国の為に見張りしてろって! 絶対そっちのが重要な役目だろ」とか間違って無さそうな事言って断った
だって
動いてないとどうにかなりそうだし
(やっぱり 正しいとか関係無しに 向いてねぇんだろなぁ)
シエルに無理を言い
カセンにも嘘を吐いた
挙句、ロゼを利用して
何が出来る訳でも無いのに
それに、本心言った所で結果同じ行動をしてくれると思うからこそ
罪悪感が胸を抉(えぐ)る
(ナンバーワン営業マンだって痛めてたかもしんねぇけど くっそ こういうの長くは持たないぞ?俺~)
有難い事にやれる事が出来たから
暇しない様に
動いてないと
「うっし、完了」
単純だから短時間
じゃがとパン、それと大量に溶かしたチーズは鍋のまま
メインはマカロニチーズみたいになってるけどバターソースを豪快にパスタと絡めた
卵を混ぜても良い、お好みでボナーラにしてくれ風パスタだ
(似た物ばかり持って来られたのでしょうがない)
それを雑に盛った辺りでウエイトレスが登場した
「お~美味そうじゃの」
(うん、片手に瓶持ってるから間違いなくうちのスタッフだ)
「カセン良い所に! スープ先持ってってくんない?」
「あ~火ぃ掛けてるやつからのが良いんか?」
「いや、こっちこっち」
大胆に床へと並んだ寸胴を指差す
「ん~?あっちのが酒に合いそうな匂いするんじゃがのぉ」
「後で食わしてやるってば 身、別で煮込んでんだよね」
「身ぃ?」
「そそ、みぃ」
・・・
続々と、軽々と運ばれる大皿達を横目に最後の仕上げだ
濃い味で漬けといた卵、、その漬け汁を柔っこくなって来た鶏へと注ぎ
火は消しちまって良いだろう、焦げない様、余熱で
「ふぅ、圧力鍋欲しいったらねぇな」
これも、独り言なんだが
「うぃ、分けんのは婆さんらがやるって言うてるがジンはどうする? ロゼを待つか~?」
仕事の早い赤鬼が肩を揉む
「ぁ、あぁうん 待ってやんないと絶対グズるだろうし」
「カカカカ、じゃな!」
明るい声で肩、頭を撫でられ?叩かれ?
妙に恥ずかしいったらない
のだが
「そんなら裏門にお客が来とるからそっちの対応してくれんかの?」
今の俺には怖い単語を並べだした
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